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2007年4月

現地時間4月12日10:00トリニダッドトバコのチャガラマス港を出航
4月30日現在、ニューヨークまで残すところ、460海里まで北上
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軌跡
DHARMA単独世界一周航海日誌   2007年4月             戻る

現地時間4月1日午後15時。日本時間4月2日深夜4時
馬場社長経由でお伝えしましたように、3月26日トリニダッドの首都ポートオブスペインの近く(西へ15キロ)にあるチャガラマス港に到着しました。以来あっという間に4月に入ってしまいました。海外での航海に経験の深いボヘミアンの渡邊さんが友人の寺島さんと3月28日に現地入りし、毎日のお世話になっています。渡邊さんが小まめに写真をアルバトロスに送って下さるのにかまけて、ついつい、連絡が遅れてしまいました。到着以降の経緯を以下簡単にお伝えします。

3月26日
港に近づくと対岸の島から50ftほどのカタマランが近寄ってくる。何処から来た?と気軽に声をかけてくる。50日振りの生の会話が出来るのが嬉しい。先方にカスタムポンツーンの方向を確認し、後で会おうと声をかける。前日電話で入国管理事務所とコーストガードに電話で入港時間を伝えていたためか、港に近づくとコーストガードの警備艇が近寄り、ダーマの艇速にあわせ、ゆっくりと税関のポンツーンに先導。所狭しと投錨している様々なヨットやモーターボートの間をかいくぐる様にポンツーンに向かう。既にポンツーンには2列に大型のヨットが並び出入国手続きの最中。一隻が離れるの待ち、大型のカタマランに舫いを取る。入国と税関の手続きが終わったのが午後2時。同じコンパウンド内にあるマリーナ、クルーズインにチェックインし、バースの準備をしている間に洒落たレストランで地ビールSTAGをたちまち3本飲み干す。その日はマリーナに船を移し、汚れ物の洗濯をし、レストランで夕食をとり爆睡。

3月27日
早朝気がついたら、ブラジル籍の鉄鋼船(ヨット)が隣のバースに舫いをとっていた。反対側に舫いを取っているのは年配のアメリカ人(70歳位か)、トリニダッドに入って7年目との事。船やロープの潮抜き、洗濯の続きをしながら、合間にはビール。近くの数隻から現地情報を収集。当方の意図は上架と修理の適切な場所を探すこと。夕方最初に会ったカタマランの男ビンセント(カルフォルニア出身、41歳)が尋ねてきた。彼がカンバスの修理を頼んでいる業者が一緒だったので、渡りに船とドジャーの補強を依頼する。ボヘミアン一行が翌朝早い時間に到着するので、車とモーニングコールをマリーナのフロントに頼み就寝。

3月28日
5時半に船をノックする音で目覚める。頼んでいたモーニングコールだ。空港に行く途中、ラッシュと重なり思ったより時間がかかる。飛行場に着いた時は、既に手続きを完了。愛煙家の渡邊さんは、ハワイに着いた時と同じように、出口のところでタバコをくゆらしている。長旅にも関わらず寺島さんも元気そう。早速市内のクラウンプラザホテルへ。その日はダウンタウンを散歩しながら極めて庶民的な中華食堂でブランチ。自分は船に戻る。

3月29日
早朝、近くに4箇所あるボートヤードのうち、サービスが最も行き届いており、作業の質も高いと評判のピークス(PEAKES)を訪ねる。翌金曜日は祝日で休み。上架できるのは4日後になるという。今すぐなら上架できるとの事なので、9時に回航、直ちに上架。鯨に衝突した時のダメッジが気になったが問題なさそう。塗装の打ち合わせを済ませ、クラウンプラザでボヘミアンと合流。夕食は現地の高級レストラン「メレンゲ」。チ入港直後はやはりステーキが上手い。

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元気な目黒さん                     レストラン Melange にて

3月30日
デッキ後半部の水漏れが、ハルとデッキのつなぎ目を特定し、これを修理するため、トウレールを取り外すことにした。合わせて船内の清掃をするため、ピークスのヤード内にある宿泊施設を契約。荷物の移動を始める。何時ものことながら、呆れるほどに荷物が多い。加えて物入れの一つにしまい忘れていた卵一ダースが完全に腐り、ウジが湧いているのを発見。チーズを腐らせたようなとてつもない悪臭が広がり気が遠くなりそうなのを我慢して取り出す。未だ臭いの残る船内でメールを打っている。続きは明日。


