2007年12月
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11月13日1300カーボベルデ諸島、サオ・ヴィセント島のミンデロを出航、ケープタウンへ向かう
11月23日20:30、西経24度30分地点で赤道を越え南半球へ入る
現地2007年12月28日10:00無事ケープタウンに入港
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目黒さん入港のケープタウン関連の → Web Site集
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kiseki

Wind Speed = 5kt(2.5m/s), = 10kt(5m/s), = 50kt(25m/s)

  DHARMAの単独世界一周航海日誌   2007年12月          戻る

JST12月1日2100 GMT/船内時 1200
15−29S/26−32W SE 8m/s COG160T SOG5.5kts 晴れ 26℃ 75% 1016hPa

今日から師走。出航以来18日目。直線距離で、出航地から現在地まで2000海里、入港地まで2700海里。中間地点に近づきつつあるが、未だ先は長い。これまで同様、安全航海が最優先課題。

JST12月2日2100時 GMT/船内時 1200
15−29S/26−32W SE 8m/s COG160T SOG5.5kts 晴れ 26℃ 75% 1016hPa

若水は順調に走っていますか、出航して一週間目、そろそろ船上生活のリズムが出来てきた頃と察しています。

15Sを越えてからも安定した東系の風と出会えず苦慮していたが、今朝0500時、17Sを超えた瞬間、東南東のやや安定した風が出てきた。同時に上空の雲の状態も変わってきている。今のところあらゆる種類の雲が散見されるが、これまで見られなかった高層雲が多くなった。併せて水平線の東西の端から端まで繋がっているような、大規模な層積雲が数時間ごとに航路上を横切るようになった。この中には積乱雲も混じっており、時々雲の下に雨脚が見える。

この雲が通り過ぎるまでに30−60分を要するが、その時風向が30度前後東から南に振れる。又雲の通過直後に6m/s前後の風が追加され、突風となるので、一時的に風下に帆走することになる。このため、雲の通過時には、針路を南に取らざるを得ないので、思ったようには目標方向(南東)に針路を取れない。いずれ風が東ー東北東に振れればもう少し走りやすくなるだろう。


2007/12/03/09:12JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。そちらの情報は受信できていたのですが、当方の携帯PCの不具合でこの2日間こちらから送信できず申し訳ありませんでした。192時間予想を添付します。
ケープ沖に中心を持つ高気圧から北西に伸びる高圧軸は未だ本船の南にあり、航路上では当面20S付近に位置する見込みです。この軸をかわすと本格的な東〜北東の風となるでしょう。
いずれにしても、この高気圧の南35S付近を回り込むという当初の航路に大きな変更はありません。

JST12月3日 GMT/船内時 2100
19−32S/25−22W E5m/s COG 140T SOG 4.5kts 晴れ 28℃ 71% 1018hPa

ここ数日の気まぐれな風は、低気圧の影響で歪められた、高気圧の長軸(北西端)に近づいてきたためでしょうか?
多少風は落ちてきましたが、平均して4.5ノット程度をキープしています。

南大西洋のど真中とは思えぬ穏やかな日和。出航以来睡眠不足が続いていたので、こんな日はとても眠い。
眠れるときにタップリ睡眠をとるのも重要。お休みなさい。


2007/12/4/09:07JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
高気圧の軸(実際には帯)は20S-25S間にあります。この間では風弱く、10kt前後。風向は東から次第に北よりに振れてきます。
20S-25Wを通過されたら、25S-20Wから30S-15Wへと向けてください。期間末の高気圧がやや弱まる予想となっていますので、今後の動向に注目しましょう。
航路上の海流はこれと言った定常流はありませんが、平均的にはやや逆潮になっているようです。

JST12月4日2100時  GMT/船内時1200時
21−04S/24−20W ESE3m/s 機帆走 COG150T SOG 5kts 晴れ 27℃ 74% 1018hPa

昨日夕方、順調に帆走していたので早めに休もうかと思った途端に風が落ち機走開始。スコールに備へセールをリーフ。機走するのは赤道を通過して以来、10日振り。夜中の0200頃、東風4m/sが安定したので、セールを展開。その後再び不安定な風が続き、断続的に帆走と機走を繰り返している。


2007/12/5/09:20JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。192時間予想を添付します。
本船は現在高圧帯上に位置しているようです。明日までは風のやや弱い状態が続きそうですが、明後日には北東の少しいい風が入ってくると思います。
今日の192時間予想を見ると、12/9以降高気圧の中心が西へ移動するようになり、その後航路上には気圧の谷が形成される見込みです。風速が大きく変化する事はないようですが、予想通りであれば、風向は南東系が入ってきそうです。
今しばらく高気圧の動向に注目すると共に、仮に予想通りであれば、一旦谷の北側を東進した後に、次に出てくるケープ沖の高気圧と谷の間を南下することを検討する必要が出てきます。
予想が日替わりする可能性もあるので、いずれにしても今しばらく様子を見ましょう。

本船と全体の気圧配置の動きは当方で十分把握していますので御心配なく。

JST12月6日0300 GMT/船内時 1800
22−46S/22−34W NE5m/s COG 130T SOG 4kts 曇 29℃ 64% 1018hPa

馬場様
丁寧な気象情報・予報有難うございました。次の針路が決まるまで、当面予定どおりの航路(WP:25S/20W)を進みます。日が長くなってきましたので、現況報告を従来より6時間遅らせGMT/現地時間1800、JSTは翌朝の0300時とします。

