Albatross Yacht Club
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2007年3月

現地時間3/26/10:00(3/26/23:00JST)に無事トリニダッドトバコのCrews Inn Marinaに入港
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ボヘミアンの渡邉氏がトリニダードの目黒さんを激励に訪れたときの様子→ ボヘミアン広場
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目黒さんのトリニダード到着を記念して関連の画像をWeb Siteから集めてみました→ 画像集
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軌跡
DHARMA単独世界一周航海日誌   2007年3月             戻る

JST3月1日 0600 GMT 2月28日 2100 船内時 1800
18−08S/27−22WE 9m/s COG 10T SOG 5kts 曇り・雨・晴れ 25℃ 1016hPa

相変わらず雲に悩まされた一日。 この雲は、東西方向に伸び、幅10数キロ。低層雲/中層雲の殆どの雲の組み合わせからなる集団。所々に雨脚を伴った乱層雲(或いは層雲)が存在する。この雨脚を伴った雲が接近すると風速が5〜6m/s前後、風向が40〜60度変化する。9m/sの東風を受け、スタボードタックのアビームで北に帆走しているが、まず風速が徐々に増加し15m/sまで上がる。続いて風が北に振れ、雲が遠ざかるにつれ、次第に弱まる。30分ほどで風向・風速共に回復した頃、次の雨雲が接近する。というのが典型的なパターン。

真夜中の零時を手始めに、3時、5時、9時、11時、13時、14時と接近。午後は殆ど雲の影響下に位置し、まともな帆走が出来ず。波は高くないが、風向が頻繁に変わるので、変則的。夕方になり、雨雲を伴った雲が消え、どうやらまともに帆走できるようになった。今夜どうなるか、明日はどうなるのか不明。兎に角何とか北へ向かって進んでいる。

2007/3/1/08:40JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
今後一週間、気圧配置および海況に変化はありません。
高気圧縁辺を東〜西へ移動する雲も、今日以降頻繁に航路上を通過する事はないと思います。ただし、10S以北は赤道に近づくに連れて再び雲が多くなる見込みです。大陸よりでは更に多く分布するため、赤道通過まで今現在のコースを維持され、雲の様子を見ながら北西へと進路を変えることをお勧めします。
海流は引き続き南東から北西への流れ。
予想図をお望みであれば、明日準備しますのでその旨御連絡ください。

JST3月2日0400 GMT3月1日 1900 船内時 1600
16−10S/27−10W ESE9m/s COG 10T SOG 5kts 曇り・晴れ・快晴 28℃ 1015hPa

昨日送ったメール転送します。馬場さんのいずれかのアドレスに届いているはずです。電子チャートはバックアップPCにもインストールされています。又これとは独立してGPS専用のCMAPのチップを所有しています。

馬場様
どうやら快適なセーリングが出来る海域に辿り着いたようです。トリニダッドのポート・オブ・スペイン(エントリーポイント:10-39N/61-31W)を予定しています。到着は月末(目標3月28日ー月)になりそうです。本日可能であれば気象・海流予想図の送付お願いします。)

これまで日本時間0600時の現況を報告していましたが、現地時間では日没を過ぎるので2時間早めます。ご了承下さい。現況以下の通りです。

本日午後2時かき消すように雲が消え去り、待望の南東貿易風下快走。これまでの傾向から、この海域で風は東南東と東が交互に吹き、東が吹くときは雲(時には雨雲を伴う)を伴うことが多く航路を維持するのが困難。これまで 西経27度を北上していたが、今後3日間で、25−25Wの間まで東に出る予定。1600時現在又雲の量が増えてきた。セイルを縮小して夜に備える。

2007/3/2/09:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
本日はメール未着です。
航路上の天候に変化はありません。東南東の順風10m/s前後が続くでしょう。赤道付近でも5m/s程度の東よりの風が予想されます。
顕著な雲域も5S以南には現在確認されていません。

以前PCが潮を被ったとのご報告を受けていますが、電子海図はバックアップPCにもあるのでしょうか。詳細海図をお持ちでなければ、赤道を通過された後トリニダッドトバコまでのWaypointを調べなければなりませんが。

