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2007年5月

現地時間5月3日10:00ニューヨークのMarine Basin Marinaに入港
現地時間5月5日マンハセット ベイ マリーナに入港
現地時間5月18日10:00Shennecossett Yacht Clubに入港
現地時間5月23日8:30マサチューセッツ州フェアへブンのMarinaに入港
5月28日フェアヘブンを出航、北大西洋を横断しアイルランドへ向けて帆走開始
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軌跡
DHARMA単独世界一周航海日誌   2007年5月             戻る

JST5月1日 0600 GMT 4月30日 2100 船内時 1700
35−28N/73−32W WNW 15m/s COG 00T SOG4kts(1−1.5ktsの反流あり) 晴れ 25℃ 1014hPa

ニューヨークまで余すところ300海里。入港日時を5月3日午前10時と想定し、Marine Basin Marina(40−35N/74−00W、TEL:001−718−372−5700))を予約。同マリーナはロングアイランドの南西端(Gravesend Bay, Hudson River Entrance)に位置する。

北緯35度を越えた辺りから、再びサルガッソーが目に付くようになった。ガルフストリームを横切っているためと思われる。1100頃より反流に出会い、波悪し。夕方より風速上がり時折15m/sを越す。気象予報では、これからこの時化のピークを迎えるが、早ければ今夜中に、遅くとも明け方には峠を越えるだろう。

2007/5/1/08:50JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
ニューヨークの北東方を低気圧が東進中です。この界隈は大陸で生まれた低気圧が、洋上の暖かい海面で発達するものが多く、しかも周期が短いのが現在の状況です。
現在の強めの西より風波明日にかけて弱まりますが、5/2/12GMT頃を中心に次の谷の通過で再び一時西より10-15m/sが吹く見込みです。
5/3/00GMT以降は海況も安定してくるでしょう。
ガルフの本流は35N以北で離岸傾向にあるため、ニューヨーク沖では北からの反流域となります。

JST 5月2日 0600 GMT 5月1日 2100 船内時 1700
37−19N/73−16W  E 5m/s 機帆走 COG 00T SOG 5kts 快晴(薄曇) 23℃ 1017hPa

ニューヨークまで残り190海里。カリブ〜ニューヨーク間の航路は、第5レグに相当するがこれまでと同様、簡単には終わらせてくれない。昨夜の時化は思った以上に強烈だった。風速は最大18m/sどまりだったが、ガルフ本流とその前後の反流に遭遇したため、波の状態が極めて悪かった。頼りのウィンドベーンが故障して使用できなかったことにも起因するが、切り立った波と、過流のため、船の方向が瞬時に変化する。その為にヘルムも瞬時に変わり、オートパイロットが悲鳴を上げる。西風が強くなってからは、ヘルムをニュートラルに保つため、進路を北北東に取った。加えて、3ノット強のガルフストリームのため、予定の航路から外れ、東に30海里流されている。2時間程度仮眠を取ったが、一晩中緊張を強いられた。気象情報から短時間で、低気圧が過ぎ去る事が解っていたのと、月齢13夜で晴れていたため、見通しが良かったのが救い。

夜明けと共に風が治まり、それまで吹いていた西風が、北から東に振れ、現在は東風5−7m/sで北上中。今夜は又低気圧が北を通過。航路上では、昨夜よりも強い風が、長い時間吹きそうだ。念のため、安全を優先し、既にメインセールを降ろしている。バックステイを締め込み、風が強まったら、、ジブだけで走る事にした。強風が通過した後、入港まで、逆風(北風)となる可能性が大きいので、その時は機走する事になろう。早朝、海況が良いときを見計らって、燃料タンクも満タンにし、睡眠もとった。強風の間、沖出しするか、海岸線に沿って最短距離を北上するか、未だ決めかねている。結局は風任せになるだろう。

2007/5/2/08:50JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
5/2/12GMTを中心に本船の北、41N付近を低気圧が通過します。風は南西〜西〜北へと回り、南西で10-15m/s(最大はこれよりやや強い可能性もあります)が6-12時間程度続きます。北に回ってからは5-7m/sに弱まるでしょう。
南西の強い風と、その後の北風ですんなりとはニューヨークは迎えてくれませんが、あと1日あまりの航程です。十分気をつけて航行してください。
ご安着をお祈りします。

JST 5月3日0600 GST5月2日2100 船内時1700
39−19N/73−19W E5m/s 機帆走 COG340T SOG 5.5kts

馬場様
昨日は、休暇中にも関わらず、最新の気象情報を送って頂き有難うございました。お陰さまで安心して走ることができました。以下現況です。

ニューヨーク迄残り80海里。予定通り明日1000時には、Marine Basin Marinaに入港できる見通し。

一昨日の時化が、ガルフ本流横断と重なり、予想以上に厳しかったので、アプローチに入った昨夜は十分すぎるほど警戒しながら航行。結果的に海況は思ったよりも穏やか、というよりも気象予報通りだった。事前にメインセールを降ろしていたが、ジブだけでは艇速が伸びず、夜中にラッシング(セールを固定したロープ)を解き、3ポイントでどうやら5−6ノットの艇速を確保。明け方には風治まり機帆走に移る。
風は西から北に振れ、今日夕刻には東まで振れている。海況穏やか、0.5〜1ノットあった反流も消え、順調に北上中。今のところ本船の数は少ないが、トロール船らしい大型漁船が数隻、近くで操業中。
ガルフストリームを越えた途端、急に気温が下がっている。温度差は10℃。昨夜は久しぶりに、防寒具に包まれてのウオッチだった。