昨日夕方、風が落ちウネリでセールがばたつくので、機走しようとしたところ、メインセールの上部(3ポイントと4ポイントの間でリーチに近い部分)に裂け目があり、そこから青空が覗いているのを発見。直ぐにセールを降ろし調べたところ、縫い目が綻びていた。綻びであれば修理可能なので一安心。良く調べると他にも4箇所綻びはじめているところがある。その日は日が暮れるまで2時間ほど補修作業。偶々風弱く一晩中機走。
今朝8時から補修作業を始め、午後2時には総て終了。綻びた所を丈夫な糸で縫い合わせ、更に両面から補修用のパッチを当てたので前より丈夫にはなっている。ケープタウンに着いたら、本格的な補強をすることにする。ニュージランドで新調するつもりなので、何とかそれまで持って欲しい。補修している間は機走を続け、修理が終わってからは帆走しているが、時々風が落ちるので断続的に機帆走を続けている。艇速は風次第で3.5ノットから5.5ノットの間(平均4.5ノット)。機走中は5ノット。


2007/12/6/09:10JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
予想には依然日替わりが見られますが、ケープ沖の高気圧が一時的に弱まるあるいは後退するのは変わらないようです。
本日の予想では、12/8以降45S付近を深い気圧の谷が東進。このため、この北側の高気圧は一旦北西へ移動し、谷がケープ南沖を通過する12/12以降再び元の位置(ケープ西沖)に戻ると予想されます。
航路上では12/10-11頃にこの高気圧の中に入る可能性もありますが、これは避けられないので、高気圧が元の位置に戻るのを待ちましょう。

JST12月7日0300 GMT/船内時12月6日1800
23−57S/21−01W NE 8m/s COG 140T SOG 6.0kts(0.5kの南東流あり) 曇 28℃ 66% 1018hPa

昨夜も断続的に機走と帆走を繰り返す。朝日の出と共に帆走に入り、以後風が次第に安定。現在7-9m/sの北東風で艇速5.5ノット。南東に向かう海流に乗り、実測6ノットで順調に30S−15Wに向かっている。


2007/12/7/09:15JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。192時間予想を添付します。
12/10頃に高気圧が本船の航路付近を通過するところまでは、予想に大きな変化はありませんが、その後の低圧部や高気圧の動きの予想に日替わりが見られ、航路上の風の予想も不確定な要素が多いのが現状です。つまり、はっきりとした高気圧あるいは低気圧の発生や動きを予測しずらいようです。
当面30S-15Wを目指すコースをとられ、今後の予想の安定を確認しながら、次のポイントを探しましょう。もう少し時間をください。
そんな訳で、風の動きも予想しずらいので今後のためにも燃料の節約をお願いします。

JST12月8日0300 GMT/船内時12月7日1800
25−29S/19−19W NE 8m/s COG 140T SOG 5.5kts(顕著な海流無し) 曇・晴・曇 27℃ 67% 1019hPa

馬場様
向う5日間の短期的な航路についてですが、現在の気象図を参考にする限り、明日から風が北、更に北西に振れた後、低気圧の影響で弱い南風となります。この間の航路を次のように考えています。

1)12月8-9日:風が北から北西に振れたら、風なりに東に向かう。
2)12月10日ー12日:風が南に振れたら、そのまま機(帆走)で27S−30Sを東進。低気圧通過後の残り波高く、帆走困難。
3)以後は気象情報とアドバイス待ち。高気圧の落ち着き先如何。

尚燃料残は200リットル。入港用に50リットル残し、150リットルで4-5日間(500−600海里)機走可能。ただし逆風下での効率は2-4割減退。

以上ですが如何でしょうか?


2007/12/8/08:55JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
目先の航路了解しました。12/13以降再び高気圧がケープ沖の定位置に戻ると見られます。それまでの間、風向が不安定になりますので、メールの通り、風向にあわせて対応願います。
幸いなことに低気圧も発達したものではないため、周辺の海況で特に不安定な海域はありません。

JST12月9日0300時 GMT/船内時 1800
26−49S/17−25W N 7m/s COG 120T SOG 5kts 曇/快晴 27℃ 65% 1020hPa

昨日に引き続き、順調な航海が続いている。両日共にデイランは130海里。
フレンチポリネシアで会った、カナダ国籍のセレニティより早々とニュージランドのオプアに入港した知らせと併せクリスマスメールが届いた。ケープホーンに向かってライアテアを去るとき、フォグフォーンで出航時の別れの挨拶をしてくれた、懐かしいカナダ人夫婦。又会えるような気がする。

以下引用

Dear Tamio,Merry Christmas and a Happy New Year.
We hope your last year was most enjoyable. We enjoyed our time in the Tahiti together and were wondering where you are and what is happening in your life. Also, thank you for the charts; they came in handy.
We arrived in Opua, New Zealand November 7th after a trip that left us with a record number of broken parts but nothing life threatening to report.

We are still in Opua finding it a convivial spot and doing some day trips.
We will do some "gunk-holing" in and around the Bay of Islands before going on the hard and doing the out of the water work on the boat. Lastly some land travel before our next transit.

Our itinerary is coming together and we are looking into joining the 2008 Indonesian Rally, continuing to Phuket Tahiland and doing the cosmetic work on the boat at that time.
The weather here is cooool for us. We miss the tropics and the agreeable temperatures.
Love, Ann and Lew S/V Serannity


2007/12/9/08:30JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
次の高気圧は本船の航路のすぐ北で北西から南東へとのびる見込みです。
東へ寄りすぎると、この高気圧の中へ入る可能性がありますので、現在のコースを維持するようお願いします。
詳細は明日お伝えします。

JST12月10日0300時 GMT/船内時 12月9日 1800
28−26S/16−32W NE7m/s COG 150T SOG5kts 晴/霧雨 27℃ 71% 1020hPa

今夜中に風が西、その後南西に振れる見込み。明日中には30S−15W近辺に到達出来るだろう。現在地は南大西洋のど真中。東方にアフリカ大陸のナンビア。西方にブラジルの南部。距離は何れも約3000km。