JST3月4日0400 GMT3月3日1900 船内時1600
11−58S/26−44W ESE8m/s COG10T SOG5kts 晴れ 33℃ 1012hPa

昨夜から風、波共に安定し、フォークランド出航以来最も平穏な帆走。久々に本を読み始まる(Sir Peter Blake, An Amazing Life,The Authorized Biographyーby Alan Sefton)。北へ向け順調に帆走を続ける。先ほどから東西方向に伸びる帯状の雲の群れが急に増えてきた。群れの中に含まれる積乱雲の高さも増してきている。

2007/3/4/07:45JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
気圧配置に大きな変化はありません。10Sを超えると東西に伸びる雲バンドに近づきます。雲の分布は西(大陸より)ほど広いのですが、風もよく吹いています。25Wから東では雲分布は狭いものの風も弱まります。
いずれにしても、今後赤道域に近づかれると、気圧配置とは別の風の変化に遭遇する頻度が多くなります。
明日月曜日には、気象図の範囲を北に移し、目的地が入るようにして、メールで添付します。

JST3月4日2100 GMT1200 船内時0900
10−21S/26−51W E9m/s COG 00T SOG 6kts 晴れ

了解しました。気象図送付お願いします。風が東に回りこれ以上東に向かうのは難しくなり、またあまり意味も無いので、当面27W付近を北上します。今後の気圧配置次第ですが、5Sを超えたあたりから徐々に進路を変え、5N−30Wに向かう予定です。進路変更点、ウェイポイントの可否につきアドバイスお願いします。現況以下の通り。

波が収まり、北へ向かい快走。昨夜月食を観測。現地時間1900(実際は2000 @30W)。月齢14夜?で略満月。満月の割には星がきれいに見えると思ったら、月が半分になっていた。その後雲間に隠れ最後まで観察できなかったが神秘的な時間をすごしました。

JST3月5日0400 GMT 3月4日1900 船内時1600
09−45S/26−48W ESE 9m/s COG 00T SOG 5.5kts 晴れ 34℃ 1012hPa
海況穏やか。波が不規則になってきたのは海流が変わる兆候か?今のところ南流の恩恵なし。雲が多いが大部分が積雲(綿雲)。涼風と日陰をもたらしてくれる。それにしても暑くなってきた。

2007/3/5/09:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調ですが、平日はship@へお願いします。
気圧配置は今後一週間も変化ありません。雲予想にも多きな変更はありません。5Sを中心に南北300マイルの幅で東西にのびています。
航路は御連絡いただいたとおりで良いと思います。いずれにしても今後雲あるいはスコールの多くなる海域となりますので、御留意ください。
天気図を添付しました。

メール依然通じづ。早急に復旧する事を望む。
JST3月6日0400 GMT5日1900 船内時 1600
07−26S/26−42W ESE 6m/s COG 00T SOG 5kts 晴れ 33℃ 1012hPa 海況穏やか。薄曇の中、綿雲がポカリ、ポカリと浮かんでいる。前方東から雲の量が多くなってきた。

2007/3/6/09:05JST
<馬場社長から目黒さんの情報>
ここ数日目黒さんとのメール交信が不調です。
原因については現在調査中ですが、赤道に近づくと感度が悪くなるようです。
ただし、音声交信は感度が悪くても可能で、昨夜も御本人とお話しましたが、本人、艇共に良好です。
さすがに暑いので、04-05時起、20-21時就寝と夜はゆっくりされているとのことです。
今後しばらくダーマからメールをお伝えできないかもしれませんが、音声での交信内容をメールさせていただきます。
あと4日ほどで赤道を越える見込みです。