2007/5/3/07:15JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
気圧を通過した低気圧の中心が本船に近かったため、風は予想より弱かったようですね。
この後は特に顕著な擾乱の通過はありません。入港まで比較的穏やかな海況が期待できます。ただし、風向は海陸風の領域に入るため、朝晩と日中が入れ替わるでしょう。
ご安着をお祈りします。

NY Marina
Marine Basin Marina に入港

JST5月3日2300 GMT 1400 現地(ニューヨーク)時間1000
本日0945 つまり15分前ですが、
無事予定していた寄港先 Marine Basin Marina に入港しました。
Marina事務所の係員が来るのを待っているところです。
現地の状況、トピックス、今後の予定など、従来どおり、適宜連絡するようにします。   以上取り急ぎ

JST5月9日0600 GMT5月日2100 現地(ニューヨーク)時間 1700
現地時間5月3日の朝到着時にメールを打ちましたが、今日は5月8日。その間の現地の状況を簡単に報告します。

5月3日:到着後、直ちに税関に電話するが通じず。マリーナで番号を教えてもらう。連絡はついたが、3箇所ほどたらいまわしにされたうえ、最初に電話した事務所を教えられ、当方も混乱。結局、マンハッタンから派遣された、税関の若い職員2人が到着したのは午後2時。正午に小西さん(20年近く前、中東勤務時代に家族で付き合っていた友人。3年前よりニューヨーク勤務)が昼食を誘いに着たが、入国手続きが終わるまで、船から離れることができず残念ながらキャンセル。手続きそのものは簡単に済み、同時に出国手続きも完了。3ヶ月間は滞在可能。夕方小西さんが来て、車で彼の自宅へ向かう。彼の住んでいるポートワシントンはニューヨーク市から東へ1時間、閑静な高級ベッドタウン。奥さんと犬(ラブラドール)の「ノビタ」に迎えられ、改めて久々の再会を喜ぶ。その日は特性のシャブシャブと刺身でもてなしてくれた。

5月4日:終日小西家でノンビリ過ごし、夜は小西夫妻と近くの「ながしま」という名の日本料理屋で江戸前の握り寿司。板前さんが2人とも日本人なので、久々に本格的な寿司を堪能。

5月5日:Marine Basin Marinaからポートワシントンにダーマを回航。ご主人は、テニスの約束があり、奥さんのみ同船。朝8時出航、上げ潮に乗りロングアイランドを反時計回りに移動。機走で5時間の航程。途中「自由の女神」や摩天楼、国連の建物等を左手に見ながら、大きな橋の下を数箇所通過。フェリーの往来が多いが、クラシックな帆船や小型の作業船等も行きかう。途中の狭い水路では上げ潮5ノット。艇速10ノットで急流の川下りをしているようで、スリルがある。
小西夫人
ニューヨークから自由の女神の前を通り
ポートワシントンまで乗船した小西夫人とダーマ

NY NY

午後1時、目的地のMANHASSET BAY MARINA(北緯40度50分/西経73度42分)に到着。迎えに来た小西御主人の車で、自宅へ。一休みしてその夜は、マンハッタンの「BLUE NOTE」で本場のジャズを鑑賞。開演は23時30分、出演は黒人女性シンガー「CASANDRA WILLSON」。家に戻ったのは夜中の2時過ぎ。

「CASANDRA WILLSON」の紹介CDのページへ(上から6番目)

NY Marina
MANHASSET BAY MARINAのホームページへ

5月6日:昨夜遅かったせいか、目覚めたのは9時。朝食後、歩いてマリーナに向かう。マリーナまで徒歩15分。途中に船具の専門店「WEST MARINE」がある。ここで電子チャート(Cmap)のアップデートを依頼。その後、小西夫妻の案内で、数箇所のショッピングモールを訪れ、食料品、衣料品等の買い物を済ませる。夜はマンハッタンに行く途中にある、韓国人街「ハンジョウ」で焼肉。御主人と同じ職場にいて、韓国料理に詳しい、若い社員「ナガシマ」さんが同伴。彼から週末ゴルフに行きましょうかと誘われ勿論OK。楽しみだ。

5月7日/8日 日中はマリーナでヨットの整備。プロパンの充填を依頼したり、ウィンドベーンの壊れたパーツを交換したり、予備の部品を注文したり等等。夜は小西さんのCD/DVDのライブラリーをコピー。一日の経つのが早い。

2007/5/9/08:55JST
<馬場社長から目黒さんへの連絡>
ニューヨークでの休日をお楽しみ中で申し訳ありませんが、今後の予定および目的地(寄港地もあれば)等を御連絡ください。

Friday, May 11, 2007 12:15 AM
馬場様
毎日ノンビリと過ごし、航海中痩せて皺が出来ていた指先が、元の様に丸々と瑞々しくなってきました。狐顔から狸顔に変貌しつつあります。出航予定は、5月15日前後を考えていますが、如何でしょうか?可能であれば、150海里北西にあるNEW BEDFORD(昔の捕鯨基地:41−35N/70−52W)に数日寄港し、その後アイルランドのコーク(CORK:51−48N/08−16W)に向かいます。コーク到着を6月中旬と想定しています。

今のところ唯一のネックはプロパンガスの充填です。日本で購入したボンベが、米国の安全規格に合致しない可能性があります。明日金曜日明らかになります。合致しない場合、新たにボンベを購入し、設置する作業が伴いますが、15日出航には間に合うようにします。
目黒