2007/12/10/09:10JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。192時間予想を添付します。
現在移動性の高気圧が本船の南を西進中。明日から明後日は気圧の谷に入り、明日は南西の風。明後日は南に出来る弱い低気圧の影響で再び北より。風速はいずれも20kt以下。
その後35S〜40S間を低気圧が南東へ進む見込みで、航路上は北〜北西風に変わると予想されます。風速は東の高気圧と西の谷の間で気圧傾度やや急となり、20-30ktが予想されます。東の高気圧の動向が未だ不確かですが、当面32.5S-0E付近をウエーポイントとしてご検討ください。

JST12月11日0300 GMT12月10日1800
28−53S/14−54W S4m/s COG 105T SOG 2.5kts 快晴/晴 26℃ 63% 1018hPa

馬場様
風弱く、南から東に振れ始めたので、1830時より機走に入りました。本日受領した気象図を参考に、北東の風を早く捕まえるため、当面32S/10W(COG125T/SOG4.5kts)に向かい、その間風の振れにあわせ32.5S/00Wを目指します。気象の著しい変化がありましたら随時連絡お願い致します。後半に備えるため、先ほど清水タンク/燃料タンク共に満タンにしました。

1600時漁船にあった。
ヴェルデを出てから、大型船を一度も視認していないが、漁船は三度目。最初は赤道付近で、夕方4隻の漁船が、彼方此方走り回っていた。当方より通信を試みるが応答無し。2度目はセネガルの沖合いで、こちらが気がついた時には数百メートルまで接近していた。直ぐに通信を試みるが応答無し。レーダーも点けていない。200トン程度の老朽船で傾いて走っている。デッキにクルーが7-8人集まりこちらを見ている。アフリカ人のようだ。その内ダーマの20−30m先を横切り、マイクで何か叫んでいる。良く聞いていると「Keep Going !」と行っている。こちらの航路を妨害しておいて「Keep Going !」は無いだろうと思ったが、或いは救助が必要かと親切心で接近してきたのかも知れない。暫く併走していたがその内に次第に視界から消えていった。

今回は右舷2−3海里を走っていたので、そのまますれ違うかと思っていたが、そのうちに方向を変え、こちらに向かってきた。この船もレーダーをつけていない。念のため無線をスイッチを入れておいたら、今回は先方から連絡してきた。カナリア諸島のラスパルマスを出航し、スペイン本土に戻る途中との事。当方の目的地を伝えると、フランス籍か?イギリス籍かと尋ねてきた。「ジャパン」と答えると「何か入用なものは無いか?パンはどうか?」との有難い申し入れあり。当方より申し入れに対する感謝を伝えた上で、得に必要なものは無い旨先方に連絡。
最後に「良き航海を !」と言って交信終了。漁船の後を沢山の海鳥が追っているので、仕事を追え獲物の選別をしていたところらしい。先方はダーマの前を横切り、左舷後方に消えていった。


JST12月12日0300時 GMT/船内時 12月11日 1800
29−49S/12−49W NE 7m/s COG 105T SOG 5.5kts 晴/曇 25℃ 65% 1016hPa

馬場様
テーブルマウンテンですか。ケープホーンに次ぐ憧れの地でした。馬場さんは調査船で何度か寄港されているのですよね。高気圧がケープタウンの北西に落ち着いてくれるといいのですが。
気は逸りますが、海況に会わせ慎重な航海を続けます。現況以下の通りです。

昨夜1830時、機走開始。本日0930時、NEの風5m/sで帆走開始。正午過ぎから6-9m/sで安定。時折0.5ノットの随伴流あり、SOGが6ノットを越えることがある。

チリのプエルトウイリアムスでアーストラリア籍の「Six Packs」と言う名のヨットに会った。彼らは、オーストラリアからケープタウンに寄港した後、アフリカ大陸に沿って北上。高気圧の北側を抜け、ブラジルーアルゼンチンを経由してビーグル海峡に入っている。
航海中に会ったヨットで、ケープタウンの直接情報に接する事が出来たのは「Six Packs」のみ。彼らのアドバイスでロイヤル・ケープタウンヨットクラブのマリーナに入ることにしている。又晴の日、午後から夕方まで、テーブルマウンテンから港へ強い吹き降ろしの風がある。時には20m/sを越えるとのことだ。通常入港時間は、可能な限り、正午にしているが、ケープタウンでは午前中、比較的早い時間での入港を予定している。

ケープタウンまで残り1600海里。順調に行けば12月23/24日頃になりそうだ。


2007/12/12/10:22JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。192時間予想を添付します。
ケープ沖から北西にのびる高圧帯の軸は5W線で35S付近にあります。これから徐々に北に上がっていく事が予想されますが、ここ一両日はこの動きを見極めるため、やや南にコースを落とされた方が無難かと思われます。当面33S〜34S-5W。西からの低気圧は発達せず、いずれ高気圧に吸収される(消滅)ような形となりそうです。
高圧軸は一旦北に上がった後に移動性高気圧となって西方へ進み、ケープ沖に新たな高気圧を形成するというのを周期的に繰り返すパターンが見えてきました。出来れば、北の移動性高気圧がある間にその南を東進し、次のケープ沖の高気圧が膨らむ前に東側へ出るのがストーリーです。

JST12月13日0300時 GMT/船内時12月12日1800
30−45S/10−38W ENE 7m/s COG120T SOG5.5kts 快晴/晴 25℃ 62% 1020hPa

馬場様
本日電話にてお伝えしましたように、当面33.5S/05Wへ向かっています。風良し天気晴朗。現況以下の通りです。

南緯30度線に接近し、針路を東に向け始める頃から、航路の南側を頻繁に通過する低気圧や、その度に、航路の鍵を握るケープ沖の高気圧の位置の変化がアプローチに影響を及ぼすようになってきた。ここ数日易い気象が続いており、自分はその変化に翻弄されるばかり。
本日馬場さんのメールから、変化のパターンを知り、目から鱗が落ちたようだ


