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2006年1月

1/6/12:00JST(現地時間16:00)無事トンガのヌクアロファに入港
1/14/11:00JST(現地時間15:00)トンガよりニュージーランドへ向け出航
1/23/06:00JST(現地時間9:00)目黒さんとダーマは無事オプアマリーナへ入港
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天気図と軌跡図
DHARMA単独世界一周航海日誌   2006年1月             戻る

1/1/07:40JST 日本は一足お先に新年を迎えました。
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
日本は一足お先に新年を迎えました。貴艇のさらなるご安航を心よりお祈り申し上げます。
1/2までは気圧の谷にの中で弱い西よりの風。1/3以降北東よりの風に変わるでしょう。
ただし、しばらくは風の弱い(昨日の予想では次第に強まる見込みでしたが、高気圧の見積もりに日替わりが見られます) 状態が続くかもしれません。
トンガの北に低気圧がありますが、航路上へ移動してくることはない見込みです。
雲域はトンガの北から南東に延びていますので、航路上もしばらく雲多い状態が続きます。

1月1日0900JST 謹賀新年 あけましておめでとうございます。
(現地時間12月31日1400、165°Wを過ぎたので船内時間が一時間遅れます。)

現在地 19−16S 165−12W 曇り W3m/s 機走 COG260T SOG4.5 34℃ 76% 1009hPa
謹賀新年 あけましておめでとうございます。遠く南太平洋の海上より皆さまのご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
現在位置は銚子より4550海里 カナダビクトリアより4700海里、ハワイ(オアフ島)より2450海里、トンガまで570海里、ニュージランド(オークランド)まで1500海里

dahrma
トンガに向かって

昨日夕暮れ時から風が東から西に廻っては振り戻しを繰り返す。風速は7m/s前後あるので西に廻ったときは機帆走、東に戻ったときは帆走に戻していた。
全天曇り空で初日の出は期待していなかった。代わりに明け方久々の大型スコールが襲来。以後風が西に回り風速も2〜3m/sと弱まったので現在はセールを全て下ろし機走中。
日本から持ってきた切り餅があったので今朝はこれをラーメンの中にいれ雑煮代わり。ついでに徳利の形をした一合入りの日本酒をちびちび。
昨夜あまり寝ていなかったので先ほどまで2時間ほど仮眠。今年は寝正月で始まる。正月明けにはトンガ(トンガタブ島:首都所在地)に寄港する予定。
船首部の漏水は応急修理後一時1リットル/日に減少したが、ここ数日は又3リットル/日のペースに戻った。いずれにしろ時化が長期間続かなければ問題なし。

1/2/08:05JST 今日一日は弱い西よりの風が続きます。
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
今日一日は弱い西よりの風が続きます。この風は次第に北よりに変わり、明日1/3GMTから東〜南東となり、風速も7-8m/s程度まで上がる見込みです。
航路上はトンガ北方から南東にのびる雲域が分布。この雲域から出るのは1/4頃の見込みです。

1/3/07:55JST 北にある低圧部の下に入ってきたので、
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
北にある低圧部の下に入ってきたので、風は東よりに変わる見込みです。同時に風速もやや増し、7-8m/sが吹くでしょう。
雲は引き続きトンガまで分布しています。
SHIP/WAM

1/4/08:55JST 航路上の海況は7-8m/sの安定した南東風が続きます。
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
航路上の海況は7-8m/sの安定した南東風が続きます。雲域も東へ抜けているようです。

ヌクアロファ港の情報は下記の通りです。水路等の図がなく申し訳ありません。
Nuku'alofa Harbour must be contacted on Channel 16 for clearance instructions.
Normally boats are instructed to come to Queen Salote Wharf, the large commercial wharf
at the eastern end of the harbour or in the restricted anchorage area close to the wharf.
If no contact is made on VHF, the boat should be taken to Queen Salote Wharf.
Certain areas in the approaches to Nuku'alofa are prohibited for anchoring and these are marked on the chart.
The customs offices are in a building near the cargo wharf, north of the harbour basin, open 0830-1230, 1330-1630.
Boats are only cleared between 0830 and 1630 Monday to Friday and are normally boarded by immigration and agriculture officials.
Fresh fruit, vegetables, some herbs and non-commercially packed eggs will be confiscated and destroyed.
Yachts are not cleared in or out at weekends. If arriving outside normal hours, one should anchor with the Q flag flying close to the wharf and proceed to the wharf during appropriate times. No one should leave the vessel until properly cleared.

After clearance or if instructed by a customs official, one should then proceed to Faua, the small boat harbour or the designated yacht anchorage at Pangaimotu Island.
Faua harbour just west of the Queen Salote wharf is close to Nuku'alofa town.
The entrance is 8.5 ft (2.6 m) at low tide and dredged to a depth of 9-13 ft (3-4 m) inside.
Yachts should moor Mediterranean-style on the north side of the harbour, with long stern lines - a dinghy is still needed to get ashore.
The area around the Fisheries market on the south side must be kept clear for local boat use.

Nuku'alofa Yacht and Motorboat Club
P.O. Box 401, Nuku'alofa
The club is located on the waterfront, on the way into Nuku'alofa.
Visiting sailors may use the club facilities, which include showers and a snack bar.
Temporary membership is free for the first 14 days, after which a small monthly charge is made.
Mail will be held for boats in transit if marked
'hold for arrival'.

1月4日1100JST(現地同日1500) 今朝から積乱雲に代わって積雲(綿雲)が多くなった。
現在地 20−41S 171−44W ESE9m/s COG150T SOG5.0 晴れ 32℃ 70% 1010hPa
今朝から積乱雲に代わって積雲(綿雲)が多くなった。一時気圧も1013hPaまで上がったが又下がってきた。前方にそれほど発達はしていないが積乱雲が一面に立ちふさがっている。未だ気圧の谷を通過してはいないようだ。
目的地まで200海里。いつもの事だが見知らぬ港に入るときは数日前からハラハラドキドキする。アンカー、ウインドラス、舫ロープ、フェンダー等準備の手順を考えたりして気を紛ら わす。
同時に持ち前の好奇心がムクムクと頭をもたげ期待感が高まる。今のところ金曜日の早朝に島に辿り着きそうなので、島伝いに南から東に出て北からアプローチする予定。順調に行けば午前11時頃には指定の場所に錨を打つか舫を取れるだろう。
その後の入港手続きは現地のお役人次第。ガイドブックには、「トンガの気候は温暖且つ湿潤だが他の熱帯諸島ほどではない。12月から3月までは雨期でハリケーンのシーズンでもある。」との記載がある。
気候は衣食住のみならず人の心理や行動様式にまで影響を及ぼすのでトンガの人々はこれまで訪れた南太平洋の島々人たちより温和なのかもしれない等と想像を逞しくしている。

1/5/08:15JST トンガの南に高気圧があり、
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
トンガの南に高気圧があり、これから吹き出す南東よりの風10m/s前後は安定しており、入港まで変わりません。
トンガへのご安着をお祈りします。
SHIP/WAM

1月6日0500JST(0900)トンガタプ島の南方15海里にかなり大きな島があり、
現在地 21−12S 175−20W ESE7m/s 機帆走 COG 000T SOG5.5knt 晴れ 30℃78%1012hPa
トンガタプ島の南方15海里にかなり大きな島があり、念のためこの島の更に南10海里沖を通過してから島の南西岸に沿って北上しているので予定よりも20海里(4時間相当)遠回りになった。従って入港予定は午後1時ごろ。
気象海洋(社)にメールで送ってもらった観光マップを海図代わりに、GPS、レーダー、水深計等を付きあわせながら海岸沿い1.5海里離して航行中。右手にケレテビーチリゾートやマブアカバのブローホールらしきものが見える。
先ほど日章旗を船尾に、検疫旗をマストの右側スプレッダーの直下に掲げたところ。この度は図らずもトンガ王国に寄港することになった。時間を見て自分が出来る修理も続けるが、思い切って観光に徹してみたい。

dahrma
トンガタブ漁港に入港

自分自身最も苦手とするところではあるが、初めての試みとして、ヨットで訪問した場合どの程度の費用がかかるのか克明に記録して報告することにしたい。

1/6/12:00JST(現地時間同日16:00)無事トンガに入港
<馬場社長からの情報>
先ほど目黒さんから1/6/12:00JST(現地時間同日16:00)に無事トンガに入港されたとの連絡がありました。
通関手続きは出来ず月曜日になるそうです。ただし、上陸は可能なようで、これからビールを買いに出かけるといっておられました。
詳細は御本人からのメールを受信次第お送りします。
取り急ぎ御連絡まで。