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金毘羅さんのお札                    上架ダーマ

トリニダード・トバゴでの目黒さんの元気な姿が入りました(写真提供:ボヘミアンの渡邉氏)

ボヘミアンの渡邉氏がトリニダードの目黒さんを激励に訪れたときの様子→ ボヘミアン広場
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目黒さんのトリニダード到着を記念して関連の画像をWeb Siteから集めてみました→ 画像集
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現地時間4月8日午後一時
前回送ったメールの日付が4月2日(日本では4月3日:現地時間は13時間遅れ。)記録では3月30日迄の近況。引き続き近況を伝えるつもりでしたが、いつの間にか一週間以上経つ。その間の事情は、当地に滞在していた渡邊さんの;世界一周ヨット「ボヘミアン」のホームページの中にある「ボヘミアン広場」に掲載されていますのでご参照下さい。

渡邊さんと寺島さんが現地入りしたのが3月28日、渡邊さんは4月6日早朝、カラカスーのトロント経由で帰国しました。寺島さんは4月22日のキューバ発の便で帰国予定。寺島さんは現地では手に入らない貴重な日本食を持参してくれただけでなく、ダーマを陸揚げしている、ピークボートヤードで出航準備の手伝いをしていただき大いに助かっています。本人もクルーザーのオーナーですが、数年前カナダで4ヶ月強、ヨット修行の旅を経験しており、英語でのコミュニケーションも達者、ヨットのことにも詳しい、得がたい助っ人。

4月6日(金)から4月9日(月)まで現地は連休。連休明けの4月10日に船を下ろす予定。
  ピークでは主に以下4点の作業を完了。
1)後部ノトウレールを外し、ハルとデッキの間(シャー)をFRPマット2層で完全にシール。
  修理の痕跡がないほどに綺麗な仕上がり。この作業は三河ヨットの堀江社長と相談して決定。
2)船底ペイントの再塗装。出航以来4度目の再塗装になるが、今回初めてプライマー(下塗り)を施す。
3)ドジャーのソフトカバーの縫い目の補強。
以上の他に現地人の若いヘルパーを雇い、ハルや錆びたステンレスを完全に磨き上げたので、新艇のようにピカピカ。

4月6日早朝、渡邊さんを見送って以降の近況を簡単に記載。

4月6日:飛行場で乗り合いタクシーを捜すが見つからず。地元の人に乗り場を尋ね、タクシーで乗り合いタクシーを拾える街道へ行く。その間役10分、3ドル:邦貨60円/人。乗り合いタクシーの行動範囲は決まっているらしく(赤や黄色等で色分け)先ず、ポートオブスペインに行き、そこで乗り換えてチャガラマスへ。5ドル×2(邦貨200円/人)。ホテルから飛行場までUS$38。3人で利用したので割安にはなっているがそれでも一人頭で約10分の1。

チャガラマスでは一休みした後、船内の清掃。腐った卵の臭い(極め付きのブルーチーズ)はどうやら98%は解消。その後、食料品在庫のチェック。夫々の寄港地で念のために買い込んだ食料品が驚くほど沢山残っており、相談しながら一部廃棄。夕方近くの町に出るが、祝日のため目指した中華料理屋は閉店。ファーストフードで済ませる。

4月7日。食料品のチェックと積み込み完了。夕食はコクピットで。寺島さん持参の秋田小町で作ったマツタケご飯、ビール、ワイン、つまみはイカと里芋の煮っ転がし(缶詰)、バックグラウンドミュージックは演歌。
赤いランプの下で即席「居酒屋」を堪能。

4月8日。8時半約束どおり、南アフリカ人(スコットランド系)のコリンと待ち合わせ。彼は自分と同年代、空手や合気道を長年続けており、指圧の心得もある日本通。彼のディンギーに乗り、近くのテストランで朝食。食後ディンギーで湾内クルーズ。長くカリブに住んでいるので最適のガイド。正午前ヤードに戻り、午後から、修理道具、機材等々チェックをしながら積み込み作業を継続。

以上。


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寺さん、大手柄!日本食発見。目黒さんと海老天麩羅       カリブ料理レストランBattimamzelleにて