2007/5/11/09:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
5/15LT出港の件了解しました。
5/15は北を低気圧が通過するため、はじめSW風10-15m/sとやや強いでしょう。後半から翌5/16は高気圧の張り出しでNE風で、これも10-15m/sとやや強め。そのあとはニューヨークの南から北東進する低気圧あり。発達するので要注意。
現在、ニューヨーク近海は低気圧と高気圧が短い周期で通過するため、風が変わりやすい状況にあります。また、低気圧はニューヨークの北と南を通過するものがあり、ちょうど日本の現在と似ています。従って、ニューベッドフォードからアイルランドへは出港のタイミングが難しい時期です。また、40N以北はまだしばらく短周期で低気圧が通過するいやな海域となりそうなので、一旦40N以南へ南下後東進され、北大西洋高気圧の動向を見ながらこの高気圧の北縁を通る航路を検討しましょう。
ただし、目的地近海も低気圧の終着駅といっていいほど頻繁に低気圧が集まってきますので、タイミングが悪ければ一時スペイン北部、フランス北部あるいはイングランドへ寄港されることも考慮しておいてください。

JST5月15日0300 GMT5月14日1800 現地時間(ニューヨーク)1400

相変わらず、小西さん御夫婦の好意に甘え、ノンビリすごしています。御主人は、先週水曜日から出張で2週間日本に戻っています。御主人がいない間は、気を使うでしょう、と気を使い、独身の友人を泊まりで招待。マンハッタンの病院に勤務の若い女性がノラクロそっくりのボストンテリアを伴い2泊した後、会社の同僚で唯一の日本人長島さんが宿泊。

土曜日にはメトロポリタンでオペラ「オルフェウスとユーリデス」を観劇。日曜日には近くのリンクスコース「ノースショアGC」で半年振りのラウンド。その間、出航の準備を進めています。残された唯一の問題は、プロパンガスの充填。金曜日にはボンベが届かず、以後毎日集配所を尋ねているが埒あかず。明日火曜日(現地時間5月15日)に届かなければ新たなボンベを購入することになりそう。

2007/5/14/09:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
北米東岸は短周期の気圧配置変化が続いています。海況は1日凪で2日時化。気象が落ち着く可能性があるのは5/21/12GMT頃からの見込みです。
ルートとしては当面ガルフを横切る形で40N付近まで南下。40Nを東進して北大西洋高気圧の動向をみながら中心の北を目的地へ向ける方向でご検討ください。
いずれにしても、ここ数日以内の出港はかなり厳しいと思われます。

2007/5/15/08:45JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
気圧配置は引き続き短い周期で変わる見込みです。
5/19頃、南から熱低もどきが北米東岸沿いに北上する予想となっています。地元の天気予報にもご注意ください。
本船の出港のタイミングはこの低気圧の動向如何です。

現地時間5月15日

本日、プロパンの充填が完了。残り若干の買い物をした上で、明朝、ニューベッドフォードへ向け出航します。
明日までに気象図送付お願いします。ニューベッドフォードで出航のタイミングを調整します。
目黒

2007/5/16/09:10JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
現地時間の5/16-17はニューヨーク付近を低気圧が通過します。
また、5/19LT頃には南から低気圧が北上してきます。
この合間を縫ってのニューベッドフォードへの航海となりますが、5/18-19LTは北東風がやや強め10m/s前後です。出港されるのであれば帆走は不可でしょう。
5/20-21LTは北上する低気圧が北米東岸に上陸して衰弱すれば南よりの風で海況は安定する見込みで、低気圧の動向如何です。
判断の難しいところですが、明日再度最新情報をお送りします。

2007/5/17/07:40JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
低気圧は現地時間5/17朝にはニューヨークの北東(ニューベッドフォードの南)へ進みます。この低気圧の西側の海況は、低気圧の東進にともなって一旦回復しますが(北東〜東10m/s以下)、5/19未明には、南から熱低がニューヨークのすぐ南まで北上。現地時間5/19午後からは南東風がやや強まる見込みです。
熱低はその後大陸に上陸して衰弱する可能性が高いと思われますが、この動向には注意が必要です。

2007/5/18/08:42JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
北上する低気圧は現地時間の5/19未明にニューヨークへ接近。一旦陸地に上がった後、ノバスコシアの北を北東へ進む見込みです。
5/21まで海上は時化の状態が続きますので、係留にも十分ご注意ください。
5/22以降西から高気圧が東進、この頃が出港のチャンスです。ニューベッドフォードからそのまま42N付近を東進する航路で検討してください。

JST5月18日 0600 GMT 5月17日2100 現地時間 1700

現在地41−02N/73−08W ESE 7m/s 機走 75T 5.5kts 晴れ 22℃ 1020hPa

居心地の良いニューヨーク、ポートワシントンに別れを告げ、本日11時出航。予定寄港地はFAIRHAVEN SHIPYARD & Marina Inc.

 (北緯41度37.9分/西経70度54.3分)。 到着予定は現地時間5月18日午後2時。マンハセット ベイ(ポートワシントン)の東北東ー130海里。

以上

2007/5/18/20:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
北上する低気圧の先端が北東方へのびており、航路はこの谷の西側で北東風が10m/sを超えるようになっています。この状況はこれから24時間程度続く見込みです。
低気圧は今後ニューベッドフォード付近へ進み、現地時間5/19夕刻から風は北〜西よりに変わり、低気圧の中心付近で風速も一時10m/s以下に弱まりますが、天候は不安定。5/21朝より再び西よりが強まるでしょう。