親日家の王様がいるトンガ王国あれこれ(リンク集)
王宮のあるヌクアロファは世界で最初に朝を迎える首都である

トンガの概要 

トンガ王国基礎知識 
トンガ王国ハーパーイ島
トンガ王国ハーパーイ島
トンガ国へのお誘い 

トンガ国の政治・経済・文化


1月9日1200JST(1600)以下1月7日(土)から1月9日(月)までの行動記録。

1月7日
ハーバービューモーテルの一室で朝6時起床。習慣で夜中に2度ほど目覚めたが久しぶりにぐっすり寝た。一度船に戻り、7時15分朝食をとるため又モーテルへ。
宿泊費は60トンガドル(30米ドル相当。以下全てトンガドルで表記)は朝食朝食込み。典型的なコンチネンタルスタイルだが地元の新鮮なフルーツが食べ放題なのが嬉しい。
食事をしながら一人旅のカナダ人グレッグとトンガについて情報交換。彼は2日前に着いたが荷物が届かず着の身着のまま。代わりに飛行機会社が荷物が届くまでの間航空会社が宿泊費、食事相当を負担している由。
3日程度なら悪くないがそれ以上長引くと持病の薬が切れるのでそれを心配していた。デビットと近くで夕食をとる約束をし再び船に戻る。

約束の夕方6時まで艇のチェックと艇内整理。キールを留めている6本のボルトの一本から僅かに海水が滲みだしていたので水中ボンドを丁寧に擦り込む。幸い漏水は完全に止まった。
その後漁港の水道ホースを借りて約3時間、セールやロープの塩出し、水タンクの清掃、給水など実施。水道(ホース)の利用代金10ドル。
クルージングハンドブックにはトンガの水(質)は期待できないとの記載があるが少なくとも漁港の水はハワイやライアテア(フレンチポリネシア)より衛生的だとの印象を受けた。
地下水を利用しているらしいが念のため生水を飲まないように注意することにする。

夕方6時約束どおり、モーテルでグレッグとあいまず互いの健康と旅の安全を願ってビ−ル(4ドル)で乾杯。ついでに翌日の島巡りツアーを予約。場所を直近くの「ブルーフィッシュ;レストランとバーを兼用」に移して更にビールを3本(3×ドル)、ジントニック2杯(5×5ドル)飲んでグリーンサラダ(5ドル)とチキンカレー(14ドル)を注文。この日は〆て52ドル。

大型クルーシングシップ
大型のクルージングシップ「アーミテス号」

この日の早朝大型のクルージングシップ「アーミテス号:4万4千トン」が入港。乗客1000人が小さな町に繰り出したので何処も忙しそうだ。道すがら乗客の幾人かに聞いた話を総合すると。 英国のサザンプトンを昨年10月出航。−>カナリーアイランドー>リオデジャネイロー>サンチャゴー>ウシュワイアと進みケープホーンを廻ったのは11月の終わり。海況は比較的穏やかだったとの事。
その後オーストラリアー>ニュージランドー>フィジーー>サモアー>トンガと巡航。幾つかの港に寄りながらパナマ運河を通過してサザンプトンへ帰港。費用は英ポンド110〜120/日/カップル(教えてくれた老夫婦は船旅の常連で割引価格との事)。
運行会社はP&O COLTD(英国:旧キュナード等名門船会社を併合して出来た大会社らしい)。船主は米国のハミルトングループ。途中の乗船/下船は可能。興味のある方はP&Oに問い合わせを。

1月8日
朝一番で昨日修理したキールのボルトをチェックしたが完璧にドライになっていた。問題は時化でキールと船体との間に強い捩れが働いた場合だがニュージランドまでなら問題なかろう。
続いてスターンのハッチを空ける。ここは今まで漏水が激しく頭を悩ませていたところ。ライアテアでハッチの入り口を10cm嵩上げし、出航前に大きなビニールのゴミ袋を内張りにし、周囲をガムテープで留め、更に蓋とハッチの隙間をガムテープで塞いでおいた。
大して吹かれた訳ではないがそれでも4〜5リットルの海水が滲み込んでいた。荷物は出来るだけ船体中央部に集中させ、船首部と船尾の格納庫は出来るだけ空にしておく必要がありそうだ。そのためにはドラスチックに積荷を減らさなければならない。

11時ツアー開始。残りの洗濯物を渡し(10ドル)いつものモーテルで待機しているとガイド兼運転手のジョーが8人乗りのミニバンで迎えに来た。全島を約5時間で巡る事になっている。
客が一人の場合は90ドル。複数の場合はその半額45ドル。この日は他に4名の見物客。スエーデンから来た若いカップル。ご主人はフリーのスポーツジャーナリストで主にTV番組を中心に取材してる。
婦人は会社の従業員を対象にした再教育プログラムのインストラクター。他の2人はフィジーから来たとの事。
南太平洋大学の教授と教え子らしい若い男子学生。なにやら不思議な関係だが余計な詮索はしないことにする。

同行者
4名の観光客

ロイヤルハウスを起点に大コウモリ(FLYING FOX;トンガに生息する唯一の哺乳動物)の生息地ー>ブローホール(数キロの海岸線で押し寄せる波が石灰岩の岩肌の隙間から大きな音を立てて吹き上げる。)−>キャプテンクックの上陸地ー>ハーモンガ(2000年以上前に建造されたらしいストンへッジ的遺跡:トンガは南太平洋で最も古い歴史があるとの事)−>最も古い教会(人口僅か10万人に島に驚くほどたくさんの教会あり。宗派も多いようだ。)−>自然の橋梁(石灰岩の海岸線に出来た 空洞の一部が崩れ橋になっている。
島全体が平坦でこのエリアが最も高く海抜30m程度)などなど。

観光 観光
名物の大コウモリ          ブローホール

観光 観光
キャプテン クック上陸記念碑          自然の橋梁

観光 観光
最古の教会          マリア様も民族衣装

途中ベーカリーにより昼食をパンとコーラで済ます。併せて4.5ドル(内コーラの中瓶、600mlが2ドル)。他の乗客はアカデミックな興味を持っているようで、歴史や由来、政治や経済についてかなり突っ込んだ質問をする。
若いジョーは一生懸命答えようとしていたがそのうち疲れたのか、見学サイトまで来るとここは15分、ここは30分と時間だけ指定して車の中で寝込んでいた。殆どの観光サイトには何の説明文もなくむしろ荒れ果てていた。それだけ観光客が少ないことになる。素朴なところだ。
印象として与論島をスケーアップしたように感じた。30年前の与論島は素朴だったが最近は随分変わってしまったようだ。
自分もかなり疲れを感じ、モーテルでビール2本飲み船に戻って早々に寝る。

1月9日
船で朝食を済ませる。入港以来魚市場の前の漁船に横付けしていたが、いつまでも好意に甘えてはいけないと自分を戒め、同じ構内に北側にあるヨット専用の投錨地へ向かう。
隣接してフィッシングクラブの看板が掲げれれているクラブハウスの前にある小さな浮き桟橋に臨時係留。

Fishing Club
お世話になったフィッシング クラブ

0830カスタムオフィスへ。
金曜日に聞いていた場所に近いが別な場所だった。ライアテアのクリアランスレポートを預け、出航時期が決まったらクリアランスレポートを渡すので再度くるようにとの指示あり。
続いて検疫事務所へ、係員が行くので船で待機するようにとの指示あり。1時間ほどで係員が來船。検疫の実地検証を受けるのは初めて。ざっと見渡した後、小型ヨットの単独航海と判ると詳しい説明や検査は全て省略。
直に証明書を作ってくれた。作成費用22ドル。その上歩くとたっぷり30分はかかるヌクアルファのイミグレーションオフィスまで車で送ってくれた。イミグレーションオフィスは沢山の人だかり。
その割には早く事務処理が進んでいる。係りの女性にヨットで寄港している事を伝えると、事務室の中に入るようにと招き入れる。若い男性の係員がヨット専用に用意された用紙と他2枚の用紙を差出し記入するように促す。
記入後は記載漏れを確認しながら自分で書き込む。出航時期が決まったら又来るようにと言われ、こてで全ての入国手続き完了。

グレッグと約束した11時を廻っていたが、街中の「フレンドリーカフェ」で彼と落ち合う。あまり食欲がなかったのでエスプレッソを注文。まともなコーヒーを飲むのはハワイ滞在以来。大きなコップになみなみと注がれたコーヒーはとても美味しかった。代金3.7ドル。
昨日ツアーで一緒だったスエーデン人のカップルもここでコーヒーを飲み食事をしていた。1時間ほどでグレッグと別れ、本屋でオークランドの地図を買う。17ドル。銀行のATMで当座必要な現地通過を引き出し、ブラブラ歩きながらモーテルへ行き洗濯物を回収、ついでにビールを飲み(5ドル)船に戻る。

途中の海岸線に昨日ガイドのジョーが教えてくれた通称アメリカ波止場がある。第二次大戦の時米国がトンガを日本から守るために建設した由。波止場に向かって歩いていくと大理石で囲った立派な石碑がある。何気なく読んで見ると「海岸線の道路は日本とトンガの友好の明かしとして日本の助成金により整備されたものである。」と言った内容である。
不思議なことに文字盤が斜めになり、通常上にあるはずの文字を下から読まなければならない。よく見るとその碑は明らかに引き倒されており、台座に相当する部分が横になったいる。目の前には官庁の大きな建物が陣取っている。日本政府が国民から徴収した税金を海外で助成金として使っているのは周知の事実だ。