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「チリ海軍」発行のケープホナー証明書

2007/4/11/09:28JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
4/16GMT頃北米東岸沖の35N付近に低気圧が顔を出すと予想されます。その後の低気圧の移動速度遅く(正面の高気圧の影響)、4/18/12GMTで35N-65W付近の見込み。
15N以南は低気圧の影響少なく、今後一週間ほぼ東よりの順風。特に顕著な気象の変化はありません。
15-20N間は上記低気圧の影響で南〜西への風向の変化あり。4/18GMT前後に前線通過する見込みなので、4/16GMT以降の海況は要注意。
20N以北は4/16GMT以降南〜西より更には北西へと変わり、風速も4/15GMT以降前線の接近と通過で強まるため要注意。

2007/4/12/13:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
イリジウムの通信状態はいかがですか。
明日から一週間の海況予想ですが、昨日と大きく変わるところはありません。4/16に予想される低気圧は北米東岸から動けず、ほとんど停滞するかもしれません。このため、4/16以降、20N以北は西よりの風。25N以北は風が強まります。
本船の北上に際しては、このような低気圧に特に気をつけなければなりません。35Nあるいは以南で非難港を見つけておいてください。
低気圧が今後も35-40N付近から大西洋に出るようであれば、太平洋横断時と同様に、距離は長くなりますが、30N付近を東進し、前方に高気圧が見えた時点で徐々に北に上がるコースを検討する必要があります。

JST4月13日0800 GMT4月12日2300 船内時12日1900
11−28N/61−47W COG345T SOG5kts E10m/s 晴れ 29℃ 1012hPa

昨日午後出国手続き、本日朝7時に税関の手続きを終え、10時にチャガラマス港を出航。3月28日に当地へボヘミアンの渡邊船長と一緒に見えられた寺島さんが同乗しています。誠心誠意出航準備を手伝ってくれた寺島さんの希望も考慮し、250海里北にあるマルチニークに向かっています。

船底塗装と修理を終え、ダーマを降ろしたのは4月10日。ピークヤードのハーバーマスターの計らいで、その後2日間、ピークの経営者が保有する特別のバースを利用、安全かつ快適に過ごすことが出来ました。自分は出航当日までバースまで1分でいけるホテルの一室を借りていましたが、寺島さんはダーマに泊り込み、出航時には随分前から乗り込んでいたようなベテランクルーの雰囲気です。昨夜は同じホテルに投宿している英国人のカルビン・ジェーン夫妻とゴールデンイーグル(中華)で夕食。その日の昼食は南アフリカ人で当地の事情に詳しいコリンと一緒(クルーズインのレストラン)。夕食前にはヤード職員とビールでささやかなお別れ会。3月26日に入港して以来、とても親切な人々に囲まれ、ここトリニダッドも忘れがたい寄港地となりました。出入国、税関の職員達が艇名と自分の名前を覚えていてくれて、手早く手続きを済ませてくれたのにも感激しました。

2007/4/14/7:50JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
20Nまでの海況は東より〜南よりで穏やか。
予想される低気圧からの前線の影響もありません。
楽しいカリブのクルージングを!!

JST4月14日2000 GMT1100 船内時0700
14−11N/61−17W E6m/s COG 25T SOG 5kts 機帆走 晴れ 35℃ 1015hPa 北西流2ノット。海況穏やか

本日12時頃、フランス領マルチニークに入港予定。本島は、20世紀の始め(1902年)ペレー山の突然の火山活動により、首都サンピエールの住民2万6千人が全滅。生き残ったのはたった1人と言われている。現在は熱帯のパリと呼ばれ数多くあるカリブ諸島の中でも、人気スポットの一つである。ナポレオンの愛人ジョセフィーヌは、この島で生を受けている。

航路の途中、トリニダッドに最も近いところにあるグレナダの西側を通過。同島はかってスパイシーアイランドと呼ばれ、大航海時代の貿易の中心地。当時の面影を残した島の一つで寄港したいところではあったが、先を急がねばならず、残念ながら素通り。

JST4月18日0700 GMT 4月17日2200 船内時1800
14−27N/60−44W SSE 5m/s COG40T SOG5kts 晴れ 30℃ 1011hPa 約0.5ktsの北流れあり

昨日朝7時半、税関事務所が開くと同時に入港手続きと出航手続きを完了。出航日は翌日だが何時出ても良さそうな雰囲気。当方が出航の準備をしている間、寺島さんは飛行場へ向かい、キューバまでのフライトの手配。ついでにレンタカーを借りて戻ってきた。フランス行きのエアフランスは毎日飛んでいるが、キューバへの便は週一との事。4月21日のフライトを予約し、何とかキューバを4月22日に発つ帰国便に間に合わせることが出来た由、当方も一安心。