2007/12/13/11:45JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
こちらでも、ケープ沖の高気圧の動きが気になっています。
40S付近では谷と峰が交互に東方へ移動。谷は低気圧を伴って南東へ。峰は高気圧を伴って東あるいはやや東北東へ進んでケープ沖へ。その後北西から南東へのびた高気圧の一部はインド洋へ向い、一部は反転して北西方〜西へ。
本船が西経側から東経側へ移動する頃に、高気圧の中心がどこに来るかが当面のポイントです。
本日の予想では12/20頃の中心は35S-5E。従って、36S-0E付近まで南下することも検討しておいてください。
難しいのは気圧系の動きが本船よりずっと早いことです。

JST12月14日0300 GMT/船内時 1800
32−02S/08−26W NE 4m/s COG125T SOG5kts(機帆走) 快晴 28℃ 68% 1022hPa

馬場様
弱風域に捕まったようです。午後から断続的に機帆走。気象状況が急速に変化しているような雰囲気です。明日の気象予測結果とマップで航路の再確認をしますがそれまで34S/05Wに向かっています。現況以下の通り。

最近の大型外洋艇は気象の動きに匹敵する速度(15-20ノット)で移動するそうだ。特に追手の場合、高気圧或いは低気圧の周辺で、目的地に向けて最適の風向・風速を得るような位置取りをし、気象条件を最大限有利に利用できる。
軽風が長期に続く場合を除き、小型艇が勝つチャンスは無いらしい。ダーマの速度は小型艇の中でも最も遅いグループに属するので、気象システムに遅れを取るのは止むを得ない。

それにしてもこの海域での気象の変化は早い。気象情報や推進機関のない帆船で、ここを航行するのは大変だったろう、と思いを新たにしている。南半球、北半球共に、30度線付近は中緯度低圧帯と分類され、別名ホースラチチュード(馬の緯度)と呼ばれている。凪に捕まり、航海が予想より長期化した時、積荷の大事な馬を投棄したとの故事に由来しているという。30度線に近づいてからは、晴天が続き、スコールにも会っていない。

古の、船乗り伝う、この海は、時化より怖い、馬が中緯度。


2007/12/14/09:05JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。192時間の予想図を添付します。今回は経度を30度に広げています。まだまだ距離はありますが、天気図に目的地が見えると、総観的な気象の見方が可能となります。ここはしばし弱風に艇をゆだねて次の風を待ちましょう!!
航程から考えると、ケープにアプローチする際、高気圧の真ん中を横切らざるを得ない可能性もありますので、燃料の節約をお願いします。
高気圧は引き続き周期的に伸び縮みを繰り返しています。
今の予想から見ると、36S-0E付近まで下がることも検討してください。
クリスマスは貴艇のケープ到着を待って貴艇と一緒にすることにします。

菅原さんのwakamizuが12/13/11:45LTに無事セントルシアへフィニッシュされました。取り急ぎ御連絡します。

JST12月15日0300時 GMT/船内時 14日1800
33−08S/06−25W NE 7m/s COG120T SOG5.5kts 快晴 25℃ 61% 1018hPa ケープ迄残り1250海里。

馬場様
丁寧な気象情報有難うございました。本日は36W/0Eに向け終日帆走。週末に大きな変化が無ければ、週明けに新たな気象マップと予報解析をお願いします。 現況以下の通りです。

風が出てくると気が逸り、弱くなると落胆する。一喜一憂を繰り返している。時には、所詮風任せと割り切れないところに、未だ若さというか青さが残っているのだろうか。

4日前に漁船に会っている。その時漁船の後を追っていた鳥山の内1家族が、群れから離れダーマの後をついて来ている。トンガからニュージランドへ行くときも、種類は違うが後を追ってくる数羽の鳥がいた。陸地が見えたところで突然何処かへ飛び去って行った。今回は全部で5羽。中型の褐色をした鳥だが、顔に白い隈取があるのが特徴。隈取の濃いのが雄のようだ。子鳥の3羽の体長は親鳥に近い。
時々組み合わせを変えて低空飛行を繰り返しているので、餌の見つけ方、取り方を教わっているようだ。小鳥たちも、遠からずして、ひとり立ちしていくのだろう。夜どうしているか不明だが、日中は飽きもせずにダーマの回りを飛び回っている。
時々見えなくなるので、何処かへ行ったのかと思うと、近くでプカプカ浮いている。水面に休んでいる時間は短くせいぜい10数秒。水面に長く浮かんでいるのは、大型回遊魚の餌食となるリスクがあるからだろうか。その代わり10分程度飛んで直ぐ休む。時々5羽が数メートルの至近距離に集まって浮かんでいる事もある。
家族会議でもしているように見える。仮に陸地に近づくまでついてくるとすれば、この家族は南アフリカへ行くことになる。スペイン本土へ向かう漁船の後を追っている鳥たちは、イベリア半島迄行くのだろうか?

            ケープ沖、波間に集う、親子鳥、一人旅する、我と違いて


2007/12/15/07:48JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
現在、本船の南を気圧の谷が通過中です。この後、12/17には移動性高気圧が同じく本船の南を通過する見込みで、一時南から東よりの風に会う可能性もありますが、ここは我慢です。12/18以降、この高気圧はケープ沖から北西に帯状に伸び、風も再び北〜北西に変わります。次の谷が通過する12/22頃、高気圧は北西から西へと移動する見込みです。
本船が高気圧を横切る(東へ変針)タイミングを12/19頃として考えておいてください。最終的には月曜12/17にお送りする予想図から決定してください。
このあたりの上空は偏西風の場で、海上では谷や高気圧が足早に移動します。まだ一、二回風の変化に翻弄されるかもしれませんが、インド洋に抜ける大航海時代の航海士が夢にまで見た「喜望峰」まであと少しです。
安全航海で行きましょう。

JST12月16日0300 GMT/船内時15日1800
34−18S/04−16W NNW 6m/s COG115T SOG4.5T 曇・雨/晴 22℃ 69% 1011hPa 残り1150海里