軍備を抑えながら海外協力と称して助成してきたことが、有数の経済国に発展してきた理由の一つであることは間違いない。クリスマス島でも7億円の助成金で冷凍庫を建設していた。折角の助成金を東洋の成金国の気晴らしだと当事国に受け取られているとしたら一日本人としてつらい。
一時的な政策的な理由なら、その場限りのことなら石碑など建てないほうがましだろう。なまじ石碑など建て、適切な交流・友好のメカニズムを維持をしないなら逆効果となるようにも思える。
一方民間での結びつきは強いようだ。町を走っている車の90%以上は日本車であることには驚かされる。ジョーの説明によるとスカッシュパンプキン(ズッキーニ)を日本向けに栽培しているとの事であった。

1/10/12:30JST 今後一週間の気圧配置の動き。
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
今後一週間の気圧配置の動き。
トンガの北に低気圧があります。今後この低気圧はゆっくりと南南東へ進み、トンガ近海ではは南東風が強まる可能性があります。
一方、ニュージー付近にある高気圧は、低気圧の南下で西へ後退し、オークランド北沖の海域は南〜南西よりの風が強まりそうです。
南下した低気圧が東方へ去り、西から高気圧がニュージーの東に張り出すまでは、航路の風の条件は良い方向へは向かわないようです。

1月10日1330JST(現地同日1530)ヌクアルファの町から戻り、電話で気象予報を確認したところ、

ヌクアルファの町から戻り、電話で気象予報を確認したところ、少なくとも数日、風向風速ともに思わしくないので状況が改善されるまで出航を見合わせることになった。

1月9日から10日現在までの行動記録。

1月9日
夕方一度船に戻ったが、最近体を動かす機会が少ないので日暮れ前に散歩に出かける。洗濯物をモーテルに頼み(10ドル)、シャワー(なぜか請求されず)を浴びて1地時間海岸通を早足で歩くと腹が空いてきた。
帰りがけ、たまにはワインを飲みたいと思い近くのイタリヤレストランに入る。一番入り口に近い席に先日ツアーで一緒だった太平洋大学の元教授と元教え子が陣取っていた。勧められるままに彼らと同席する。2人は既にマグロのステーキを注文したという。
当方は冷たいビールと赤のグラスワインを頼みメニューに目を通してからTボーンステーキを注文。勢い話は彼らの住むフィジーの話題が多い。軍部の後押しする保守勢力と労働党との勢力が拮抗しており、。現在政情は極めて不安定。今年は総選挙の年で労働党が多数を占めた場合、新政権はクーデターで直に倒れる可能性があるそうだ。
同じことが以前にも起きており、観光客が激減するので経済的にも打撃を受けると若者は嘆いていた。フィジーは昔英国(東イン会社)の手により多くのインド人を入植させており、その後増え続けたインド人と先住のフィジー人との間に民族的な軋轢もあるようだ。
太平洋大学やフィジーとトンガとの自然や文化の比較等疲れていたのにも関わらず楽しいひとときを過ごす。オーストリア産のワインもニュージランド産のTボーンも美味かった。ビール1本、グラスワイン2杯を含めお代は45ドル。
ホテルまでのタクシーを待つ彼らに別れを告げ船に戻りバタンキュウ。

1月10日
フレンチポリネシア程多くはないが、夜中に蚊が数匹舞い込み、あちこち痒くなって目が覚めた。ライアテアでは蚊の他に小さな蟻やノノという小さな蝿のような虫が無数にいた。それだけ自然が豊かであるとの証でもある。
道路沿いにマンゴーやバナナを始め色々な果物がこれ見よがしに垂れ下がっている。道路から数百メートル山手に入ると密林が行く手をさえぎる。トンガタプでは平坦な野原のところどころにカサバやタロイモなどを中心に栽培している野菜畑が広がる程度。熱帯だけにココナツだけは何処にでもある。

トンガタブにノノがいないのは幸いだ。これに咬まれ痒いのを我慢していれば数日で直るが、掻き毟ると化膿して直るのに1週間はかかる。蚊取り線香を焚いて何とか眠りに付く。そのため朝はいつもより遅い目覚め。
船で朝食をとり、パソコンを持って町まで30分の海岸通りを早足でフレンドリカフェに向かう。観光客の殆どがこの店で時間をつぶす。カナダ人のグレッグも来ておりeメイルを打っている。彼はホテルを引き払い夕方のフェリーで離島に向かうという。

e-mail
インターネットカフェにて

インターネットの使用料は一時間6ドル弱。自分のeメイルを開くのは数ヶ月ぶりだ。相変わらずスパムが多く全部で1500通。全て読み込むのに3時間近くかかった。懐かしい知人からの便りやヨット仲間のチャットを眺めるのは楽しい。

レーザー仲間は若い人が多いので、レース結果に加えて婚約、結婚、子供が生まれたり、合コンの誘いなどなどのニュースが目白押し。その間アルバトロスやボへミアンなど世話になっているホームページの閲覧。
その後昨年の10大ニュースなど気になっていたニュースのチェック。合間にコーヒーを飲んだり食事をしたり。11時に開始、終わったのが4時。全て込みで費用は75ドル。ついでにスプレッダーに掲げるトンガの旗(35ドル)を買って船に戻る。

DHARMAは魚市場から200m程離れた向かいの岸壁の隅にある小さな浮き桟橋に係留している。浮き桟橋の前に小さいが比較的新しいクラブハウスがあり「フィッシングクラブ」と書いた看板が掲げられている。
浮き桟橋の脇がヨットの係留場所になっており30ft前後の4隻のヨットが係留されている。バウからアンカーを打ちスターンから岸壁まで数本のロープで舫を取っている。エーゲ海方式というらしい。

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フィッシングセンターのポンツーンに舫う

4隻のうち人の気配がするのは一隻だけ。がっしりとした体つきのスチーブは5年間ここで船上生活をしているという。昨日彼から自分が係留しているところはプライベートな敷地なので隣に来たらどうかと言われているがなんとなく気が進まずそのままになっている。

船内で一服していると、外でワイワイガヤガヤ声がする。待っていた人たちが来たらしい。4人のクラブ員がビールを飲んでいる。挨拶をしビールを注文して仲間に入れてもらう。2人はオーストラリアから他の2人はニュージランドから来ている。
会長のニックはここに係留しておいても構わない。土曜日にフィッシングトーナメントがあるのでその時だけ場所を空けるように。と言われたのでアンカーを打つ場所を確認し、浮き桟橋を空けるようにしながら直にアンカーを打ちエーゲ海スタイルで係留。
その後又ビールを飲みながら歓談。ビール代金〆て20ドル。日が暮れて皆が帰ってから増し舫を取って一日が終わる。

1/11/08:50JST 1/11現在、トンガの北および北西に低気圧があります。
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
1/8と1/9付けのメール2通小生のaolで受け取りました。
1/11現在、トンガの北および北西に低気圧があります。これらは添付の予想天気図の通り、1/14頃にトンガの南方および同島のすぐ東に移動、その後は速い速度で南下する見込みです。
貴艇の出港は、後ろ側の低気圧が通過した後の1/15頃が良いようです。
ニュージー西方の高気圧も、1/18以降同島東海上にまで張り出してくると予想され、航路上は南東から東よりの風に変わる見込みです。ただし、高気圧の張り出しで25-30S付近の風は南東〜東南東10-15m/sと強まり、一時この風に遭遇する可能性があります。1/15に出港したとすると、1/18-1/19頃に遭遇しそうです。なお、30S以南は穏やかでしょう。
推奨コースは、トンガから30S-175Eへ。そこからコース180度で南下が良さそうです。

1/11/08Z JST トンガの北方にある2つの低気圧が相次いで南下してくる
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
トンガの北方にある2つの低気圧が相次いで南下してくる予想は間違いないようです。
一つはトンガの東を南下、風は1/13未明まで南東が10-15m/s。 今ひとつは1/13-14で、トンガのほぼ真上を南下し、1/14午後から一時10m/s。

1/12/09JST 1/14に第二の低気圧がトンガ付近を南下する予想に変更はありません。
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
1/14に第二の低気圧がトンガ付近を南下する予想に変更はありません。従って1/15の出港でご検討ください。30S付近に達する頃には、ニュージーに高気圧が進んできますので、風も東よりに変わります。
顕著な強風の出現はなく、10m/s前後の風で行けそうです。

1月12日1300JST(現地同日1700)トンガの北を大型の低気圧が連続して通り抜けている。

トンガの北を大型の低気圧が連続して通り抜けている。トンガタプでもここ数日は強風注意報が出されている。風が北東から南東に振れてきた。
今のところ出航は1月15日(日)または16日の見込み。

1月11日
朝8時ごろヌクアルファフィシングクラブの会長ネイル・ジェンキンの声で目が覚める。ディーゼルの免税手続きを調べてきたとの事。昨日降ろしたラバーディンギーで目と鼻の先にあるクラブハウスに向かい説明を聞く。
漁業省と港湾事務所の両方から許可証を貰う必要があるとの事。免税率は25%(1リットル2ドルが1.5ドル)。午後一番でヌクアルファの合同庁舎へ。途中魚市場に勤務しているジョーが通りかかり彼の車に便乗。
合同庁舎に行くと漁業省は数年前移転したという。念のため用件を伝えると、燃料の免税手続きは漁業省ではなく税関だという。手続きを翌日に延期しその足で町の旅行代理店を訪ねる。
トンガタプの北北東150海里ババウという大きな島がありそこがトンガのチャーターヨットの基地になっている。フェリーでババウ往復、船内で2泊し269ドルというパッケージツアーに興味があった。が残念ながらフェリーは早朝既に出航し、次に便は月曜日だという。
今のところDHARMAの出航予定は日曜日か月曜日なのであっさりあきらめる。