今日も午前中は、引き続き出港準備。14時に給油のポーンツーンで3月28日以来、3週間にわたりお付き合い頂いた。寺島さんとお互いの無事帰還を祈って別れを告げる。ダーマの次の寄港予定地はニューヨーク。アブダビに勤務していたとき、家族ぐるみで親しくしていた商社マン小西さんご夫妻が現在ニューヨーク勤務。日本を出航する前から、ニューヨーク訪問を約束していたが、何とか約束を果たせる見通しがついてきた。

16時15分、マルチニークの最南端カブリ岬を廻り進路を東にから北東にとる。激しい逆潮で艇速6ノット、対地速度は2ノット。前方から超大型の観光カタマラン「パッション」が大勢のお客さんを乗せすれ違って行く。17時岬を完全に廻り、海況が穏やかになるのを見計らってエンジン停止。帆走に移る。ここからニューヨークまで直線で約1700海里。出航前に馬場社長と気象について話しあったが、このところ北緯40度線付近を低気圧が頻繁に通過。現在は低気圧がニューヨーク付近に居座っているとの事。今後の気象に十分注意するようにとの警告を受けている。

マルティニーク出航
マルティニークを出航する目黒さん

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目黒さんのマルチニーク寄港を記念して関連の画像をWeb Siteから集めてみました→ 画像集
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2007/4/18/09:45JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
高気圧は既に東方へ移動し、本船北方にはニューヨーク沖を東進中の低気圧から南にのびる気圧の谷に入りつつあります。4/20頃まではこの谷の影響下で風は南東〜南、風速10m/sあるいはそれ以下。
谷が東へ去る4/21頃から風向も東より〜北よりへと変わり、4/23以降は北東〜東へと回る見込みです。この間も風速が10m/sを大きく越える事はないでしょう。
当初のお打ち合わせの通り、北米東岸沖の35N-74W付近を目指され、そのあと、低気圧の動向を見ながらニューヨークへと北上されることをご検討ください。

JST4月19日0600 GMT4月18日2100 船内時1700
ESE6m/s COG 00T SOG 4kts 晴れ 33℃ 1011hPa

地図で見ると、中南米の東側を弓で囲うようにカリブ諸島が連なっている。弓の上、西側がキューバ、その反対側(南側)が小アンチル諸島と呼ばれ、カリブ海を代表する小さな島々に相当する。マルチニークを昨日午後出航し、現在グアデロウプ島の東側50海里を北上中。この先北東方向には、セントマーチン、アンチグア、バージン諸島等魅力的な島が連なっている。フレンチポリネシアやニュージランドで多くの米国籍のヨットとあったが、殆どがカリブ海で数年過ごしていた。実際一つの島で一ヶ月ずつ過ごしたとしても、直ぐに2年間は経つだろう。ダーマにとっては短い滞在だったが、カリプソの似合うカリブの香りを楽しむことができた。実際のところ、カリブと言う銘柄の地元ビールだけは毎晩のみ続け、2ケースほど積み込んだので、暫くはカリブの雰囲気を味わうことが出来そうだ。

2007/4/18/09:45JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
風はこれから南よりに変わり、4/20/12GMTを中心に、北を通過する谷の影響で一時10-15m/sまで上がる可能性があります。
この谷の通過後は、大陸から移動性高気圧が張り出してくる見込みで、北よりの風10m/s以下が2日程度、その後10m/s前後の東よりから10m/s以下の南東へと変わります。
この海況予想から、当面は30N-75Wあたりをウエーポイントとされ、そこから北米東岸を北上されるコースをご検討ください。

JST4月20日0600 GMT4月19日2100 船内時1700
17−49N/61−17W SSE6m/s COG300T SOG4.5kts 晴れ 31℃ 1012hPa

出航以来2度WDMの要求をしましたが、いずれも短時間の予想でした。長期予想ー192時間ーの送付をお願いします。30N−75Wに向かいます。今のところ気になるのが北よりの風10m/s以下、2日程度の記載です。西から北へ廻ることを予想してやや西へ向かっています。