引き続き36S/0Eへ向け帆走中。

既に風は収まったが、今日は久しぶりの強風。最大風速17m/s。8月末ビスケー湾で吹かれて以来。風は昨夜から少しずつ吹き出し、東から北西に振れ、追っ手に近くメインセールのみで帆走。時折0.5−1.0ノットの反流あり。
今朝10時頃から本格的に吹き始め12時頃をピークに1500まで強風下、3ポイントにリーフしたメインセイルだけで帆走。本格的な時化ではなかったが、風が強く波が悪いと時折ブローチングしそうになり緊張する。
強風の中でも、雨の中でも5羽の海鳥は船の周りを飛び回りながらついて来ている。今夜はぐっすり眠れそうだ。


2007/12/16/08:10JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
南を通過する低気圧から北西方にのびる前線が通過したようです。
明日は高気圧が南を東進するため、一時東よりの風になる見込みですが、明後日からは、航路の東側で、高気圧は再び南東から北西にのびる見込みです。
次の谷の通過は12/22-23頃ですが、航路への大きな影響はないと思います。

JST12月17日0300時 GMT/船内時 1800
34−59S/02−30W SSE 6m/s COG115T SOG3kts(艇速4.5kts、波・反流あり) 曇・雨/晴 22℃ 64% 1019hPa 残り1040海里

馬場様
ケープ付近の気象パターンが見え始めたとのメール(12月12日付け)以来、相変わらずの気まぐれな気象状況にもかかわらづ、予想通りの推移しています。当方は受信した情報に基づき、粛々と帆走を続けています。現況以下の通り。

早朝、西よりの風が南に振れ、上りに近いクローズドリーチで定点(南南東:36S/0E)へ向かう。35度線に近づいてからスコールが多くなった。現在スタボードタックで帆走しているが、今後風が南から東、更に北へと振れることが予想されている。従って一時的に東から北東へと向かわざるを得ないが、風が南東まで振れた時点でポートタックに転じ、再び定点へと向かう。風が落ちれば機走するが、可能な限り帆走を継続する。


2007/12/17/09:30JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。192H予想を添付します。
現在本船の南を移動Hが通過中です。明日12/18には本船を追い越し、風も北〜北西へと回る見込みです。
今後の航路ですが、36S-0Eから36S-5Eに東進され、35S-10Eを経てケープへの最終アプローチでご検討ください。
今日の予想から見ると、高気圧の南の縁をうまく回りんでいけると思います。
12/21までは北〜西〜北の風、5-10m/s、一時5m前後(高圧帯の中)、12/22以降、南を谷が通過し、その後から次の高気圧が東進してきますので、北のち西よりの風徐々に上がり、12/23-24は10-15m/sとなりますのでご注意ください。

2007/12/16/08:10JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
南を通過する低気圧から北西方にのびる前線が通過したようです。
明日は高気圧が南を東進するため、一時東よりの風になる見込みですが、明後日からは、航路の東側で、高気圧は再び南東から北西にのびる見込みです。
次の谷の通過は12/22-23頃ですが、航路への大きな影響はないと思います。

JST12月18日0300時 GMT/船内時12月17日1800
35−45S/01−30W ESE3m/s COG170T SOG4.5T機帆走 晴 24℃ 51% 1026hPa

馬場様
本日LT0900時風がSEからESEへ振れたタイミングで針路を南に変更しました。以後風が次第に落ち(6−>2〜3m/s)機走と帆走を繰り返しています。大部分は機走。帆走可能な風を捕まえる36度迄南下中です。そこで良い風が得られなければ、徐々に37度線まで南下することも考えています。この点につき明日アドバイスお願いします。 現況以下の通りです。

昨夜は風が不安定で波悪く、断続的に機帆走。今日日中は風弱くやはり断続的に機帆走を続けている。午後4時過ぎ、少し風が出てきたのでエンジンを止めセールのトリムをしていると、左舷20mに鯨が浮上。全長15m位。何故か、あまり迫力を感じなかった。このまま進むと衝突、少なくともニアミスの可能性があるので、直ぐにエンジンを始動。幸い鯨は方向転換し遠ざかっていった。この航海中はホエール・ウォッチングする気にはなれない。


2007/12/18/08:45JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
風はこれから徐々に北よりに振れ、明日は北西〜西よりに変わる見込みです。
高気圧の中心は本船の前方で停滞しています。航路上はこの高気圧に覆われ、全般に風は弱めですが、36Sまで下がれば中心の南を通過できるはずです。また、12/21頃に谷が通過、その後西から次の高気圧が張り出してくるため、風も次第に強まると予想されます。風を捜して後1度南に下がることも一案ですが、ここは風が北よりに振れたならば36S付近をゆっくりと東進され、次の谷の接近による風を待つ方が良いのではないかと思います。
なお、12/23以降のケープ沖は高気圧と内陸の低圧部に挟まれ、15m/s前後の南より、波高4mが予想されますのでご注意ください。
到着を12/26と予想していますが、前日にはテーブルマウンテンが見えてくるでしょう。今回は「船上のメリークリスマス」となりそうですね。Bon Voyage.