JST5月19日0200 GMT5月18日1700 現地時間 1300

早朝4時、ロングアイランドの東端とFISHERS Is.の水路を抜けた頃より、北東風(逆風)が15m/sまで上昇。潮に乗りその後2時間ほど走ったが、予想に反して風が治まらず。この状態で潮が変わると、艇足は2ノットに落ちる。明るいうちにニューベッドフォード到着は無理と判断。 風が更に強まることも有りうるので、ニューベッドフォードまで余すところ50海里の地点で、逆戻り。この時点で気象海洋社の馬場社長に電話し、状況を説明。折角通り抜けた水路を再度通過。出入港が容易で、北風に強そうな立地条件のハーバーの中から、 Shennecossett Yacht Club を選び入港許可をえる。入港時間は午前10時。

舫いを取ってくれた、マイクが「疲れたろう、今夜は自分の家に招待する。ゆっくり休んでくれ。」と有難い言葉をかけてくれた。クラブハウスに支払い(40ドル/日)に行くと、バイスキャップテンが「金曜日はメンバーの食事会日なので、良かったら参加しないか。」とこれも又有難い言葉。マイクには訪問日を一日延ばしてもらい、バイスキャップテンには「昨夜から一睡もしていないうえ、船内の整理もしなければならないので、もし目が覚めたら参加したい。」と伝え、船に戻る。昨日、小西さんの奥さんが作ってくれたおにぎりの残りと温かいラーメンを食べ、一息ついたところ。

短い航海だったとはいえ、予定航路(寄港地)を変更したのは、一昨年のニュージランド行きに続いて2度目。ロングアイランド周辺の潮の速さには驚かされた。ポートワシントンに回航した時もそうだったが、平均して2〜4ノット。狭い水路では7ノットを越える時がしばしばある。早朝水路を抜けたときは、逆風だったので波の悪さも並ではなかった。それにしても寒い。ニューヨークに近づいてから寒さを感じ始めたが、昨夜降り始めた雨がまだ続いており気温は12度。明け方は8度まで下がった。

2007/5/19/07:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
海況の悪い中の航海お疲れ様です。北上する低気圧の影響は現地時間の5/21頃まで残る見込み。翌5/22から高気圧が海域を覆い始め、海況安定します。風は西より。

2007/5/20/08:59JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
低気圧が港の北方にありますが、特に強いものではなく、低圧部程度と考えたほうが良いでしょう。したがってここしばらく南西よりの風が続く見込みですので、何時でも出航は可です。なお、ローカルな天気はここでは把握困難なので、出航に際してはそのときの風の状況にご注意ください。

2007/5/21/10:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
目黒さんから電話連絡がありました。
現地時間の明日5/21に準備(陸電修理と歯の治療)を済ませ、翌5/22午後にニューベッドフォード向け出港する予定。
当方からの情報
今後数日間高気圧に覆われ静穏な海況が続く見込みで、何時出港されてもOK。

JST5月21日0100  GMT 5月20日1600 船内(現在)時 1100

Shennecossett Yacht Club より

引き続きコネッチカット州、グロトン市(GROTON)市の郊外に位置するシネコセッット ヨットクラブに係留中。昨夜宿泊したマイケルの家から戻り、出航の準備を始めているが、夕方にするか、明日まで待つか決めかねているところ。

ヨットクラブは約300隻のヨット・モーターボートを収容可能。施設も充実している。メンバーにより運営されているので、係留費用も隣接しているPINE ISLAND MARINAと比べ割安。一昨日は夕方目覚め、クラブの夕食会に参加するかどうか迷っていると、バイスコモドールのカールが「皆待っているから是非参加してくれ。」と迎えに来てくれた。既に食事を済ませていたので、ジンとツマミを持って参加。主要メンバーが集まっているテーブルの真ん中に席を用意してくれ、ワイン攻め、質問攻め。日本人が来るのも、世界一周の途中寄港も始めてとの事。シネコセットという名前はインデアンの言葉で砂の多い場所を意味する由。途中からジントニックを飲み始め、何杯飲んだか覚えていない。カールが船まで送ってくれたようだ。

YC YC
Shennecossett Yacht Clubのクラブハウス前で

翌朝7時にウエストマリーンに勤めているメンバーが尋ねてきた。ポートワシントンから来る途中、15m/sの逆風に曝され、オートパイロットにかなり負担がかかったので、スペアーの必要性を感じていた。ストックがあるかどうか調べるため、現物を見に来てくれた。その後別なメンバーが来て「今アメリカ杯のテレビ中継が始まった。」と連絡に来てくれた。飲み放題のコーヒーを飲みながら、数人のメンバーと暫しテレビ観戦。昼食にのチリービーンズを御馳走になり、世界で唯一原子力潜水艦(ノーチラス号)が展示されている博物館を案内してくれるという。ついでにオートパイロット他を購入することにした。お礼に達磨人形、ダーマの手ぬぐい、セーリングクラブのペナントを渡すと、早速それに見合った額縁を作り、クラブハウスに展示する相談をしている。

グロトン市はニューヨークのベッドタウンであると同時に、コーストガードアカデミー、原子力潜水艦の建造、ファイザー(薬品会社)の研究所等があり、公害などとは無縁の閑静な街との印象を受けた。

YC
コネチカット州グロトン市の原子力潜水艦第1号「ノーチラス」 が展示されている潜水艦博物館前にて
シネコセット ヨットクラブのカール・メイソンが案内してくれた、
カールはコロラド大学卒で元海軍の研究者、専門は潜水艦の探知機
後方の丸い円:小さい方が昔の潜水艦の胴回り、大きい方が最近の潜水艦の胴回り