昨日夕方か風が落ちたので夜明けまで機走で北上。その間風が一時北に振れ、明け方南風が安定してきたので帆走に移る。風速は5−10m/s。弓状のカリブ諸島の東側に沿い北上。現在アンテグアをかわし、西北西へ向かっている。トリニダッドからマルチニークの間、とりわけマルチニークに近づいてからは多くのヨットが帆走していたが、外洋に出てから一度もヨットに会わなくなった。朝8時、そんなことを考えていたら、右舷5mのところに突然鯨が浮上。小型(といってもダーマよりは大きそう)で黒色の瘤上の背中に縦皺が入っているのが特徴。直ぐに沈み込み後方へ消えて行った。

2007/4/20/09:10JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
これから移動性高気圧が本船の北方に移動してきます。この高気圧は東西に長く、今週末まで間に弱い谷を挟みながらも北方に停滞する見込みです。
航路上での北よりの風は、4/21/12GMT以降4/22/18GMT頃まで。その後北東から東へと風速を増しながら(高気圧からの20kt前後の吹き出し)変化、4/24頃には東の順風に落ち着くでしょう。
予想天気図を添付します。

2007/4/21/07:40JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
これから数日間にわたって航路の北を移動性高気圧が東進します。 本船の北上に伴い、明日以降風は北〜北東へと回り、4/23-24は一時10m/sをやや超える可能性があります。
4/25以降は東より〜南よりに変わりながら、風速も弱まります。
4/27頃、35N付近の北米東岸に低気圧が進みますが、いまのところ、航路上の海況へ大きな影響を与える可能性は小さいと思われますが、念のため、この低気圧に注目しましょう。

JST4月22日 0600 GMT 4月21日 2100 船内時 1700
20−06N/64−31W NNE 7m/s COG 300T SOG 4kts 晴れ 31℃ 1014hPa

昨日以来快調に走っていたが、早朝2時突然スコールに見舞われる。一月近くトロピカルでノンビリすごしてきたため、熱帯ボケ。暗闇の中で方向を見失い、30分ほど右往左往。
以後風向風速共に不安定につき機走に移る。夕方4時北北西7m/sが安定してきたので帆走開始。

2007/4/22/08:25JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
航路の北を通過する移動性高気圧は東西に長く、しっかりしています。4/24GMTまでは北東(4/23-24頃一時MAX10-15m/s)、その後東〜南東〜南〜南西へと弱い谷の通過で風向が変わりますが、風速は5m/s前後。
今のところ、発達するような低気圧は予想されていません。

2007/4/23/09:30JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
25N以北では、4/26GMT以降移動性高気圧の西縁で南よりに変わってくる予想です。4/29頃北米東岸を気圧の谷が通過しますが、航路への影響は少ないでしょう。その後は広く高圧帯に覆われ、しばらく風が弱い状態が続く可能性があります。軸が北にあるため、風向は北より!!
この現在の海流はいたるところに渦あり。明日海流図(約70K)を添付します。

JST4月24日 0600 GMT 4月23日 2100 船内時 1700
23−05N/67−44W E12m/s COG 310T SOG 5.0 kts 晴れ 27℃ 1020hPa

今朝から1−1.5ktsの反流あり。数日中には北へ向かう流れになるだろう。今夜は風速が15m/sまで上がるとの予想。次第に波が高く(3m)険しくなってきた。日暮れ前にはリーフして夜に備える。

2007/4/24/09:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
北にある高気圧からのやや強めの吹き出し風は4/25/00GMT頃まで。
その後2日ほど東〜南東の順風が吹いた後、高気圧の西側に入り、西からの谷の接近に伴って南東〜南〜南西、更に西〜北西へとおおむね1日周期で風向が変化するでしょう。この間の風速は10m/s前後。
5/1頃のニューヨーク沖では今ひとつ谷が通過する可能性があります。
海流図を添付します。航路上には南流も多く見られますので、これに当たらないよう適宜航路を変更してください。

海流

JST4月25日 0600 GMT 4月24日 2100 船内時 1700
24−44N/69−00W E10m/s COG 340T SOG 5kts 快晴 25℃ 1021hPa

海流図有難うございました。参考にしています。とりあえず 27.5N/70Wを目指し、その後35N/75Wへ向かいます。北米東海岸付近での流れが大きく変わる事はないと思いますが、航路上の渦巻きの変化は如何でしょうか。当面(2〜6日間)は変化無しと考えてよろしいでしょうか?