続いてデートラインホテルで毎週水曜日ディナーショウがあるのを思い出し、帰り道に予約(25ドル)。
特にショウに興味があった訳ではないが伝統的な郷土料理を口にしてみたいと思ったからだ。レストランは沢山あるが手軽に料理を提供するところがない。一度船に戻りメールを打って再度デイトラインホテルに向かう。
DHARMAの隣にVALOという船名の浚渫船があり、DHARMAの舫の一部をこの船からもとっている。最近毎日のように顔を合わすVALOの乗組員ラフィーが車で近寄ってきて、町へ出るなら乗せてくれるという。有難く便乗。おまけに携帯の電話番号を教えてくれてショウが終わったら迎えに来るとの事。本当に有難い。お礼代わりに翌日の夕食の約束をする。

予約リストには自分の名前が見当たらず。一番遠い末席に案内される。ショウを待っている間にジントニック(7.5ドルを2杯。地元の最高級ホテルだけにここは値段が5割益しだ。)。
若い日本女性が2人いるので声をかける。久しぶりの日本語。ワーキングホリディでニュージランドに来ており、間もなく帰国するがその前に2週間に休暇をとりトンガに来ているという。勇敢なお嬢さんたち。一人は大阪から、もう一人は千葉の茂原から。
数日前グレッグと会いその時、ヨットで来ている年寄りの日本人と食事をした話を聞いていたとの由。彼女等に勧められるままに中央の席に移る。
食事は子豚の丸焼きをメインに郷土料理が10種類ほど。期待以上の内容だった。ショウはポリネシアの民族舞踊。若い男女10名が入れ替わり立ち代り踊りまくる。勇壮な戦いの踊りが多く、娘とハワイで見たショウと比べ、出し物は少ないが見ごたえのあるショウだった。

ハワイでは連日ショウが続くがここでは1週間に一度。舞台を待ちかねていたように踊りに打ち込んでいる。加えて観客の中に子供連れが多く、5〜6才の子供達を含め多くの観客が小額の紙幣を舞台の気に入った踊り手の足元に置いたり、衣装に挟み込んだりしている。 特に女性だけの舞踊が始まると子供達も一緒に踊りだす。可愛らしさについ拍手をしてします。舞台と観客が一体になっているのを感じる。

1時間でショウは終わり、ラフィーに電話で向かえを依頼。ラフィに頼み、お嬢さんたちを送迎バスの待ち合わせ場所に指定されているポストオフィス迄送る。ラフィの車で船に戻りバタンキュウ。

1/13/09:00JST 気象の推移は昨日の予想と変わりません。
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
気象の推移は昨日の予想と変わりません。1/14に北側の低気圧がトンガのすぐ東を南下。1/15には先行した低気圧に吸収されます。
低気圧の通過後は天候回復するため、1/15頃の出港が良いようです。
航海始めは北よりの風やや弱く、南東に変わってから7-8m/sが吹き始めます。30S-175Eのウエーポイント通過は1/20頃。この頃には風はやや東に回るでしょう。更に南下すると風は西よりに変わり、オークランドまでは北西の順風で推移しそうです。

1月13日1300JST(現地同日1700)全ての出国手続きを完了
21°08′S 175°10′W トンガタプ島、ヌクアルファ港 曇り時々晴れ/雨 33℃ 69% 999hPa 
全ての出国手続きを完了(ヨット管理用7.25ドル。港湾利用税55ドル)。
明日土曜日の午前中低気圧の通過を確認後出航予定。

1月12日
ディーゼルの免税許可を取るため午前中税関と港湾局の2箇所で申請。手続きは思ったより簡単に済んだ。港で働く殆どの人たちは日本から来たDHARMAの事を知っているらしく「日本から来たのか?一人か?」と判で押したように訪ねる、その後座るようにと椅子を進め、1〜2分程度で書類を作成、当方がサインして完了。

続いてバンカーオイルを扱っているシェルの事務所へ。小型艇用のローリーはBPが持っているというので直隣のBPにを訪ねる。ローリーを午後2時に回すとの事。午後手持ちの20リットル入りの容器10本を全て満杯にし申請通り200リットル(1.505リットル/ドル×200リットル=301ドル)

夕方約束どおりラフィーと食事をしに町へ。散々迷った挙句ただ一軒の日本料理や「リトル東京」へ。ところがラフィーは遠慮してし食事が済んだら迎えに来るという。そうなら他に選択の余地もあったのだが。案の定客は自分だけ、カツどんとサラダと味噌汁とビールを頼んで25ドル。予想通り食事は不味かった。
今のところ日本食が美味しかったのはバンクーバーだけ。

1時間後にラフィーが迎えに来たので、港の近くにあるバー「ビルフィッシュ」へ。フィシングクラブのデイビット他数人も来ており、土曜日のフィシングトーナメントは悪天候に付き中止したとの事。
ラフィーは明日早朝大型クルージング船が入るのでそのパイロット業務があるというので早めに引き上げる。ラフィーの分も含めジントニック2杯、ビール4本で26ドル。

1月13日
町まで送ってくれるというラフィーの親切を断り(彼は勤務中)ダウンタウンにあるイミグレーションオフィスへ。
一度スタンプを押すと24時間以内に出航しなければならないので、対応してくれたお嬢さんはサイクロンが来ているのを心配して、明日休みだが午前中係員が船まで行ってスタンプを押してくれるという。スタンプがないとカスタムの手続きが出来なくなるので、親切を尊重しながらも、半ば強制的に13日金曜日のスタンプを押してもらう。

喉が渇いたのでフレンドリーカフェでジュースとコーヒーを注文(7.5ドル)。
偶々若い日本人男性がいたので声をかける。海外青年協力隊のメンバーでサモアで勤務しており休暇でトンガに来たという。既に9ヶ月住んでいるだけあってポリネシアの事情に詳しく、洞察力も深い。

海外青年協力隊
海外青年協力隊のメンバー

実は昨日カスタムオフィスで現地の合同庁舎の中に日本の海外協力隊の事務所があると聞いたばかり。倒れている日本/トンガの友好の記念碑の事で訪ねるつもりである旨話すと「自分はサモア隊だが当然修復すべきなのでトンガ隊に話してみる。」ということになり、記念碑の場所を案内し、その場で別れる。

自分も今日中に手続きを済ませないと出航が月曜日以降に伸びてしまう。一週間後のオークランドの風向きは東から北西と予想されている。その後気圧の谷が近づくので風が不安定、場合によっては逆風になる恐れもある。土曜日の午後か日曜日の午前中には出航しなければならない。
カスタムオフィスの担当官が不在で一時間おきに事務所を訪ねる。3度目、3時半にやっと捕まえ無事全ての出航手続き完了。
トンガタプでの滞在記録も本日で終了。

1/14/09:00JST トンガ付近の気圧の谷傾向は今後も続き、
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
トンガ付近の気圧の谷傾向は今後も続き、貴艇出航後には北から次の低気圧が南下する可能性があります。
この低は前2つに比べて特に顕著に発達するものではありませんが、1/16頃貴艇航路の北側におりてくると予想されます。(添付の1/16/12Z予想天気図参照)
航路上の風は東よりが卓越、風速は低の影響で一時10m/s前後まで強まります。
西からニュージーに進む高気圧は、今日現在の予想では中心がオークランドの南を通過する予想です。この場合、航路上は到着まで東よりの風が続く可能性があります。

1月15日0500JST(現地同日0900)
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
西からニュージーに進む高気圧は、今日現在の予想では中心がオークランドの南を通過する予想です。この場合、航路上は到着まで東よりの風が続く可能性があります。
その場合あえて30S−175EをWPとする必然性はなく、ラムラインの東側を通って直接オークランドに向かうことになりますが。

21−42S,176−19W 、E6m/s COG210T SOG4.5knt 晴れ 32℃ 74% 1009hPa
1月14日早朝から出航まで
前日からサイクロンを避け、大型漁船やフェリーが続々と入港してきた。日本語で「おろろん丸 羽幌」と浮き彫りにされた船名が残されているフェリーもある。

cyclon
サイクロンに備え投錨

しかし気圧計は昨日まで999hPaだったのが1004hPaまで上昇している。フェリーのキャプテンに聞くと昨夜10時に警報はは解除されたとの事。午後出航を決める。
ラフィーの案内で市場に買い物。フレンドカフェで最後の朝食。テーブルの上においてある店の紹介文に何気なく目を通す。店の名は1778年?キャップテンクックが訪れたとき島民がフレンドリーだったのでフレンドリーアイランドと名づけたことに由来しているそうだ。 ついでにヌクアロファは「ABODE of LOVE」愛の住家だそうだ。