夕方5時には、入港時、舫いを取ってくれたマイケルが迎えに来て、彼の自宅へ。クラブハウスから車で約50分。「俺の家は森の中にある。」といいながらどんどん山の中へ入っていく。途中いくつかの湖やキャンプ場を通り過ぎ、言葉どおり山の中の一軒家。夕食は特大のビーフステーキ。彼は自分と同い年だが、数年前にビジネス(食品の加工と流通)を売り、ヨット、モーターボート、ダイビングを目的とした旅行を楽しんでいる。数年前、28フィートのモータークルーザーでマイアミまで往復したことがあるという。もっと大きな船をと希望する奥さんの要求に答え数年前45フィートのモータクルザーに買い替え、シーズンに備え整備中。今年はフィッシングトーナメントのチェアマンをしているので毎日クラブに顔を出している。

入港以来2日間があっという間に過ぎ去った。

JST5月23日0700 GMT5月22日2200 現地時間 1900

本日1600 お世話になったヨットクラブのメンバーに見送られてコネチカット州、グロトン市のセネコセットヨットクラブを出航。ニューベッドフォード迄60海里。

現在地 41−14N/71−55W S7m/s COG90T SOG5.5(東流1ノットあり)晴れ 18℃ 1028hPa

PS:馬場社長へ
最新の気象情報の送付お願いします。

2007/5/23/11:20JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
高気圧は、ニューヨーク沖と北大西洋中央部にあり、この両高気圧の間55-50W間が谷となって低気圧が北上すると思われますが、これも5/26LTまで。
その後北大西洋高気圧は35N付近を東西にのびるようになり、この北側40N付近はしばらく西よりの順風が続く見込み。
現在の状況では、出港は5/26/12LT以降が良さそうです。

JST5月24日零時 GMT 5月23日0800 現地時間1100

現在地  マサチューセッツ州フェアへブン(FAIRHAVEN、Massachusetts)のFAIRHAVEN SHIPYARD AND MARINA INC
北緯41度37.8分・西経70度54.3分

fairhaven
Fairhaven Shipyard & Marina入港直後のダーマ
手前に見えるのはスクーナー「Hindu」、オーナースキッパーのケビンは最初の友人


ポートワシントンを5月17日に発ち、僅か140海里先のフェアへブンに辿り着くのに、6日間を要した。悪天候を避けるため、その代わり、寄港したセネコセットヨットクラブで、気持ちの良いセーラー達との出会いが、思いもかけぬ収穫となった。

昨日、日中は潮待ち。夕方4時に出航し、時間調整をしながら夜通し走り、今朝8時30分、予め予約していたMARINAに舫いを取ることができた。入り江を挟んでフェアへブンの対岸にニューベッドフォードがある。何れも帆船時代の捕鯨基地として名高い。ニューベッドフォードは、遭難し捕鯨船に助けられたジョン万次郎が、アメリカ人として育てられた町。また「白鯨」の著者メルビルが若い時、ここから捕鯨船に乗り込んでいる。一方フェアへブンは、初めて単独世界一周をしたスローカム船長が「スプレイ号」を補修し出航した港。入港するまで知らなかったが、このシップヤードで一時期スローカム船長(世界一周前)が働いていたこともあるらしい。

是非とも訪れたい場所に何とか辿り着き、通常なら一休みするところだが、眠れそうも無い。これから街で食事をし、夕方まで探索をすることにする。

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目黒さんのフェアへブン寄港を記念して関連の画像をWeb Siteから集めてみました→ Web Site集
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2007/5/24/09:20JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
フェアヘブン到着お疲れ様です。是非とも万次郎に縁ある地の写真を撮っておいてください。
次はいよいよ大西洋横断ですが、北大西洋の高気圧が比較的しっかりしているので、今月末までの予想では安定した海況が持続するようです。
おおよその出港日が決まりましたら御連絡ください。

JST5月25日0200 GMT5月24日 1600 現地時間 1300

昨日は近くのレストラン「マーガレット」で昼食。数日前から予約のため連絡を取り合っていたマリーナのドックマスター「フレッド」が教えてくれた店。人気の店らしく、店内はごった返している。ビールを頼んだら、「昼はアルコールサービス無し。」と素気無く断られた。但し持ち込みはOKという。柔軟性があってよろしい。

fairhaven
Fairhaven Shipyard & Marina近くのレストラン「マーガレット」にて
左からテッド、ケビン、ダーマ船長、ペニー、ネイト



ネイトの家で夕食を取る事になっている。
ミア(Mia)は中国雲南省の生まれ、生後3ヶ月で養女として
引き取られた。ネイトとペニーの愛情を一身に受けてノビノビ
と育てらられている。とても幸せそうだ。

ネイトファミリー
奥さんのペニーはメイフラワー号で米国に移住した
ピリグリムファーザーズの子孫。
ペナントやロゴをデザインする会社を経営する才女。
 傷んだ日章旗の修理を頼んだら、翌日修理した日章旗とは別に新しい 日の丸とアイルランドの旗をプレゼントしてくれた。

午後から、ニューべドフォードにある鯨博物館を見学。


鯨博物館に勤務するロバート、展示物は自分たちの手で行っているので裏話などもしてくれた
ゲストだからと入場料もタダ、ネクタイも2本贈呈してもらい恐縮

組み立て中の鯨の骨
ペニー       ロバート
  ミアの友人  ミア ダーマ船長
ペニーはこの後、子供達を連れてボストンの別荘で
週末を過ごす予定


鯨博物館に展示されている万次郎の写真

     捕鯨船の操舵装置
 ・ラットがティラーの上に装備されており
  ラットを廻すとティラーと共にラットが動く
 ・スプレー号も同じシステムを装備
 ・実物(1/2スケールモデル)を見て
  やっと仕組みが理解できた