0.5ノット程度の反流があり、リーウエイ約20度。このためクローズドリーチで帆走。波は高くないが、切り立っているので頻繁にパンチングを受け、風速の割には艇速伸びず。とはいえ概ね順調に帆走を続けている。

深夜から明け方にかけ、3度スコールに見舞われる。朝7時東西に連なる積乱雲の群れを通過した際、特大のスコールに出会う。風速最大17m/s。雲が所々途切れたところで、風向が大きく変わる。風が風下に振れたとき、予期せぬタックを強いられ、午前中3度同じ目にあう。午後一時ごろから積乱雲が消え去り、以後薄雲りながら快晴。今夜はぐっすり眠れそうだ。

2007/4/25/09:10JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
航路上の風は本船の北上に伴い東〜南東〜南〜南西へと変わっていく見込みです。4/29-30頃谷の通過と次の高気圧の張り出しで一時北より。
風速はここしばらく大きく変化することはないでしょう。
海流変化は、この辺りは安定しているはずです。ただし、北米東岸沿いに北上するガルフストリームは、図にあるように本流外側に右回りの過流を伴っているのでこれは避けた方が無難でしょう。

日本では4/29からゴールデンウイークに入ります。小生も4/29-5/1は海に出ます。極力メール通信を確保しようと思いますが、PHSだけに不通の場合も考えられますのでこの点ご了解ください。

JST 4月26日 0600 GMT 4月25日 2100 船内時 1700
E3m/s 機帆走 COG 340T SOG 6kts 快晴 26℃ 1022hPa

本日船内時1600、1ノット前後の北流に乗ることができましたが、風速が3m/s前後で已む無く機帆走に転じました。ニューヨークまで残り900海里。機走で一気に走るだけの燃料は無いので、ここから700海里先にあるチェスピーク湾入り口の南岸、ポーツマスで給油することを視野に入れています。現在の燃料残は約200リットル。600海里は走ることが可能ですが700海里となると無理があります。

このまま潮に乗り、平均6ノットで走ると、気象予報では、4月の28日から29日にかけて7.5m/sの南風が24時間吹きます。風が予想通り吹けば5月1−2日頃には辿り着けます。仮に艇速が5ノットの場合、7.5m/sの南風に遭遇できる期間は6時間程度となり、その後風が北に転ずることを考えると、ポーツマス到着は大幅に遅れることが予想されます。当方の現況以下の通りです。

北緯25度を越えた辺りから、干し藁のような海草がいたるところに浮遊しているのが目に付くようになった。これがサルガッソウらしい。この海域は帆船時代よりサルガッソウ海と呼ばれ、別名「船の墓場」とも言われ恐れられてきた。理由は風が弱いため、加えて複雑な海流のためと思われる。長い航海の後、この微風海域を彷徨っているうちに、複雑な海流のためポジションを失い、食料が絶え、飲料水が枯渇しついに・・・・という帆船時代の実話を昔読んだことがある。

昨日まで良い風に恵まれていたが、逆流のため船足が思ったよりも伸びなかった。このままでは到着予定日を大幅に遅れるばかりか、到着の目処が立たなくなる。午後1300已む無く機帆走に転ずる。一昨日から海流図を頼りに、北流に出会うよう北上を続けてきた。1600、サルガッソウが幅広く、帯状に、何時に無く多く浮遊し、中には半径10mを超える塊が幾つも見らる。海草に混じってプラスチックの廃棄物も浮遊している。大きな潮目だとわかる。その内に海流が次第に南流から北流に変わり、どうやら1ノットの潮に乗ることができた。明日以降、風速が5m/sを越えれば無論帆走に移るが、さもなくば5日間機走を続けることになる。燃料が長持ちするよう経済速度(1700回転/分:無風で5ノット)を保ち、今のところ潮に乗り、対地速度6ノットで走っているがどうなることやら。

2007/4/26/08:40JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
航路上の海況は安定しています。明日、風は東に南分が入るようになり、その後南〜西(北西)へと2日おきに変化していきます。風速は10m/s前後。
当方では現地時間の5/1にニューヨーク到着と見ています。

JST4月27日0700 GMT 4月26日2200 船内時0600
28−33N/70−42W E6m/s COG 320T SOG 3kts(艇速4kts 1ノット前後の反流あり) 晴れ 26℃ 1023hPa