最後の朝食
フレンドカフェで最後の朝食

12時、ラバーボートや何本も張り巡らしていた舫ロープを回収。ラフィーが手伝ってくれるので助かる。最後のメールをチェックして15時出航。見送りはラフィー一人だけ。なぜだか良くわからぬが最初にあった時から彼は献身的だった。

ラフィー
隣の浚渫船のラフィー、お世話になりました

船が離れる瞬間低いやっと聞き取れる声で「ゴッド ブレス ユー」と言うのを聞いてついホロリ。
入港したときGPSに数点マークを残しておいたのでこれに沿って外洋へ。島の北西部にある岩礁地帯を完全に廻りきったのは2000時。
意識して起きていたわけではないが明け方4時まで眠れず。

1/15/08:10JST 航路上の予想気圧配置に大きな変更はありません。
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
航路上の予想気圧配置に大きな変更はありません。低気圧も航路への影響はほとんどないでしょう。高気圧はオークランドの南に中心を持つ見込みで、航路上の風は南東〜東が続き、風速は10m/sを超えることはない見込みです。

1月15日1300JST(現地同日1700)出航以来6〜7m/sの東風にのり気持ちよく帆走していたが、
22−20S,176−37W E4m/s 機帆走 SOG220T SOG5.5knt 晴れ 32℃ 70% 1010hPa
出航以来6〜7m/sの東風にのり気持ちよく帆走していたが、午後になって風速が落ちてきた。数時間前より機帆走。
現在トンが諸島の最南端無名の島(176°14′W/22°17′S)の25海里西を通過中。この先南西150海里に(179W/24S)にミネルバ(Minerva Rf)というのがありこの東側をぬけ、ウエイポイント30S−175Eに向っている。
波長の長い大きなうねりが東から入っているが海上は穏やか。

1月16日0800JST(現地同日1200)昨夜日暮れ頃から東の風6〜9m/sで安定。
23−32S,177−42W E8m/s COG220T SOG5kts 晴れ 31℃ 73% 1014hPA
昨夜日暮れ頃から東の風6〜9m/sで安定。以後風の強弱によってメインセールをリーフしたり、解除したり。現在2ポイントで快走。南下するにつれ僅かではあるが、気温と湿度が低下してきており、凌ぎ易くなっている。
海況も安定しているので良く眠れる。体調も好い。

1月17日0800JST(現地同日1200)出航以来晴天が続いていたが昨夜夕暮れと共に全天雲に覆いつくされている。
現在地 25−11S,179−05W、E12m/s COG215T SOG5 knt 29℃ 73% 1016hPa
出航以来晴天が続いていたが昨夜夕暮れと共に全天雲に覆いつくされている。風速も徐々に増し明け方より10m/sを越えるようになった。現在12m/s。
波も次第に険しくなり、時折水飛沫が船上を越える。キャビン入り口のハッチを開けそこで本を読んでいる機会が多いが新設したドジャーが雨や飛沫をカバーするので以前のように濡れなくなった。
これまでの気象予報では高気圧の中心がオークランド付近に居座り、現在高気圧の北側で吹き出しの東を受けている事になる。気圧配置に大きな変化がなければ入港まで後6日の予定。
さしあたっての入港地はオークランドの60海里に位置するWHANGAREI。ガイドブックでは海外からヨットでニュージランドを訪問する場合の代表的な寄港地の一つとして勧めている。

1/17/08:15JST 予想される気圧配置に大きな変化はありません。
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
小生のメールボックスに貴艇からのメール3通受信しました。
予想される気圧配置に大きな変化はありません。最短コースで南下されると、1/19頃を中心に2日程度風の弱い域に入る可能性がありますが、チョイスは艇長にお任せします。
参考のため、1/19の予想天気図と航路を添付します。
当方へのメールは下記にお送り頂けると、社でも自宅でも確認できますのでよろしくお願いします。

1月18日0800JST(現地同日1200)昨日日中一時約1ノットの南流に乗りかけたが
馬場様情報有難うございます。JST1月18日0400数回トライしてメール送受信できました。
26−56S 179−37E E8m/s COG215T SOG 6.0kts 晴れ 31℃ 66% 1016hPa
早朝0300に日付変更線を東から西に通過。カナダに行くときに通過した変更線を逆戻りしたことになる。今朝受け取った気象情報によるとオークランド沖から30S −175E〜180Eを境に、流速1knt以下ではあるが、東側では北流、西側では南流が卓越しているという。
昨日までは風速の割には波が高く、船足が落ちていた。あまりにも局所的だったので一時的な現象と受け止め気に留めなかった。
現在は風速の割に海面は穏やかで、船足は通常より0.5〜1.0knt伸びている。明らかに潮に乗っている。オークランドまで580海里、このペースでいけば4日間の航程。早ければ日曜日の夕方には到着できる可能性が出てきた。
南下するにつれ日没が遅れている。場合によっては入港を予定しているWHANGAREIより更に北にあるOPUAに入港しようかなどと皮算用しているところ。

入港して舫を取るまで安心は出来ないが、それにしても今回の航海では風向風速共に理想的な展開となっている。休日返上で、絶妙の出航タイミング、最高のコースをガイドしてくれた気象海洋の馬場社長に感謝している。
航路はラムラインと30S−175Eを定点とする2つの選択肢があり、前者は距離が近いが微風域が長くなる。後者は多少遠回りになるが微風域が短い。最も艇が安定して走りやすいコースを帆走していたら結果的にその中間を通っている。
あまりにも気象に恵まれ、十分睡眠をとりすぎたせいか、昨夜はあまり眠れなかった。夜半雲が多かったが雲の層が全体に薄く16夜の月が雲を通して海上をぼんやり照らし出す。ラム酒をチビチビなめながら白夜のような不思議な夜をコクピットで過ごした。
ここまで来ると南十字星がハッキリと見える。電源を節約するため読書は日中に限っている。何気なく口をついで出る歌を歌ったりするがいつの間にかもの思いに耽っている事が多い。

 ライアテアでの思い出
出航の一週間ほど前にフェローセメント製の大型ヨットが入港してきた。船齢40年は経っているようだ。当時素人でも安価にヨットを製作する手段としてセメントヨットの製作手法やデザインが流行っていた。
自分が自作した時も一時は本気でセメントで船を作ることも検討していた。今では見ることが少なくなったフェローセメントの船にある種の懐かしさと若い頃のエピソードが重なった。オーナーらしき人物に「アイタペアペア」という船を知っているか?ミシェルという名のフランス人は?30年ぐらい前になるが日本人の奥さんとフェローセメントのヨットでチャータービジネスをしていたはずだが?

実は既に同じ質問を長くフレンチポリネシアに住んでいる数人のヨットマンにも訪ねている。アイタペアペアという名前は聞いたことがあるような気がする。アメリカ人と結婚している日本女性なら知っているが。という答えはあったが自分が期待していた情報は得られなかった。

30年以上前の独身時代に遡るが、投資先の関係会社で油田開発プロジェクトが始まり7年間出向していた時期がある。当時は全盛期のクオータートンクラスで外洋レースに参加していた。学生ヨット部出身者でチームを作り「ブンブン」と言う名の船を共同で所有していた。
自分がヨットに興味を持っていることを知り、出向先の役員の一人が「娘がフランス人と結婚し、ポリネシアでヨットのチャーターをしている。機会があったら会って見てくれ。」といって若い男女が操っていいるヨットの写真をくれた。宣伝用に作った絵葉書で船の名前はアイタペアペア。
「セメントでもヨットは作れるんだね。」と感心していた。間もなく海外勤務となりその間某役員も引退した。

その後偶然「舵誌」の投稿欄でポリネシアを訪れたヨットマンが「アイタペアペア」と「足の長い、小麦色に日焼けした素晴らしい美人の日本のお嬢さん」を紹介していたのを目にした。数年たち帰国して間もなく件の役員さんが亡くなった。
葬式に参列した時、ご令室に「ポリネシアにいるお嬢さんはどうされていますか?」と聞くと「娘は事故で亡くなりました。ミシェルから最後の様子を聞きました。可愛そうに。 遺骨は私が持ってきました。」と意外な言葉。葬儀の場でもありそれ以上の事を聞くことは出来なかった。

つまりそれだけのことなのだが、以来アイタペアペアはどうしているのかなと心の片隅に引っかかっている。こうして航海を続けているとどこかであえるかも知れない。
チャーター船の役目を終え案外セーヌ川の川べりに静かに浮かんでいるような気がする。

1/18/09:00JST 貴艇航路は高気圧と高気圧の間の谷にさしかかっています。
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
貴艇航路は高気圧と高気圧の間の谷にさしかかっています。
推定される風は北東5m/s前後。
1/20には次の高気圧がニュージーの西40S-165Eに進み、翌1/21には同島の東海上に出る見込みです。この高気圧の北側は東よりの風やや強く10-13m/sでしょう。貴艇オークランド入港が1/22頃であれば、沖合いは弱い北よりの風に変わる見込みです。