フェアへブンとニューベッドフォードは入り江を挟ん対峙している。真ん中にポープアイランド(ニューベッドフォード地区)があり、この島を橋で繋いでいる。海岸線は、何れもマリーナと漁船で占められている。ニューベッドフォードの漁獲高は米国一との事。ポープアイランドにも大きなマリーナがあり、始めこのマリーナに寄港しようとしたが、結局アクセスの良さそうなフェアへブンシップヤードにした。この地域にはポルトガルからの移民が多く、米国建国に多大な貢献をしたと注釈のある航海王子「ヘンリー」の銅像が建立されている。

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ポルトガルの航海王子「ヘンリー」の像と台座に刻まれた詩
「神は望む、男は夢見る、その仕事は生まれる
神は望まれた、海で結ばれたすべての大地は一つで、決して離れることの無いように」


ポープアイランドとニューベッドフォードを繋ぐ橋には、真ん中に大きな一本の橋桁があり、この橋桁を中心に橋がぐるりと90度回転する。回転する時間は毎時間、15分から30分の間15分間。この間交通は完全に遮断される。その間に、大きな櫓やポールを備え付けた大型の漁船や、ヨットが通過出来る。鯨博物館まで歩いて片道小一時間を要するが、往復とも閉鎖されている時間に会った。

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毎時15分から30分の15分間、橋が90度回転するため交通は完全に遮断される
回転橋は夏気温が上昇すると鉄材が膨張して動かなくなる、その時は消防車が出動して放水する!


夕食は、ポートワシントンの日本食専門店(何度も行ったのに名前を忘れた)で仕入れた、納豆、さばの味噌煮、煮豆等等。蛸わさをつまみにサッポロビールを2缶飲み、バタンキュー。

今朝、洗濯をした後、出航後の航路の検討。午後はタウンホールを訪ね、ジョン万次郎やスローカム船長にゆかりのある場所を確認する予定。可能な範囲で付近を散策する。

馬場様
現在の予定は以下の通りです。併せて近況を送ります。シネコセットヨットクラブで写真を送るつもりでしたが、失敗しました。クラブのメンバーが出航時他の写真を送る可能性があります。自分が取った写真は、アイルランドに着いてから送るか又は持ち帰るようにします。

出航日は、現地時間5月26日土曜日の朝8時前後。大西洋に出るまでの選択肢は以下の2通り。

1−フェアへブンからナンタケット島の南を大きく迂回し、ニューヨーク航路に入り北緯40度30分を東進するルート
2−ケープコッドチャンネルを通過し、プロビンスタウンからボストン航路を横切り、北緯42度を東進するルート

前者は100海里以上航路が長くなり、本船の多いニューヨーク航路に沿って走るので、後者を選択する公算大。潮の時間帯も良好。当分好天が続きそうなので、低気圧が航路をと通るようであれば、早めに南下し、未然に防ぐようにしたい。何れにしろ今後の予報次第。金曜日に長期予報と海流図の送付お願いします。


2007/5/25/16:20JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
週間予報は更新されるたびに気圧配置の予想が変わるので頭がいたいところです。
5/25/00UTCをイニシャルとした3日予報では、ニューヨーク沖の高気圧が持ち直す予想に変わっています。明日5/26の週間予報を見て、最終判断としましょう。

GST5月26日1200 GMT0300 現地時間5月24日2300

海況が変化しつつあるようですね。5月26日予定通り出航して南下するか、或いは状況が安定するまで待機するか、2つの選択肢を検討します。何れも明日以降の予報次第で対応します。

近況以下の通りです。

本日午後、潮で汚れ透明度が悪くなったドジャーを洗い、昼食を済ませた街へ出かけた。行き先はフェアへブンのタウンホール。ここでで現地の見所を確認することにしている。シップヤードを出ようとすると大型のバンが近寄って来て、行きたいところがあれば乗せていってくれると言う。彼の名はケビン。ダーマが停泊しているバースの直ぐ前に「HINDU」という名の大型帆船(90ft?)が停泊している。日本で見ることはあまり無いカーベルブランキングのクラシックヨットだ。ケビンは「HINDU」のオーナースキッパー。「HINDU」は1925年に進水し、インドとのスパイスのトレードに従事していたという。2年前ケビンが見つけ、修復しケープコッドでチャーターをしている。

こちらから、「タウンホールでジョン万次郎とスローカム船長のゆかりの地を確認することにしている。」というと、直ぐにスローカム船長のゆかりの地に案内してくれた。スローカム船長がスプレイ号を修復し出航し、又世界一周をした後、戻ってきた場所だ。

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初めて単独世界一周航海をしたスローカム船長の石碑前にて
スローカム船長の「Spray」号はこの地で修復され船出した。


途中彼の友人(ネット)としきりに電話で話している。その後タウンホールまで行き「今日は忙しいのでこれ以上案内できない。明日朝一緒に朝食をしたい。友人のネットが来ることになっている。彼は古物商で、情報通だ。ジョン万次郎やスローカム船長のことにも詳しい。朝食後彼が街を案内してくれることになっている。」という。

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シティホール(左)と図書館および案内してくれたキャロライン
市の要所にある多くの建物は富豪ロックフェラーの相棒だったヘンリー・ロジャースの遺産