JST12月19日 GMT船内時12月18日1800
36−13S/0014E NE5m/s COG85T SOG5kts 晴/曇 22℃ 61% 1024hPa

「戦場のクリスマス」は「戦場にかける橋」を裏返したような映画だったような記憶があります。マニラだったかシンガポールだったか場所は忘れましたが、刑死を待つ戦犯がクリスマスを迎える話でしたね。仰る通り「船上のクリスマス」を迎えることになりそうです。出来れば、テーブルマウンテンをランドフォールした直後、大航海時代に思いを馳せながら、最後の赤ワインを残しています。

本日GMT1535時、南緯13度35分で子午線零度を通過。WP36S/10Eに向け順調に帆走中。現況以下の通り。

昨夜は風速零。機走を続けていたが、そろそろ燃料の残りが気になってきた。大事なところで燃料が無ければ、油断していたとの謗りを免れない。2100時、600AHのバッテリーが100%充電された時点でエンジン停止。セールを降ろして一眠り。23時北北東7m/sのフレッシュエアが入り、帆走に移る。この風も4時間後には止まる。再びセールを降ろし、航海灯を停泊灯に切り替えて一眠り。午前10時北東風が吹きだし、以後安定した状態で帆走を継続。船を止め休んでいる間に、長い間ダーマの後を追っていた鳥たちは、どこかへ消えてしまった。


2007/12/19/09:50JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。192h予想を添付します。
12/22までは風のやや弱い状態が続きますが、海流は西から東へと流れています。
12/24-25は西からの高気圧の張り出しで、ケープ沖では南東風が30-40ktまで強まり、波高も4m前後が予想されています。艇のリーウエイが御心配のようでしたら、36S線での航行を少し東に伸ばしても良いかと思いますが、いずれにしても南東風が吹き始めたら上りとなりますので北東へコースを変えざるをえないと思います。
また、ケープ沖の時化を避けるのであれば、12/25での艇のポジションを12-13Eまでにしておき、12/26以降の高気圧の弱まりを待つことも選択肢の一つですが、この案はやや後ろ向きの考えになります。

JST12月20日0300 GMT/船内時12月19日1800
36−12S/01−58E NNE6m/s COG90T SOG5kts 晴/曇 23℃ 61% 1023hPa 残り820海里

馬場様
高気圧の支配下にある為か、日中は6m/s、5ノットのペースで帆走。 夜冷え込んでくると2-4m/sの風となり2-3ノット。平均して一日3.5ノットのペース。燃料の方は、60リットルの予備を残し3-4日間機走可能。現況以下の通り。

航海を半分ぐらい過ぎた頃から、一航海(最大)の目安を卵の腐らない距離/期間と漠然と考えるようになっている。ニュージランドで整備をするまではバッテリーの容量が少なく、冷凍庫を利用することが出来なかったので精々2−3週間だった。ニュージランドからは、寒冷地を帆走していたので一ヶ月程度は持つ事が解った。本航海では、特に赤道通過時には冷凍庫を常時運転状態とし、最近は気温が冷えてきたので昼間だけ運転している。又卵の黄身が重力で沈み、殻と接触し始めると腐食が早まるのが解り、1週間に一度の割合で裏返しにしている。

これまでの結果だが、昨日47日目でカナリー諸島のラスパルマスで11月1日に購入した4ダースの卵を、総て使い切った。ヴェルデで出航前、11月13日に購入したのが未だ1ダース残っている。


2007/12/20/09:08JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。明日に替えて本日192時間予想をお送りします。
夜間に風が落ちるのは、気温の低下によって大気が安定(対流が弱まる)、高圧部が拡大するためです。
西から谷が接近中で、現地時間の明日昼前頃から北西風が吹き出し、翌12/22前半にかけて10m/sをやや越えるようになります。同日午後からは次の高気圧が西から張り出し、風は南よりに代わり平均10-15m/sとなる見込みです。
中心が本船を追い越すことはないようなので、ケープまでそのままの海況が続くでしょう。

JST12月21日0300 GMT/船内時1800
36−10S/3−45E NNE 5m/s COG 90T SOG3.5kts 快晴 24℃ 65% 1020hPa 残り730海里

軽風ながら、順調に目標に向かって帆走しています。気象に大きな変動が無ければ、週明けに長期予報(マップ)の送付お願いします。現況以下の通りです。

午前1000時、快晴。陽気が良いので、久しぶりに海水を浴びて体の汚れを洗い落とす。肘、膝、踵などから驚くほどの垢がポロポロ。身体を清潔に保つ為、通常はペットボトルに針先ほどの穴を開け、目や洗顔他、身体の汚れを落とすようにしている。

正午、デッキで本を読んでいて気がついたら、右舷4キロを5万トン程の原油を満載にしたタンカーが同じ方向に向かって航行中。間もなく追い抜いていったが、不思議なことにレーダーを点けていなかった。不信感を抱かせるタンカーだった。ケープタウンに入港するのだろうか。

これまでの航海では、強風下で如何に安全に航行するかを考えてきた。お陰で無事にここまできたが、最近は軽風下でも艇の能力(速度)を引き出せるようなリグのデザインを考えており、まとまりつつある。実施前に三河ヨットの堀江社長、デザイナーの林さんとの相談が必要だが、可能であればニュージランドで実施したい。


2007/12/22/07:40JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
西から気圧の谷が接近中です。このあと12-18時間で谷は東に抜け、同時に風も南よりに変わる見込みで、風速は南よりで一時15m/s前後。
その後風はやや弱まりますが、ケープまで10-15m/sの南東よりの風が続きます。これから海況が不安定となりますので航行には十分ご注意ください。

2007/12/23/15:50JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
西からの高気圧による悪い海況は今日一杯。明日は高気圧が本船のやや南を通過。風は東よりですが海況は落ち着きます。明後日には再び高気圧が航路の北に出るため、風も良くなりますのでもう少しの我慢です。
詳細は明日にお送りします。

JST12月24日0300 GMT/船内時23日1800
35−44S/10−18E SSE10m/s COG75T SOG4kts(1ノット前後の反流あり) 晴 18℃ 71% 1025hPa 残り415海里

昨夜の時化は少々コタエタ。今までは追っ手で時化を迎えることが多かったが、今回はクローズドリーチ。風向は真横だが、20−30度のリーウエイがあり、油断すると目的地より更に北へ向かっていく。時化のピークは夜11j時から明け方4時まで、その後少しずつ収まったが、余波が未だ尾を引いている。可能な限り東へ向かおうとしているが、結局目的地(75T)へ向かっている。パンチングで失速したり、雲の具合で目的地よりも北へ向かうこともしばしばある。このまますんなり入港できるかどうか、予断できない状態。今夜は取りあえず休息を取る事にする。