1月19日0800JST(現地同日1200)昨日日中一時約1ノットの南流に乗りかけたが
了解しました。22日入港を目指しています。21日風が南側に振れ上りの風が強くなり更に波が高くなった場合には23日になる可能性もあります。
28度47分S 178度37分E NE5m/s 機帆走 COG215度T SOG6.0knt 晴れ 33℃ 64% 1017hPa
昨日日中一時約1ノットの南流に乗りかけたが結局一時的な流れだったようだ。夕方から風が少しずつ弱まり明け方まで帆走を続る。船足が4ノット以下に落ちたので夜明けと同時に機帆走に切り替える。OPUAまで450海里。

1月20日0600JST(現地同日1000)ご指摘の通り昨日夕刻から反時計回りの過流の東側(北流)に入り、
馬場様
ご指摘の通り昨日夕刻から反時計回りの過流の東側(北流)に入り、一時5knt以下に船足が落ちました。現在過流の中心部から南流の領域に移りつつあります。
21日の風向風速と今日一日潮に旨く乗り切れるかどうかがキーですが、22日入港(OPUA港 エントリーポイント35−18S/174−08E)は微妙なところです。
午後8時頃までは明るいので夕方6時までに到着できる見通しがたてば入港します。さもなければ沖合い30海里あたりで23日の夜明けを待つことになります。

30−40S,177−15E NE3m/s 機走 COG210T SOG5.5kts 曇り 28℃ 71% 1017hPa
一晩中曇り空で久しぶりに闇の中を走った。高気圧の中心に向かって走っているため風が次第に弱まり機走中。朝8時ごろ一時晴れたが又全天雲に覆われている。先ほど 晴れていたとき前方右手に雨脚を伴った大型の積乱雲が見えた。
今のところ直接影響を受けることはなさそうだ。出航して6日目今回は一度も雨に会っていない。

1/20/08:50JST 貴艇の南を高気圧が移動します。
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
貴艇の南を高気圧が移動します。これから24時間後の1/21/00Zには風速やや上がり10m/s前後となるでしょう。風向は東あるいはやや南分をもつかもしれません。1/22には東よりの風が6-8m/s程度まで弱まります。
雲域も後24時間ほどで抜ける見込みです。
貴艇のオークランドへのご安着をお祈りします。

1/20/10:00JST 海流情報です。
<馬場社長から目黒さんへの海流情報>
海流情報です。
ニュージー北島沖の34S-175Eを中心に1〜2ktとやや強い南東流があります。図をお送りします。
矢印が流向、紫色の域が流速1-2ktです。色の付いた線と数字は海面高度でこれは無視してください。
海流図


1/21/07:50JST ニュージーの高気圧の中心は東の海上に抜けましたが、
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
ニュージーの高気圧の中心は東の海上に抜けましたが、数日この状態が続きます。
高気圧の移動に伴って、航路上の風も再び東になっていることと推察されますが、南下に伴いさらに北よりの成分が入るでしょう。風速は5-7m/s。
ご安着をお祈りします。

横浜は今朝から雪となりました。明日は一転冬型の強い北風が吹きそうです。

1月21日0900JST(現地同日1300)昨日1400北東5m/sから東南東8m/sに風がシフト。
特にご心配には及びませんが風速が若干予定を上回ったようです。既に山は過ぎ風波共に落ち着きつつあります。
32−43S,175−49W E13m/s 波高2m COG210T SOG4.5kts 曇り 25℃ 77% 1020hPa
昨日1400北東5m/sから東南東8m/sに風がシフト。予報によれば勢力の強い高気圧が東に移動しておりその影響らしい。1800波長の短い波で速度伸びず。
22日夕刻の入港をあきらめ23日午前中の入港に予定を変更。2ポイントリーフで船足5knt。ロデオマシーン状態から回転木馬程度に戻る。
早朝0300、風速が13m/sに増加、3ポイントにリーフ。波長の短い波が勢いを増し再びロデオマシーン状態。時折風速が15m/sを越える。0800風速が定常的に15m/sを越えトリムが難しくオートパイロットが心配。
1200ついにオートパイロットが壊れ、最後のスタンバイ(新品)と交換。1300現在風、波共に少しずつ収まりつつある気配。オプアまで170海里。23日午前中の入港を目指し、若干船足を落としながら帆走中。

1月22日0800JST(現地同日1200)オプア(OPUA)まで残すところ80海里。速度調整中。
横浜は雪が降っているそうですね。寒波を迎えているのでしょうか?温度差は比べ物になりませんがこちらも南下するにつれ気温が下がり長袖長ズボンが必要になりました。
34−04S,174−53W E12m/s 波高2m COG210T SOG4.0knt 薄曇 26℃ 74% 1018hPa
オプア(OPUA)まで残すところ80海里。速度調整中。4ポイントまでリーフしたメインと、ヘルムを中立に保つため、必要最小限のジブで船足4knt。
昨日正午に強風(15m/s強)の山は去ったが、以後10〜13m/sの間で数時間毎に強弱を繰り返している。それにつれ波も高くなったり低くなったり。気圧も1017と1021hPaの間で高低を繰り返している。
不思議なことに気圧が下がったから風速が増すとは限らない。むしろ逆の場合が多い。高低差そのものよりも気圧傾度の問題だと解釈している。

birds

DHARMAの周りを時おり海鳥が飛び交うが同じ家族が少なくとも5日間以上船の後を追ってきている。2羽の親鳥と3羽の自活直前の子鳥のようだ。親鳥は羽を広げた時の大きさが1m位。羽根の表側はいずれも茶色と濃灰色だが、羽根の裏側と体毛の色が違っている。一方は輝くような白色。他方は全て同じ灰色系、こちらが雌のような気がする。
子鳥の方はやや小ぶりで60cm位。子供の方は勝手気ままに飛んでいるが親鳥の方は番いで入ることが多く見事なデュエットを時折披露してくれる。殆ど羽ばたくことなく優雅に素早く波間を滑走する。不思議なことに夜間でもマストの周りを見覚えのあるシルエットが行きかうことがある。時々波間に漂うように休んでいる。
日中いなくなったと思っても水平線の何処で飛翔しており、程なく船の近くに戻り又何処か飛んでいく。親子が離れ離れにならぬよう集合の目印にしているのだろうか。

1/22/08:10JST 高気圧からの吹き出し風の見積もりが弱めのようでしたね。
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。高気圧からの吹き出し風の見積もりが弱めのようでしたね。
貴艇南の高気圧は中心をニュージーの東海上に移していますが、その後は停滞。
一方、明日1/23以降北方から低気圧が南下してきます。航路に直接影響するものではありませんが、1/23以降気圧傾度が狭まり、東よりの風が再び強まります(10-15m/s)。天候も曇り〜雨。
早めの入港をお勧めします。
SHIP/WAM

1/23/09:25JST 目黒さんとダーマは無事オークランド(OPUA Marina)へ入港
<馬場社長からの情報>
日本時間の1月23日06時に目黒さんとダーマは無事オークランドへ入港されたと電話連絡がありました。艇長、艇ともにお元気です。
明日には低気圧がニュージーに南下してくる予想だったので、今日の入港でホットしています。
取り急ぎ御連絡まで。


opua-marina1 opua-marina2

写真: OPUA MARINA のホームページより転載



1月24日0700JST(現地同日1100)オプアマリーナに隣接する検疫用バースに停泊中。
馬場様
電話でお伝えしましたように時化る前に無事入港しました。今後の問題ですが6月30日までに出航しなければ税務上の多大な支払い義務(日本円で3百万円強、船価に対する関税7%+消費税13%)が発生することが判りました。
修理が長引いたときは免責となる可能性はありますが確認した訳ではありません。今のところニュージランドでの滞在を3〜4ヶ月程度とする可能性が濃厚です。その場合(オーストラリア)東南アジアを経由し10月〜11月にかけてフレンチポリネシアで最後の積込みをしケープホーンに向かう案を考えています。
途中チリのバルデビア(Valdivia)あたりで天候の調整をすることも選択肢としてあります。何れにしろ修理の目処を早めにつけ、2月の後半から3月の初旬に一度帰国を予定していますのでその時に相談させてください。

JST1月24日0700(現地同日1100)
35度08.933分S/174度07.349分E NE10〜15m/s 雨 オプアマリーナに隣接する検疫用バースに停泊中。

JST1月23日0600(現地同日1000)無事入港し2時間後には全ての入港手続きを完了しました。入港までと以後の経緯以下の通り。

 1月22日
0000
東の風7m/s。海況穏やか。4ポイントと最小限のジブで4kts。午前中の入港を目指して速度調整。一休みしようとするが眠れず。

0400
左30度前方に灯台の明かり。灯台まで15nm。OPUAまで20nm。エンジンスタート。レーダーオン。

0600
日の出時間を過ぎたが雲が濃い。南東方(前方)だけが少し明るく北島北部の陸地が見える。入り江に薄い靄がかかっている。気温が上がれば消えるだろう。

0700
船尾のアンテナに巻き付けておいた日章旗を展開。右スプレッダーに検疫旗(Q旗)を掲げる。相変わらず濃い雲に覆われ薄暗いが入り江の状況は、レーダー、GPSマップ、視認で十分確認可能。左舷2mに突然2匹のイルカが飛び跳ねる。それを切っ掛けに色々な種類の海鳥が近くを通り過ぎる。
鷺のように白い大型の鳥。鵜のような首の長い黒い鳥。小型で水面を2〜3m毎にチョンチョンと飛び跳ねるように移動している鳥(このタイプの鳥は始めてみる。)