2007/3/6/13:57JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
時差を考慮して今後しばらくは日本時間の午後に最新の気象情報をお送りします。
気圧配置に大きな変化はありません。赤道海域においても5m/s以上の東風が予想されます。ただし、5S-5N間に帯状に広がる積乱雲の影響で、この海域では風の変化が大きいと思われます。現在本船の北西方(7N-41W)を白石鉱次郎氏の艇が北上中ですが、赤道海域を通過した際、雲域に入ると30kt以上の風と雨、それが過ぎると凪の繰り返しであったとレポートしています。彼の場合、南米沿岸近くを走っていたため、雲の影響をより多く受けているようです。
貴艇は当面現在の傾度を維持され、雲の様子を見ながら5N-30W付近へ進まれ、その後目的地へと変針されるのが良いと考えます。5N以北での風は北大西洋高気圧からの吹き出し風やや強く、北東10-15m/s、波高3mですが、アビームからブロードリーチの間の風と考えます。

JST3月7日 0400 GMT 3月6日 1900 船内時 1600
05−07S/026−32W ESE 9m/s COG 00T SOG 6.0kts 晴れ(薄曇) 33℃

海況穏やか。北西に向かう潮(0.5〜1.0kts)に乗り快走。 00−56N/029−19Wに人口構造物(石油プラットフォーム?)有り。これを回避するため 02Nまで北上を続けその後05N/30Wに進路変更予定。

2007/3/7/08:50JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
そちらからのメール受領しました。AOLに3通、wam_shipに一通です。
現在の状況では、気圧配置と風系に変更はありません。また、5S-5Nに引き続き積乱雲の分布が予想されています。
積乱雲の相対的に少ない海域を航行するため、現在のコースで赤道まで。次のウエーポイントは5N-30Wをお勧めします。その後目的地へ向けてください。
予想天気図を添付します。

JST3月8日0400 GMT3月7日 1900 船内時 1600
02−42S/026−12W ESE7m/s COG10T SOG 5kts 晴れ(薄曇) 32℃ 1012hPa

赤道へ向け順調に帆走しています。赤道を越えたら5N−30Wへ向かいます。

北上を開始したのが2月23日。東から西へ向かう海流があるため、20度から45度風下に流されながら進んでいる。実際に向かっている方向は北北東から北東。00−56N/029−19W付近(現在地から北西250海里)に顕著な離島郡がある。風が弱くなると北西に流されるので、これを迂回するため注意深く帆走。

本日0700時、左舷後方3海里をタンカーが西に向け航行。
これを機会に、レイダーとレイダーリフレクターのテストをする。結果良好。

2007/3/8/08:55JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。今後の希望される交信時間をお知らせください。
赤道海域の風はこれから2日程度やや弱まりますが、5m/s程度は吹く見込みです。
添付の海流予想図にあるように、アマゾン河口沖に右回りの大きな渦流が存在します。これを利用するのであれば、中心の南側を通過する事になりますが、陸に近いため雲は多いと思われます。渦北側の南東流を避けるのであれば、やや大きめに迂回する必要があり、悩ましい所です。
航路上の風は広く北東10-15m/sが続きます。

kairyu

JST3月9日 0400 GMT3月8日 1900 船内時 1600
00ー45S/026−08W ESE 4m/s COG 00T 3.5kts 晴れ(薄曇り) 32℃

気象情報有難うございました。参考になります。陸よりを避け、多少遠回りでも大きめに迂回し赤道無風地帯を出来るだけ短い距離で横切るコースを選びます。このため5N/30W−>10N−12N/35W−40Wで進む予定ですが如何でしょうか?

交信時間ですが、メールにて日本時間0400 (現地1600)の日報を送ります。その時点でメールが不通の場合、平日は日本時間1630又は翌日の0930に会社の方へ電話にて位置の報告をします。週末は携帯の方へ連絡することになりますが、都合の良い時間帯を教えてください。宜しくお願いします。 以下近況です。

順調に北上してきたが昨夜から風が弱くなってきた。赤道無風地帯に近づきつつあるが、気象情報では風が止まることはなさそう。慎重にコースを選んでアドバアイスしてくれるので、時々積雲が頭上を通り風向・風速の変化はあるが、大型のスコールに会うことも無い。ここ一両日、これまで雲が来ると北へ振れていた風が次第に南に振れるようになってきた。既に北半球の風系に入ってきたのだろうか。