2007/12/24/09:05JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信しました。84時間の予想図を添付します。
時化の中の航行お疲れ様です。海況はゆっくりと安定する方向に向かっています。風向は引き続き南より、東成分が時折入る可能性も。走りづらい海況ですが、もう少しです。がんばってください。

JST12月25日 GMT/船内時1800
35−19S/11−39E SE6m/s COG75T SOG3kts(艇速5kts) 晴 22℃ 69% 1019hPa 残り345海里

馬場様
海峡は改善されつつありますが、2ノット前後の反流が継続的にあり、入港が遅れています。入港日が28日となる可能性も出てきました。もう暫くフォローお願いします。海況以下の通りです。

天空をやや平たいが、独立した積雲が覆っている。雲量は70%程度。この雲の影響で風速が2m/s前後、風向が30-40度影響を受ける。問題は、数日前に風が南に変わってから2ノット前後の反流があることだ。気になるので、英国水路部発行の「Ocean Passage for theWorld」で調べてみた。

この海域では30S/0Eから38S/20Eを中心軸とし、この軸に沿って、インド洋から流れ込むAgulhas海流とBenguela海流が合流し(本流として)北西方向へ流れている。また南大西洋海流が東方向へ、南大洋海流が東北東に流れこみ、本流に干渉している。

一方馬場社長から送っていただいた、海流図では現在航行中の航路上に、半径100海里程度の海流の渦が半時計周りに流れている。想像ではあるが、この渦の内部、周辺部には数十海里、十数海里或いはそれ以下の大小さまざまな海流が渦巻いていると思われる。

実際帆走していて、風向がそれほど変化していないのに、針路が突然40度、50度と変わる。その後次第に元の航路に戻る。時には90度以上変化する。艇速が遅いと、風向と進行方向が一致することさえある。これが一時間の間に数回繰り返される。昨日はその都度針路変更をしていたが、今日は慣れてきたので、大きな変化が無ければ、平均針路を中心針路(75T:ケープタウン)に向け、小さな変化は無視している。

何れにしろ、雲と海流により思ったように距離が延びない。艇速は5ノット以上をキープしているので、機走してもあまり効果は期待できない。風のある限り、辛抱強く帆走を続けている。

出航以来今日で41日。今夜はクリスマス・イヴだが、同時に満月でもある。丁度一月前、赤道を通過した直後が満月で、月見をしながら赤道祭をした。今夜は月見をしながらのクリスマスイヴ。


2007/12/25/09:11JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。84時間の予想図を添付します。
高気圧の張り出し部は順調に東へ移動していますので、今後は波も良くなるはずです。ただし、西から次の谷が近づいてきますので、12/27には16E線付近が気圧の峰の境目となり、東側では南より、西側では北よりの風の場となる見込みです。谷は南東方へ抜けていきますので、航路上では翌12/28には再び南よりの風が卓越する見込みです。
海流については、17E線付近まで西流が見られ、以東は南ア沿岸部を北上する北西流となっています。
風向きと海流の向きが妨げになり、航行に苦労されているようですが、ケープまで後少しです。
宜しくお願いしますよ!!

JST12月26日0300 GMT/船内時25日1800
34−41S/13−42E S9m/s COG80T SOG7kts(1.0ktsの順流有) 快晴 22℃ 68% 1016hPa 残り240海里

海況が著しく好転してきた。早朝3時それまで2−2.5ノットあった反流が、少しずつ緩み、正午にはゼロ。その後次第に順流となり、現在1ノットのプラス。あくまでも想像だが、これまで北西へ進む本流の下に潜っていた、東流、北東流が表面に出てきたと考えられる。


2007/12/26/09:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。84時間予想をお送りします。
本船はこれから気圧の峰に入り、12-18時間、弱い南東〜東よりの風域に入りますので、燃料に余裕あれば機帆走でこの域を抜ける事も検討してください。その後、西から近づく谷の影響で西よりの順風に、それから再び南〜南東よりに変わるでしょう。
今日中にはテーブルマウンテンをランドフォール?もう少しですね。ご安着をお祈りします。

2007/12/27/09:05JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
風の弱まりは本船が気圧の峰の中に入ったと推察されます。この後、西から南へと風が変わり、風速も徐々に出てくると予想されますが、10m/s未満。海流は北西。
海況思うようにならない現在ですが、ケープ沖での高気圧縁辺の南東の強風が無いだけでも良しとしましょう。
一ヵ月半ぶりの陸地はもう目の前ですね。船員が「ランフォー」と叫んだ大航海時代に思いを馳せ、一時も早くテーブルマウンテンがダーマ艇長の目に入ることを願っております。

JST12月27日0300 GMT/船内時1800時
34−18S/15−59E ESE2m/s 機走 COG80T SOG4kts(艇速5kts) 快晴 25℃ 54% 出航以来43日目 残り125海里

馬場様
終日1-2ノットの反流に遭い、入港は28日の朝になります。ランドフォールも一日延びましたが、明日利息付でに感動することになります。
現況以下の通り。

早朝2時、それまで海流に乗り6ノット前後で帆走。風が弱くなり機帆走で6ノットを何とかキープ。明けがた反流に変わり、COGが4ノットまで低下。正午近くに風が止まり、セールを降ろして機走。南アフリカの時差(GMTプラス2時間ー夏時間はプラス3時間)を考慮すると、日没前の入港は不可能と判断し、27日の入港を断念。
現在艇速を調整しながら、28日朝の入港を目指している。


JST12月28日零時30分 GMT/船内時 27日15時30分
34−08S/17−34E W6m/s COG70T SOG3kts 快晴/曇 25℃ 61% 1014hPa 残り45海里