0800
前方港口付近に帆走中のヨット。いつの間にか前方近くをモータークルーザーが横切る。トローリングをしているようだ。

0830
VHF16チャネルを通じて入港を通告。9時15分にチャネル63を通じて再交信するようにとの指示があり。検疫地を聞くとフェリーターミナルの近くに検疫専用のバースがあるのでバースの右側(西側)にもやうようにとの事。

0900
赤いハルのクルーザーが後方がらフルセールで追い越していく。このクルザーをやり過ごして後を追うように港内に入る。

0915
チャネル63で再交信。先方より税関と検疫の係員が10時に検疫地待機しているとの連絡あり。ヨットの行き来が多くなった。湾内を10艇以上のクルーザーがさまざまな方向を目指して走っている。前方から30艇ほどのディンギーの集団がこちらに向かってくる。セールに「ff」のマークがあるので小型のキールボート「フライングフィフティーン」クラスのようだ。年配のセーラーが多い。恐らく自分よりも年上のセーラーもいるようだ。
皆手を振って挨拶しながら通り過ぎていく。ディンギーを避けながら、時々通り過ぎるヨットにフェリーターミナルの場所を確認し更に港の奥に向かって進む。途中分岐する入り江の殆どがヨットで埋まっている。この入り江全体が通称「BAY OF ISLANDS」と呼ばれキウイーはもとより海外から寄港するヨットマンの人気スポットとなっている。

1000
検疫専用バースまで何とか辿りつくがこの頃より東の風が強くなりなかなか着岸出来ない。検疫バースは長さ200mはあるがっしりとした作りの浮き桟橋。マリーナ北東部を取り囲むように配置されている。マリーナのブレークウォーターの役目も果たしている。大型のレース艇がこのバースに10艇ほど係留してある。その間に舫おうとするが横風が強くロープを持って桟橋に乗り移るタイミングがなかなか掴めない。

周りに多くのクルーザーが係留しており狭い水路を行ったり来たり。200mの桟橋を2度廻り、適当なスペースの近くで作業をしているレース艇のクルーに声をかけもやいロープを取ってもらうように依頼。そのうちにマリーナのラバーボートがヘルプ来る。

1100
係留が終わるとマリーナのラバーボートを操るスタッフが「1時間後に係員が来るのでそれまでに記入するように。」といって入港手続き書類を1セット手渡してくれた。このへんはヨット先進国の慣習を感じさせる。

1200
税関員と検疫係官がやってきて手続き開始。税関手続きは円滑に終わったが、検疫の方はガイドブックにも書いてあったが思ったより厳しい。詰問に対するこちらの回答を参考に食料品のストックを隅々まで調べ上げる。卵、長期保存の効く玉ねぎやポテトまで根こそぎ没収。もともとたいしたストックではないので気にならなかったが、サラミサラミと叫んで僅かに残っていた保存の効く国産のソーセージ類も没収。米国製のものは問題ないらしい。

日本のサラミが旨いのを知っているようだ。良い面もあり溜っていた空き缶やゴミの類も全て没収して検査完了。風が強くなるのでチャネル12を通してマリーナに適当なバースを割り当ててもらうようにと言い残して風のように消えていった。

1300
マリーナに連絡するが満杯で係留場所は全くないとの連れない返事。当方の事情を伝えると、何とかするからスタッフが行くまで待機するようにとの回答。気象海洋の馬場社長に無事入港した旨電話連絡。結局検疫バースの比較的風当たりの少ないところに移動し、スこなくとも向こう1週間はここに落ち着く予定。

夕方同じバースの後方隣に係留したレース艇「フォースイレブン:37フィート」のもやいを手伝ったのを切っ掛けにこのグループと親しくなる。水、木、金と3日間のレガッタがありこのためニュージランド中のレース艇がオプアに集まっているようだ。艇長のピーター(IT会社を退役しヨット一筋)バウマンのジェームス(25歳)他2名の計4名が先行部隊。レースには最大12名の乗組員を予定しているそうだ。

ジェームスはヨットをするために生まれてきた若者で、近々本格的なレーサーとして磨きをかけるためイギリスに渡るそうだ。この桟橋は隔離されておりテンダーがないと上陸できない。フォースイレブンのテンダーに便乗して上陸、クラブハウスで彼らと談笑しながらビールを3杯。船に戻り、ワインと酒のつまみを持参で夕食に参加。
ジェームスは料理も上手でワインを飲み、特盛のスパゲティミートソースを食べ、コーヒーをご馳走になって早めに引き上げる。

1月24日
朝から激しい風雨。10時近くまで寝ていた。晴れ間を見てフォースイレブンのレースの準備を手伝うことにしている。

1/24/17:10JSTJST ニュージー北島のすぐ西の海上を低気圧が南下中ですが、
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
ニュージー北島のすぐ西の海上を低気圧が南下中ですが、明日1/25後半にはこの低気圧も消滅し、風雨も治まるでしょう。
今日のレガッタは勿論中止だったのでしょうね。それとも?
風はその後西から高気圧が張り出してくる気配で、南よりが吹き寒くなりそうです。
落ち着かれたら港の状況などインフォください。小生、目黒さんの入港された所はオークランドと思っていましたが、オプアでしたね。勘違いしました。

1月28日1000JST(現地同日1400)水、木、金と3日間続いたレガッタが終わった。
馬場様
航海の途中ではありますがこちらもお会いできるのを楽しみにしております。日程が決まりましたら別途連絡いたします。
JST1月28日(土)1000(現地時間同日1400)
水、木、金と3日間続いたレガッタが終わった。小生が参加した「FORCE ELEVEN」のメンバーは今朝艇をマリーナに残し慌しくオークランドに帰った。 実は今日オークランド迄回航し、途中近場をクルージングする予定だったが逆風が予想されたので出航を月曜日に延期することになった。自分も回航メンバーとして誘われている。
文字通り渡りに船。

風が良ければ月曜日にメンバーの何人かと合流しオークランドのウエストヘブンマリーナに向かう。それまで艇内の整理をしながら彼らのディンギー(ラバーボート)と、船を管理することにしている。
レガッタは1日3レース(5マイルから20マイル強のポイントレースで合計9レース、捨てレース無し)。参加艇は70艇、FEが参加したディビジョンBの参加艇は26艇。ファー40を中心に最もレース志向高いグループが集まっている。
FEのデザインはヤング11(ヤング氏のデザインによる全長11m−37ft−のクラス。同型艇が3隻参加。ヤング氏はブルースファー、ロンホランド、他有名デザイナー、ヨットマンに多大な影響を与えたニュージランドヨット界の大御所との事。)

レーティングは参加艇中のボトム(遅い)。ダウンウインドには強いがビーティングに弱点があるようだ。自分が20代の後半「ブンブン」という船でクォータートンクラスのレースに参加していたことは以前記載した記憶がある。勝つレースを目指し、同年代の仲間と共に、休暇と給料とボーナスの殆どを費やし3年間に2艇の新造船を作った。2隻目は当時世界選手権で優勝した「マジックバス」から抜いたモールドをニュージランドから輸入している。
キーウィ出身のデザイナーで自らも舵を握っていたマジックバスのポールホワイテングはハーフトン、ワントンクラスでも成功を収めたがオーストラリアでのレース後、回航中に時化に会い若くして亡くなっている。
FEのメンバーはマジックバスや天才ヨットマンのことも良く知っており、色々な話題に花が咲く。

以下簡単にメンバーのプロファイルとレース概要を記載する。
FEの参加メンバーは多少の入れ替わりあったが奇しくも乗員11名。(二日目のみ10名)

*ピーター(50歳)オーナースキッパー:この年で退職。ヘルムは取らずスタートのマニューバーやコース選択は若いベテラン達に任せている。自分はメインセール、ジュネーカー、スピンのトリムに集中している。明るく常にエネルギッシュ。理想的なオーナー像を体現している。

*ロブ(37歳)ヘルムスマン:巨漢ながら筋肉の塊。リグ会社勤務。寡黙ながらメンバーから一目置かれている。常に冷静。マキシボート(ボルボペンタ?)のヘルムを勤めたこともあるらしいが自らはあまり語らず。

*ショーン(48?)シートマン:エアフォース勤務。コースやスタート位置の確認。食料や飲料水等のロジスティックを含め細かなことは全て彼の担当。

*ピーター(52歳)シートマン:二人目のピーター。ショーンの同僚。FEでのレースは始めて。ディンギーからオフショアレースまで何でもこなすベテラン。

*デロ(49歳):少々肥満気味。ウインチマン。特技はなさそうだが問題があるといつの間にか彼が処理していることが多い。

*スナイピー(35歳)タクテシャン&セールトリマー。チーム創設以来のメンバー。今回は家族(婦人とその母親、4ヶ月の息子を近くのコテッジに呼び寄せての参加。

*スチュアート(45歳?):ウインチマン。レースの初日のみ参加。ただ一人何処となく影が薄くプロフィール不明。

*スコット(25歳):バウマン。リグ会社勤務。若いだけにどんな状況でも機敏に動き回る。明るく常に元気。バウでの仕事が終わるといつもデッキの一番前で飛沫を浴びながらパフの動きを大声でヘルムスマンに伝えていたのが印象的。