昨日はとても暑く、水を飲んでも直ぐ汗となり発散してしまう。本を読んでいても注意力が散漫、集中力が続かない。塩分が不足したためと思いペットボトルに塩を少量いれて飲んでみた。甘くおいしく感じたが、今度は発汗量がおち、体内に熱が溜まり夕方風邪を引いたときのように頭痛を感じた。ニュージランドの友人は風邪を引いた時はこれを飲めば直ぐ直るといってくれたのが「ジンジャーワイン」。夕暮れと共にセールを小さくし、ジンジャーワインを飲んで朝までノンストップで爆睡。お陰で今朝から元気溌剌。

フォークランドを出航してから34日目。この間の主要変更箇所を直線で結ぶと走破距離が3800海里(ログでは4400海里)。トリニダッドのポートオブスペインまで残り2200海里。ドルドラムを越えるのに要する日数にもよるが20日足らずで到着可能なところまできた。今日は残りの航海に備え、水タンクを清掃し、水を40リットル補給。同様に燃料タンクにも40リットル軽油を補給。燃料は残り170リットル。そのほかウィンドベーンの痛んだロープの交換。風が弱く又薄曇の日が続いたのでソーラー発電も風力発電も効率が落ちたので4時間ほどエンジンを回しバッテリーの補充等。終盤に向けての準備を完了。

2007/3/9/09:10JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
赤道での弱風は24-36時間後に通常の風に戻ります。
メール受信順調です。以前トンガへの航海中もそうでしたが、赤道界隈にイリジウムの不安定なゾーンがあるようです(これは想像ですが)。ただし、電話連絡にはまったく問題が無いので、メールだけのことのようです。従って、通常は従来どおりの日本時間朝の定時連絡(携帯を含めて)でいきましょう。

今後の航路ですが、10N付近は高気圧からの吹き出し風が平均10-15m/sとやや強めです。風だけならまだしも、波高も3m前後が経度幅で20度、約1200マイルも東西に横たわっています。ここを一週間以上走るのはちょっときついように思いますが如何でしょうか。
一方、この海域を避けるため、5Nを西へ進むのは、ちょうど積乱雲の縁辺を進む緯度になり これも辛い所があります。そこで、当面この間の6-7N付近を西へ進むのは如何でしょうか。積乱雲の影響は皆無ではありませんが、距離、風、海流(例の渦を含めて)とも海況条件的には他よりアドバンテージがあるような気がします。

JST3月10日0400 GMT3月9日1900 船内時1600
00−34N/026−30W SE2〜4m/s 機走 COG340T SOG5kts 晴れ(薄曇) 33℃ 1010hPa

朝2時特大のスコールに見舞われる。明け方6時に再度スコールが来たので、出航以来始めての朝シャンにトライ。雨の量が少ないと困るのであらかじめ海水でシャンプーしてから雨で洗い流す。ついでに身体も洗ったので清々しい。

その後風が完全に止まったので0630から1000迄機走。
その間0650に西経26度16分で赤道を越える。
このときのために一本だけ残しておいたビールで乾杯。つまみはトビウオの干物。


1500 風弱く機走するかどうか迷っている時、右舷近くを数頭の小型の鯨が南に向かっていくのを視認。おとなしそうな鯨のように見えたが勝手読みかもしれない。本航海に関する限り鯨との相性は悪い。この時点で機走開始。

2007/3/10/07:55JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
風は徐々に吹いてくる見込みです。5-7m/s程度。
積乱雲の分布は5Nまで。この北側には顕著な分布域はありません。5-7N付近の風はNE10m/s前後。

JST3月11日 0400 GMT 3月10日1900 船内時 1600
02−23N/027−21W ESE2m/s 機走 COG 330T SOG 5kts 快晴(薄曇) 34℃ 1011hPa

赤道を越えた後、順調に北西に向かう予定であったが、ドルドラムを越えるのはそれほど簡単ではないようだ。航路近くに気圧の峰が形成されているらしく、風向、風速共に不安定。今朝から機走と帆走を数回繰り返す。1500風が落ちたのでセールを降ろす。昨夜に引き続き、今夜も機走で北に向かう。数日前から昼夜を問わず、毎日数隻の本船が近くを通るようになってきた。