馬場様
厚い雲が南から移動してきたので、メールを通常よりも早く打ちます。GMT1300時、陸地から50海里の地点でランドフォールしました。その前からテーブルマウンテンの方角にのみ白雲が見えたので、およその見当はつけていましたが、感動しました。

テーブルマウンテンと頂上にかかる白雲

先ほど戴いた情報で、ロイヤル・ケープタウン・ヨットクラブとコンタクトできました。現地時間で、明日午前10時の入港を伝えています。尚現地時間はGMT/船内時間プラス2時間。入港後に時間を切り替えます。
現況以下の通りです。

昨晩は機走していたが、明け方6m/sの風が安定してきたので帆走に切り替え。速度調整中。メインセールを2ポイントから3ポイントと落とし、現在は4ポイント。予定よりもかなり遅れたので、ランドフォールの時は感激した。長い間見続けていても、飽きることが無い。今夜は18夜なので、雲の切れ間があれば、月明かりでテーブルマウンテンが見えるだろう。

               ランフォーだ 四十四日の海路経て テーブル山に 白雲の立つ


2007/12/28/09:06JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
現地と連絡取れてよかったですね。一安心です。
風は次第に南よりに変わりますが、入港まで海況は安定しています。
無事の入港と、ケープでの素晴らしい新年をお迎えになることをお祈りしております。

弊社は今日が仕事納めで、1月4日から出社します。

ご家族、御親戚、サポートの皆様、この一年間お世話様でした。
2008年も皆様にとって良き一年となることをお祈りしております。来年も宜しくお願いします。

2007/12/29/08:55JST
<馬場社長から目黒さんの情報>
目黒さんは昨日12/28/17時(日本時間)に無事ケープタウンに入港されました。
取り急ぎご連絡します。

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目黒さん入港のケープタウン関連の → Web Site集
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JST1月1日6時 現地時間で2007年12月31日0000
ケープタウンに着いて、今日で4日目。忘れないうちに経過を以下簡単に記載。

12月28日
テーブルマウンテンの強い吹き下ろしの可能性を考慮し、早朝の入港を予定していたが、入港直前の午前9時には早くも正面から強いブローが入る。時々15m/sを越える。アイルランドの時も同じような向かい風だった事を思いだす。電話とVHFでマリーナと連絡を取るが何れも通じず。そのままGPSの電子チャートを頼りにマリーナに入る。
最も風が弱いと思われるマリーナの一番奥のバースに舫いを取り、ず気象海洋の馬場社長に無事入港した事を伝える。その後マリーナオフィスにコンタクトすると直ぐに、昨日話したマリーナのマネジャー、Ashwinが「朝早くから他のヨットを曳航していたので連絡に応じることが出来なかった。」と言いながら来た。彼の案内でオフィイスに行き入港手続きを済ます。
直ぐにタクシーを呼んでもらい、入国管理事務所で、一ヶ月のヴィザ手続き完了。次いで銀行(AMEX)で換金した後、現地の日本レストランで久々の日本料理。店の名前は「LITTLE JAPAN」。オーナー兼シェフのく窪谷さんは20年ケープタウンで日本料理屋を経営している。町の情報を聞きながら「酒」を数杯。
再びタクシーを呼んでもらいマリーナに戻る。その晩は久しぶりに安眠したが、数回夜中に目が覚め、その度に今何処を走っているのだろうか?風向・風速を気にするが、直ぐに真マリーナに係留しているのに気がつき、深い眠りに入る。

12月29日
早朝日の出前に目が覚め、塩まみれの船の洗浄を済ます。昨日シャワーを浴びていないので、ノンビリと久しぶりに真水のシャワー。上架と整備のアレンジを済ませ午後から市内とケーブルマウンテンのバススアーに参加。ツアーの参加者はアイルランドから来た4人の家族とヨハネスブルグから来た若いカップル、自分を入れて総勢7名。テーブルマウンテンからの眺望は流石に素晴らしい。4人家族は、30歳後半のご夫人と二人の子供(7歳ぐらいの男の子と5歳ぐらいの女の子)それに夫人の父親。
アイルランドから来たのでアイルランドの話を時々交わしていたがツアーの最後の頃、男の子が「オジサンはどんな仕事をしていたの?」と尋ねたので、中東で石油開発の技術者として働いていた事を話すと、それまで静かだった夫人が「自分達はドバイに住んでいるの。」といったので突然話が弾んだ。彼女の旦那はドバイの国民で、名の知れた裕福なファミリー。自分が現地の国営石油と仕事で関係していたことを話すと、「名前は思い出せないが、元国営石油にいたクーリと主人は一番仲のいい友達だ。」と言う。思わず彼の名前は「サイード」かと尋ね返すと「YES」と答える。懐かしい名前である。
サイードは30年來、最も親しかった現地の友人である。夫人の言うところでは、国営石油を辞め、ドバイに戻り現在はEOC(エミレーツ・オイル・カンパニー)のCEOだという。お互い不思議な縁を感じる。アブダビにいた頃、サイードとはお互いの家を訪問しあったり、自分のヨットにも乗りに来たりした唯一の国民だった。
ツアーが終わり再び「LITTLE JAPANN」で夕食。夕暮れ前に散歩がてら少し歩いてからタクシーを拾いマリーナに戻る。 直ぐ近くに係留しているカタマランに呼び止められ、ウイスキーを御馳走になる。同年輩のオーナーと若い奥さんは来年仕事を切り上げ、念願の世界一周ヨット旅行に出るという。

12月30日。
朝九時に船をシップヤードに廻し、上架。シップヤードの船具店のブライアンとアシュウィンと3人で整備する項目の再確認。実際の作業は年明けの1月2日から始まる予定。

12月31日
自分で出来る範囲の整備を実施。時々知り合ったセイラー達が尋ねてくる。ヴォイヤーはクロアチア出身のカナダ人。
自分と同じようにパースに行く予定。ミッコーはフィンランドから来ているプロの写真家。

                      HAPPY NEW YEAR !!




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