気象の見通しにつき、昨日気象海洋の馬場社長に電話。「御宣託」を仰ぐ。当方は水飢饉に喘ぐ農民の心境。「後一日待てば必ず吹きます。」の一言でやや安心。夜明けを待ち、60リットル給油。夕方5時、過去2日間、3m/s前後だった東風が6m/sに増加。安定するのを確認しエンジン停止、帆走に転ずる。反流が1ノット。対地速度3ノットで静に北上中。マルチニーク出航以来、エンジン使用時間は合計60時間。

2007/4/27/09:05JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
風は本船の北上に伴い徐々に上がってきます。明日以降は7-12m/sの間くらい。風向は現在の東が明日からは南東〜南。その後西に振れ、ニューヨーク沖では南西。
海流は北上するガルフから発生する右回りの渦が多く、これを避けるのは難しいので(唯一の方法はガルフ本体へ最短距離で突っ込むだけ)、予想される風に期待しましょう。
192時間予想図を添付します。
イリジウムは追加しておきました。対一般電話分で約900分。対イリジウムでは1800分です。

JST4月28日 0600 GMT 4月27日 2100 船内時 1700
29−45N/71−36W S 7m/s 315T 4.5kts(反流1ノットあり) 晴れ 27℃ 1022hPa

昨夜以来風速5-6m/s、艇速3−4で推移していたが、本日1600より南風7-8m/sに上がり、これに伴い艇速も4−4.5に上昇。

予想では29日午後より北に風が変わるので、これを見越して、北西(暫定定点 32.5N/75W)へ向けて帆走中。

2007/4/28/08:10JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
4/30LTまで、風向は南から次第に西に変わり、風速は10m/s程度までで安定。
5/1/00GMT頃北を低気圧が通過。半日程度SWが10-15m/sまで強まります。また、5/2/00GMT以降、次の低気圧が北を通過。5/1と同じくSW風が強まる可能性があります。
ただし、波は3m前後まで。
ニューヨークに近づくと、海況はやや不安定になりそうなのでご注意ください。

JST4月29日 0600 GMT 4月28日 2100 船内時 1700
31−24N/73−20W SSW 10m/s COG 330T SOG 6kts(0.5ノット前後の北流あり) 曇り 27℃ 1016hPa

霊験あらたか。予言通り、昨日夕刻から吹き始めた南風が風力を強め、終日10m/s前後で安定。魔のバーミューダトライアングルもサルガッソー海も無事通過できそうだ。

2007/4/29/06:45JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
45N付近を低気圧や気圧の谷が通過します。航路上では南よりの10m/s前後の風が続く見込みで、大きく変化することはないでしょう。
当方現在洋上(といっても東京湾)。高気圧に覆われ無風です。
貴艇のご安航をお祈りします。
5/1-5/2は出社します。

JST4月30日 0600 GMT 4月29日 2100 船内時 1700
33−30N/73−35W NW4m/s 機帆走 COG 11T SOG 5.5kts(北流 0.5kts前後) 晴れ 29℃ 1015hPa

今朝から南西の風が西、更に北西へと振れ、風速も7m/sから4m/sへ下がる。風が弱くなる度にエンジンを回していたが、正午より再度機帆走。通常機走するときは、ウインドベーンをオートパイロットと交替させるが、今朝ウィンドベーンのパドルを固定させるラッチのバネが壊せているのを発見。バネが折れているようだ。海上では修理できないので、ニューヨークについてから直すことにする。ニュージランドを昨年11月に出航して以来、1万5千海里以上走っているが、航海中は殆どウインドベーンに頼ってきた。メインテナンスフリーと言いながらも、やはりメインテナンスの重要性を痛感している。

「降れば土砂降り」という言葉があるが、海にいると同じような思いを経験する。数日前までは「風よ吹いてくれ」と祈っていたのだが、その後天気予報が目まぐるしく変化している。ニューヨークまで残すところ、460海里。5月3日には入港できる見通しとなったが、入港直前の5月2日から3日にかけて低気圧が北緯45度線を通過し、15m/s前後の南風に曝されそうだ。外洋にいるときなら何の問題も無いが、初めての港に入港するとき、追い風、追い波は緊張を強いられる。本船の出入りも多いことと思われる。当初ロングアイランドの南岸に寄港する予定だったが、今現在は島の東端を廻り、北岸につけようかどうか迷っている。南岸にするか、北岸にするか今後の気象、海況次第。



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