以下トピックスを2点。最初は「鯨」、2つ目は「卵」

1)昨日小型の鯨を見た。最初はイルカだと思ったが、扇子のような大きなオヒレが見えたので鯨と特定。その後偶々読んでいた「ピーター・ブレークの伝記」にウイット・ブレット(1981-82年)レースの最終レグ(アルゼンチンー英国ポーツマス)でドルドラムを通過した後、強風下で鯨を見た時の記載があった。以下引用

ーThe morning of 22 March had produced one of the most magnificent sight of the race. Several large fin whales chased along behind CERAMCO, criss-crossing her wake less than a couple of hundreds meters astern. The second largest mammals on earth----. page 115ー

昨日見たのは決して小型ではなく、尻尾の長さ20m、体重50トンの大物らしい。或いは子鯨かも知れない。ヨットが鯨と問題を起こすときは、好奇心の強い子鯨と衝突し、母鯨が激怒した場合が多いようだ。CERAMCOはヨットの名前。ピーターブレイクは史上初めてアメリカンカップの取得と防衛を果たした唯一の人物。キーウィーの誇り。今世紀最高のセーラーの一人。不幸にして2001年アマゾン川流域で海賊に襲われ死亡。

長くなったので「卵」の話は次回に持ち越し。

2007/3/11/09:15JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
そちらの観測どおり、航路上には未だ5m/s以下の弱風域が形成されています。5Nに近づき、風が東から北東よりに変われば、徐々に風が吹き始める予想です。いましばらくご辛抱ください。

今日の日本は雨。昨年から今年にかけて、東京は一度も雪が降らずに冬が過ぎてゆきました。桜も3月中旬から咲くとの予想。地球温暖化の影響がいよいよ現実味を帯びてきたようです。

JST3月12日0400 GMT 3月11日1900 船内時 1600
03−58N/028−35W NE 5m/s COG300T SOG5kts 曇り 31℃ 1011hPa 西へ向かう海流0.5〜1.0kts有り。

昨日1130に機走を開始。今朝0700に北東8m/sが吹き始めエンジンを止め帆走に移る。1100〜1300間で再び風速3m/s以下になり機走。現在北西に向け帆走中。

トピックスは卵の話。

ニュージランド〜ポートウイリアムス迄の航海日数は59日間。ワンガレイを出てから2日間河口で投錨し、荷物の整理をしていたので61日間と数えることも出来る。ケープホーンを無事廻り、ポートウイリアムスに着いてから、これからの航海日数の目安として「生卵が傷まない範囲」と漠然と考えるようになった。季節、温度にもよるが、これまでの経験では4週間が限度。。一時期カリブへ行く前にケープタウンへ寄港しようと考えたのも航海日数を4週間程度に抑えるとの考えからだった。航海日数が長くなると荷物が増え、ヨットの性能、速度がおちるのを嫌ったのが主な原因。

偶々ポートウイリアムスで、単独世界一周レースの覇者、クリストファ・オーギンとその話をした時、彼から卵を長持ちさせる秘訣を教わった。卵の腐食は黄身から始まる。生卵の黄身は白身の中に浮いているが、時間と共に黄身の部分が沈降し、ある時期卵の殻と接触する。殻と黄身が接触したときから腐食が始まる。これを避けるため、時々卵をケースごとひっくり返すのが秘訣。目安として2週間毎。彼はレースこれを実行していたそうだ。傍にいたベネディクト(クリストファのパートナー)は「彼から卵を長持ちさせる秘訣を聴けるとは思わなかったでしょう。」と言いながらも少し得意げな様子。

クリストファーに聞いたリグの話をついでに。当方より「最近のシングルハンドのレース艇のブームはマストから跳ね上がるように、斜め上方にセットされている。理由は長いブームがブローチングした時、海面に触れないようにするためか?」と尋ねた。答えは「軽量化と強度とのバランスをとるため。つまりマストの一番丈夫なデッキの直ぐ上に、ブームのグースネックをセットしているとのことだった。」