タウンホールを訪れその後、ジョン万次郎の資料を集積しているライブラリーを訪ねた。案内の女性が事務所の奥の金庫から、大事そうに古い分厚い書籍を持ち出し展示物のある広間で説明を始めた。大事そうな書物は「ビジターズブック」。初期のサインの中には、トムソーヤやハックルベリーの著者として有名なマークトウェインのサインがある。戦後のサインは日本人で埋め尽くされている。天皇陛下や美智子妃のサイン、現役活躍している著名な政治家、ヨットマンでは活躍中の白石康次郎エトセトラ、エトセトラ。案内の女性に促され自分もサイン。

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案内のキャロラインが大事そうに持ってきたサイン帳にはスローカム船長の名前も!
この歴史的なサイン帳に名前を記入、左手の卓上写真は皇太子・妃(平成天皇)の訪問時の記念写真


その後、近くの歴史的な建物の幾つかを案内してくれた。帆船時代、ニューファンドランド/フェアへブンは北米で最も繁栄した街。又スタンダードオイルの創設者ロックフェラーの片腕だったヘンリーロジャーは、この町の出身者。彼は事業に成功した後、欧州スタイルの建築物に巨万の富をつぎ込み、それらはタウンホール、ライブラリー、チャーチ、スクール等として保存され利用されている。

案内された建物一つが、ジョン万次郎の友人の家、その向かいが第二次大戦を取り仕切った第32代大統領「フランクリン・デラノ・ルーズベルト」の祖父の家。案内書に次のような記載がある。引用ー大統領が万次郎の孫(中浜家)に宛てた私信に「子供の頃、祖父は万次郎の事を良く話していた。」とある。その数年後に太平洋戦争が勃発し、両国の関係は途絶えた1987年にフェアへブン/ニューベッドフォードー土佐清水の姉妹都市協定がが締結され、関係を発展させるため協会が発足した。ー引用終わり。デラノ家は万次郎を救出した捕鯨船「JHON HOWLAND」の投資家の一人。又アヘンの取引で莫大な富を蓄積したという。

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万次郎が初等教育(英語の読み書き)を受けた教会の跡地
現在は海事学校「Northeast Maritime Institute」、小粒ながら世界最先端のTechnologyを有する



スローカム船長やジョン万次郎に関する書物がある応接室

受講風景


海事学校の経営者/校長のエリック
米国の沿岸警備艇がすべて備え付けている時計の
ミニチュアモデル、シャツ、帽子などを贈呈される

このクラッシクヨットもエリックの持船
海事学校の練習船としても利用している


改装中のシュミレーター
コーストガードのブリッジと同じデザイン
サテライト電話(三菱グループと開発中)
の利用にも目途がついたとのこと
実現すれば安価で民間にも開放する予定

改装前のシュミレーター

ライブラリーの女性に、明日ダーマ人形を寄贈する約束をした後、喉が渇いたので近くのパブでビール。引き続き、向かいの中華料理店で夕食を取る。船に戻り一眠りしていると、ケビンの声がする。早々と友人のネックが訪ねてきた。ネックが「是非見せたいところがあるのでこれから行こう。」と誘ってくれた。行き先は万次郎の養育者でもあるホイットフィールド船長の家。長い間放置され荒れ果てていたが、ニューヨークに住む姉妹都市協会のメンバーが買い取り保存することになったという。修復は一月前に開始された。完成後は日本の訪問者の宿泊施設として利用される予定。ネックが新しい情報を入手したら連絡してくれるという。


万次郎を救出した捕鯨船「JHON HOWLAND」号
のホイットフィールド船長の家(現在改装中)

奥の方に見えるのは当時の面影を残している物置

再びダーマに戻る途中ケビンは「HINDU」でまだ働いている。明日コーストガードが検査に来るらしい。近くに係留しているドイツ籍の大型ヨットに誘われコーヒーを御馳走になり、続いて今朝入港し、ダーマの直ぐ後ろに係留している漁船「PAMET」と船長と談話。海の男同士で話が弾む。あっと言う間に午前零時。収穫の多い一日だった。現在午前1時30分。明日は7時に新しい仲間と朝食を取り、街を案内してもらうことになっている。


ニューベッドフォードのシンボル像
捕鯨手の影になって見えないが
「A DEAD WHALE
OR A
STOVE BOAT」

と刻まれている。

石碑の裏側に刻まれている碑文

2007/5/26/08:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
出航予定の変更(5/27LT)の件了解しました。
明日まで予報の落ち着き具合を見てから、最新情報を明日5/27JST朝にお送りするようにします。

2007/5/27/08:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
期間始めは高気圧が航路上を通過。その後航路の前方を低気圧が北上すると予想され、北よりの風10m/s前後が続く見込み。
低気圧の北上とのタイミング次第ですが、特に顕著な海況には遭遇しないと思われます。念のためこの低気圧の動向に注目します。航路は40N線付近を東航されることをお勧めします。

2007/5/28/09:43JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
週間予想天気図を添付しました。
大勢は、40N付近を境に北に低気圧、南に高気圧の気圧配置です。
現地時間5/29早くに低気圧が北を通過しますのでこの通過に合わせて出港されるのが良いと思います。一旦南東進され、40N付近を東航されると海況も比較的安定します。

JST5月29日0600 GMT5月28日2100 線内時1700
41−56N/70−24W WSW8m/s 機帆走 COG25T SOG5.5kts 薄曇 20℃ 1015hPa

今日はメモリアルデイで休日。HINDUのオーナー、ケビンが、「ケープコッド運河を通るなら、先端のプロビンスタウンにHINDUのバースがあるので使ったらいい。車で1時間半で着く。メモリアルデイに街とバースを案内する。」といってくれた。
ケビンは80ftのクラシックなスクーナー「HINDU」は観光用のヨットとしてプロビンスタウンを中心に活躍している。
魅力的なオファーだったが、これ以上遅れたくないので、現地時間午前10時フェアへブンシップヤードを出航。フェアへブンは、初めて訪れた場所にもかかわらず、とてもノスタルジアを感じさせる街だった。