*ジェームス(25歳):マストマン(&バウマンのバックアップ)。スコットと同じ若きベテランセーラー。セールの上げ下ろしを中心に自分の持ち場をしっかりこなす。今年3月に渡英を予定。幾つかのオファーがあるらしい。

*ジェームス(30歳?):セールトリマー。前日までフライングフィフティーンの国内選手権に参加。70艇中2位は立派。スペインのマヨルカで開催される世界選手権を目指している。前回のワールドはオークランドで開催され11位(ニュージランド勢で2位)。キーウィの誇るトップセーラーの一人であるにも関わらず控え目で冷静。ロブと仲良しでお互いセーラーとしての敬意を表しているのが良くわかる。

*ジュリア(20歳):ドイツ(フランクフルト)からワーキングホリディで滞在中。大学途中でニュージランドの伝統工芸の修行中。ウィンドサーファー。ヨットに乗りたくて3ヶ月前に近くの町(キリキリ)に居住地を移す。レガッタのホームページのクルー募集を通じて参加。一般人に対する普及活動を何気なくやっている。粋な計らい。
レース一日目にして体中痣だらけになったといっていた。穴のあいた借り物のブーツとオイルスキンで3日間参戦。可憐で気丈夫、健康美少女。 看板に偽り無し。すらりと均整の取れた肢体。身長が5cm低ければ申し分ないのだが。ん、自分は何か勘違いをしているようだ。

julia
身長があと5cm低ければ申し分ないのだが...

*タミオ(58歳):無職。ダーマ号で単身世界一周の途中。FEの舫いを取った縁でオーナーのピーターからレースに誘われ参加。ラッキー。

レース概要。
ハンディキャップはORCとPHRF(Pacific Handicap Racing Fleet)の2本立て。但し金のかかるORCのレーティングを有しているのは参加艇の3分の一程度。フォースイレブンを含め殆どはPHRFのレーティングで参加。
デヴィジョンA〜E迄3位迄表彰されたが国際的に認知されているORC艇のみを対象にしたらしい。最も参加艇の多いディビジョンB(26艇)で、PHRFではFE(5位)より下位(7位?)の同型艇「ファインライン」が3位。
1,2は満遍なく高順位を占めたファー40。一日3レース。レース海域はマリーナから5マイル離れたベイオブアイランドの入り口。近くに大小多くの入り江があり、風向により風道が大きく変わる。風も大きく息をするので気が抜けない。
race race
レースに集まった名艇         プロトタイプも参加

初めの2レースはマークを上、サイド、下に打ちこれを2回廻る3角レース。全長5〜10マイル。最後は流し込みフィニッシュ。3レース目はコースを長く取り(20マイル)サイドマークや下マークに景観の良い島(小さな岩山)を配置。基本的には3角レースだがフィニッシュラインはマリーナの側。
3日とも濃い雲に覆われ時々スコールが通過する中で実施された。時々太陽が顔を覗かせるがその時の日差しはとても強い。

レース1日目:
1、2レースとも5〜10m/sの風。両レース共にスタートのポジションが悪い。他の参加艇よりもスピードが遅く、しかもショートコースでのスタートミスの挽回は難しい。その上2レース目は風の振れについていけず夫々7位、12位。3レース目は風が落ちキャンセル。キャンセルのアナウンス直後に風が強くなってきたのは皮肉。
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レース前の打ち合わせ     スタート前の駆け引き

レース2日目:
終始安定した10m/sの風。西ー南ー東とゆっくり反時計回りに振れる。予定通り3レース消化。順位は3位、2位、9位。3レース目の下マークで内側に入った小型艇がマーク回航を旨く出来ず。これに付き合わされて大きく順位を落とす。
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スタート前           競争相手を背後に従え快走中

レース3日目:
東風10m/s。時々15m/sまで風が上がる。順位は7位、6位、4位。

毎日レースが終わり、ダーマの直後ろの定位置に舫いを取り、まずビールで乾いた喉を潤す。2〜3本飲んだ後、ディンギーで移動。マリーナの敷地内にあるオプアクルージングクラブのバーで又ビールを2〜3本。食事をして思い思いの宿泊先に戻る。大半は近くのキャンピングエリアでレンタルしたキャンピングカーに宿泊。自分はディンギーでダーマに戻り、翌日皆が集まるのを待つ。
最終日はビールだけでは間に合わずラムを2本空け、表彰式の後、近くのパブに繰り出す。金曜日でもあり若い男女が大勢集まりなかなかの賑わい。
race
レースの疲れを忘れ明け方まで...

自分はその日の内に戻ったが、若者達は明け方4時半迄騒いでいたとの事。付き合っていたオジサン達もエライ。この辺になると欧米人の体力とスタミナには適わない。
以上レガッタの参加報告終わり。

1月23日(月)にオプアに到着して以来2週間が過ぎた。
1月23日(月)にオプアに到着して以来2週間が過ぎた。25日から27日まで「フォースイレブン」でレガッタに参加。28日に係留しているマリーナと契約。サマーシーズンのため空きがなく当面検疫用桟橋を使うことになった。
上陸にテンダーが必要だが、結果的にこの方が安上がり(200ドル/月)でセキュリティも良さそうだ。

1月29日(日)
フォースイレブンの回航に便乗してオークランドへ。全航程120海里。乗員は以下4名。ピーター(50歳):オーナースキッパーデイブ(76歳):ピーターの父親の代からの友人。元タグボートのマリンエンジニアで現在もフォースイレブンのメカニックを担当。ジュリア(20歳):フランクフルトからワーキングホリディで滞在中のドイツ人。ラガッタにも飛び入り参加。ウィンドサーファー。タミオ(58歳):本人。

kaikou タマニハ
オークランド回航要員         タマニハこんなことも

夕方風が南から北東にまわるのを見越して1600時出航。1900時、ベイオブアイランドの入り口、ブレット岬の懐の入り江(Omakiwi Cove)に投錨。既に20艘に近いヨットが投錨している。夕食はピーターとジュリアが作ったミートソーススパゲッティ。ワインを開けて乾杯。

1月30日(月)
0630抜錨。風弱く霧が深い。視界1マイル前後。0800ブレット岬とピアシィ島(PiacyIs)の狭い水道を通過。この辺は観光の名所。景観が素晴らしい。その名の通り、ピアスのような洞窟が島を貫いている。大型のボートでも通行可能で観光船の航路にもなっている。

ピアス島
景勝ピアス島ベイオブアイランズ入り口

charter charter
クラシックなチャーター艇         営業航海中

気温の上昇と共に視界が開けるが相変わらずの曇天。時々雨。午後時々太陽が顔を出す。日差しがとても強い。風が東から北西に回り5m/s。機帆走。1800ワンガレイ(Whangarei)の入り口(ウクハツ湾)に投錨。ここでも10艘ほどのヨット、モーターボートが投錨中。
夕食はリゾットとソーセージ。再びワインで乾杯。

1月31日(火)
0600抜錨。機帆走で目的地ウエストへブンマリーナ(West Heaven Marina)へ。本船に出会うことはなかったが廻りはヨットだらけ。オリンピッククラスのカタマラン「トルネード級」が2艇猛烈な勢いで側を通り過ぎていく。マリーナの直側で2艇のアメリカンカップチャレンジャーがスピンを上げて帆走練習。
内一艇は数ヶ月前に進水したばかりとか、数週間以内にもう一艇が進水する予定になっているらしい。
写真を取れるところまで近づいたときは残念ながらセールを降ろし近くのポートへ曳航される途中。

A-Cup

1800マリーナ到着。同船者3名は夫々家族や友人の迎えの車で帰宅。自分は旧友山下院長(35年前に日本一周した時の唯一人のクルー。現在宮古島診療所所長)が紹介してくれたスチーブ(Steve Hendricksen)の迎えを待ち彼の車で彼の自宅へ。
途中近くのレストランで夕食。更にデボンポートに住んでいる彼の両親宅を訪問、お茶をご馳走になる。久々に味会う家庭の味。彼の家族は1970年から80年代に11年かけて自作した36ft艇「Tenacity」を所有。ニュージランドのヨット愛好家の一端を見る。

steve
お世話になったスチーブとご両親

奥さんは旅行が趣味で特に中東を中心エジプトやインドをはじめいろいろなところの遺跡を訪ねている。小さな宝石箱に丁寧に保存しているヨルダンのぺトラ、リビアのサブラタやレピュタス・マグナで拾い集めた土器やモザイクの小片を見せてくれた。
アランビアンナイトでシンドバットが船出したと言われるマスカット・オマーンのソホールも訪ねている。何れも自分が訪ねたところなので感激。記憶を辿りながらお互いの昔話に花が咲く。15分の予定があっという間に一時間を過ぎる。翌日の再訪問を約してスチーブの家へ。



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