伝統の中で蓄積された規則でがんじがらめのIORレーティングルールと異なり、シングルハンドレースのルールは、オープンで機能・性能を重視しているようだ。

卵の話の追加です。ひっくり返した結果を伝え忘れました。

1月18日にポートウイリアムスを出航しましたが、その前日生卵を5ダース程買いました。フォークランドでも追加買いしましたが、未だポートウイリアムスで買った卵が数個残っています。途中寒かったせいもありますが、暑くなってからは機走する機会が増えたので、機走中、それ以外は日中だけ冷凍庫のスイッチを入れています。それにしても50日経過して新鮮な卵を味わえると言うのは驚きですね。航海日数も50〜60日は妥当のようです。

2007/3/12/09:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
予報に変更はありません。今後とも5N付近から北では安定した北東風が吹くでしょう。風速は8-13m/s。 積乱雲の分布の北限はおおむね5N付近ですが、南北に緯度1度程度の変動はあります。6-7Nを西進されるのが良いと思います。
また、アマゾン北沖の過流は引き続き変動無く停滞。過流の南6-7Nを目的地へ向け北西進されると1-2ktの北西流を拾えそうです。

今後一週間気圧配置に変化はありませんので、本日は予想天気図を添付していません。必要であれば御連絡ください。

JST3月13日0400 GMT3月12日1900 現地時間 1600
05−03N/030−40W NE7m/s COG290T SOG 5.5kts 晴れ(薄曇) 31℃ 1012hPa

昨日夕刻より何とか北東貿易風を捉える位置まで北上してきました。未だ風向・風速共に不安定ですが順調に西に向かっています。トリニダッドへは島の北端(北緯11度)を廻ってアプローチする予定です。アプローチでの上りはきついので、時間をかけて少しずつ北上するつもりです。現況以下の通り。

明け方6時、左舷3海里にヨットを視認、目一杯の上りで前方を横切り、一時間後には北に向かって視界から消え去る。3月6日の馬場社長の情報では、世界一周シングルハンドレースに参加している白石鉱治郎さんのFIVE OCEANが北緯8度/西経45度を帆走中とのことであった。あるいはドルドラムに捕まった後続艇かもしれない。

2007/3/13/09:35JST
<馬場社長から目黒さんの情報>
5.3N-31.1W NE-8m/s 曇り
先ほど目黒さんと電話交信できました。本人、艇ともに異常ありません。
雨は降らないものの、厚い雲に覆われていたため、メールの送信が不調だったようですが、先ほど回復。
このあと、6-7Nを東進し、アマゾン沖の右回りの海流の南側から目的地を目指すことになります。

2007/3/12/09:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
本日はメール未着です。多分積乱雲と驟雨の中でイリジウムの送受信が不調ではないかと思います。これは静止衛星でも同じですが、イリジウムの出力は低軌道で微弱なために起きる障害ではないかと推測されます。
本船付近は赤道上を東北東から西南西にのびる積乱雲群の北縁部付近に位置しているものと推定されます。これから西よりに進まれると、雲の縁辺部から次第に離れていくはずです。

JST3月14日0400 GMT3月13日1900 船内時 0400
05−52N/32−51W NE 8m/s COG280T SOG6kts 晴れ(薄曇) 30℃ 1012hPa

西に向け終日順調に帆走。

2007/3/14/09:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。このあと一時北大西洋高気圧が勢力を強めると予想されますが、気圧配置に大きな変化はありません。風速やや上がり10m/s前後。海流はこれから南西への流れとなります。アマゾン北沖の渦流にも変化なく、7N以南で北西流2kt前後。

日本ではこのところ久々の寒気の流入で寒い日が続いています。バイク通勤の小生も縮み上がっています。

JST3月15日 0400 GMT3月14日 1900 船内時 1600
06−18N/35−13W NE10m/s COG270T SOG6kts 晴れ(薄曇) 29℃ 1011hPa

風など召されぬよう注意してください。ダーマにも影響します。
昨夜のうちに少し上りすぎて、一時反流領域に入ったので現在6N近辺まで戻しているところです。

北上するにつれ少しずつ涼しくなってきている。安定した北東貿易風の中、順調に西に向かって帆走中。
ここ数日読書に夢中。明日中には読み終わる予定。気象その他に異変が無ければ入港は26日(月)正午頃?