25日の夜、スローカム協会の会長 ヘンリー・ホッチキス氏に夕食に招待された時、アーニーと奥さんのゲイルが一緒に招待された。アーニーは自分より少し年配のノルウエー人。奥さんもヨットマンで、70年代のBOCで使った55ftのアルミ船を所有していたが、最近FRPの50ft艇に買い換えたそうだ。

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スローカム協会の会長 ヘンリー・ホッチキス氏の事務所にて
彼から夕食をオファーされ出航を延期


翌日マリーナに係留費の清算に行くと、「シップヤードのオーナーから、ダーマはゲストだから係留費は取るな。」といわれている、という。オーナーにお礼をいいたいので何処にいるのかと尋ねると「あそこで犬の散歩をさせている女性だ。」という。良く見るとオーナーは、昨日あったゲール。改めて御礼を言うと「あなたは 私のゲスト。係留費はプレゼント。」といいながら、彼女が被っていたサンバイザーを取り、これにはマリーナのロゴが入っているのでこれもプレゼントといって自分の頭に載せてくれた。大いに恐縮したが有難く受けることにした。

入港時に係留費を2日分払ったが、3ドル/1ft/1日プラス水・電気代が一日10ドル。あわせると一日90ドルになり、これまでで一番高い。安いところに移ることも考えたが、歴史的なシップヤードで友人もできたので、ここに留まることにしていた。今朝出航前にドックマスターのフレッドに、郵便物の投函を頼みに行くと、既に払い込んだ2日分の係留費も返してくれた。

昨日の朝はヘンリーが、頼んでおいた卵2ダースとペットボトル1ダースをテンダーに積み届けてくれた。彼の家はシップヤードから数百メートル離れた海岸沿いにある。庭先にテンダーをおいているがそのテンダーを使って届けてくれた。費用を払おうとすると「プレゼント」といって受け取らない。其ればかりかスローカム船長やスプレー号のレリーフのあるガラス細工やTシャツまでプレゼントいたくれた。なんとも気前の良い人達だ。

現在現地時間1900時。大分日が長くなってきた。午後2時半から3時半まで、3ノットの潮に乗り、8海里ある運河の旅を終えた。運河を出た後は、北上を続けている。後2海里で、ケープコッド湾の北端にあるレースポイントの沖に到着。ここから進路を東に取り北大西洋の横断に入る。

2007/5/29/08:55JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
5/31GMTまでは西よりの順風が続きます。6/1以降、北を移動性高気圧と低気圧が交互に通過し、高気圧の通過時は東よりが24時間程度吹く見込みですが、風速は10m/sを超えることはありません。
貴艇のご安航をお祈りします。

JST5月30日0600 GMT5月29日2100 船内時1700
42−14N/68−10W W5m/s COG90T SOG3kts 快晴 22℃ 1021hPa

現在42度線を東進中。予想通り、風が東に廻った時点で、進路を南東に向け41-40度線に入る予定。日本時間で金曜日、長期気象情報を添付してください。

昨夜0時30分ボストン航路を横切った時点でエンジン停止。オートパイロットで東進。早朝オートパイロットをウインドベーンに替え、本格帆走。現在地の北100海里に、ノバ・スコティアの大きな入り江が広がっている。
昨日ケープコッドを抜け、東進を始めてからも内海の延長にいるので、波、風共に穏やか。
20分ほど前に、イルカが10数匹現れ、ダーマの前後左右を伴走している。

2007/5/30/08:25JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
5/31GMTにかけて高気圧の圏内。北〜南よりの弱風。 6/1-2は北を低気圧が通過し、南より〜西より一時15m/sまであがります。6/3GMT以降、航路の北西方に高気圧が進み、しばらく北よりの風10m/s程度が続きます。

JST5月31日0600 GMT 5月30日 2100 船内時 1700
42−14N/65−29W SSE3m/s 機帆走 COG90T SOG5kts 快晴・曇り 18℃ 1021hPa

5月30日のwdmを当方でも検討しました。結果は以下の通りです。その後の予報変化等踏まえ、今後どの様に対応すべきか、アドバイスお願いします。

5/31GMTにかけて高気圧の圏内。北〜南よりの弱風。
ー>昨日夕刻から24時間機走で42度線を東進しています。低気圧の影響下に入るまで、微風(機走)は続く見込み。

6/1-2は北を低気圧が通過し、南より〜西より一時15m/sまであがります。
ー>42度線で低気圧をかわすのが、最も影響を緩和できそうなのでこのまま東進。

6/3GMT以降、航路の北西方に高気圧が進み、しばらく北よりの風10m/s程度が続きます。
ー>北よりの風が過ぎた後再び高気圧の影響下に入る。42度ラインでは高気圧の中心乃至は南側に位置し東風が予想される。
この時までに、可能なら45度ラインに進むか、42度ラインにとどまるか、40度まで南下するか?6月4日以降の予報次第。

現況以下の通りです。

ケープコッドから200海里東進。残り20海里で大陸棚の縁に到達する。この間、2ノット程度の潮流の影響を受け、潮が替わるたびに、低速(地対速度)が変化。この広大な大陸棚は、北東に大きく広がっており、ノバ・スコチアを経て、遠くニューファンドランバンク(堆)に繋がっている。北大西洋随一の漁場に近いので、漁船と行きかう可能性が高い。引き続き注意が必要



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