2007/3/15/08:53JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
航路上の海況も今後一週間順調です。ただし、期間後半の3/20以降やや雲が厚くなる可能性があります。
現在の6N付近をコース270度に維持され、50W付近から目的地へと向けるのが良いと思います。
明日は1週間分の予想天気図をお送りします。
3/25は恒例のメルボルン大阪ダブルハンドヨットレースのスタートです。当方も忙しくなりそうです。
先日貴艇の目の前を通過したヨットは、5-Oceans3位のスペインの艇かもしれません。彼の3/14の現在地は、8.9N-51.1W。コース315度。9KT。ノーフォークへ向けています。4位(グラハムダルトン/ニュージー)と5位(サーノックスジョンストン)はまだ赤道を越えられず苦戦しています。

JST3月15日
航路情報とレース情報有難うございました。グラハムダルトンもサーノックスジャンソン、何れもビッグネーム。ウィットブレットの常連ですね。世界一周レースはスポンサーが必要ですが、メルボルンー大阪ダブルハンドレースなら時間と体力と意欲さえあれば参加出来そうですね。今回の参加者の中に「松永?」さんの名前がありますか?引き続き概要教えてください。港に着いたらインターネットでじっくり検索します。

JST3月16日0400 GMT3月15日1900 船内時 1600
06−13N/037−27W ENE9m/s COG270T SOG 5.5kts 快晴(薄曇) 30℃ 1011hPa

西へ向け順調に帆走。1ノット程度の潮が現れたり消えたりする。その度に波が高くなったり穏やかになったりするが概ね穏やかな海況。

カリブの入り口、トリニダット迄残り1500海里。出口は今のところ英領バージン諸島を想定している。トリニダットの隣の島トバゴはどうやらタバコの意味らしい。このトバゴ島は、ダニエル・ディフォーの「ロビンソー・クルーソー」の舞台になった島。モデルとなったアレクサンダー・セルカークが実際に漂流した島はチリ領のフェルナンデス島。スチブンソンの「宝島」は英領バージン諸島が舞台となっている。いずれも子供の頃繰り返し、繰り返し読んだ本だ。長い間「いつか行ってみたいところ」だったが、次第に現実味を帯びてきた。

2007/3/16/09:15JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。天気図を添付します。
気圧配置、海況共に大きな変化はありません。3/20頃から予想された雲域の活動も、本船の通過後となる見込みで、航路上の天候は比較的良好と思われます。
海流について、40-45W間では南西流の場となりますが、45Wを過ぎると、1kt以上の西から北西流がトリニダッドまで定常的に流れています。

メルボルン大阪カップには日本から4艇が参加しますが、松永さんも“ココリン”で参加されます。
5-Oceansでは昨日白石君が2位でフィニッシュ。4位、5位艇はまだ赤道の南ですが、ちょうど貴艇の真南付近。いずれ前方を北上すると思います。ひょっとすると洋上でミーテイングできる可能性も。
日本時間3/15の位置
3位パケア/ウナイ・バスルコ/スペイン
  緯度:12°02.37 N 緯度:054°01.93 W
4位サザンマン-AGD/グラハム・ダルトン/ニュージーランド
  緯度:03°43.12 S 経度:038°31 56 W
5位サガ・インシュランス/ロビン・ノックス・ジョンストン/英
  緯度:04°49.56S 経度:034°40.44 W

JST3月16日2100 GMT1200 船内時0900
05−57N/38−57W NE10m/s COG270T SOG6kts 曇り 31℃ 1015hPa

昨日、一昨日と風向がENEでジブが張れず、1ポイントのメイン一枚で帆走。今朝から本来の風向NEに戻り、ジブを晴れるようになったので艇速もコンスタントに6ktsを超えるようになった。

以下送付されたメールを引用します。

2007/3/16/09:15JST
メール受信順調です。天気図を添付します。
気圧配置、海況共に大きな変化はありません。3/20頃から予想された雲域の活動も、本船の通過後となる見込みで、航路上の天候は比較的良好と思われます。

海流について、40-45W間では南西流の場となりますが、45Wを過ぎると、1kt以上の西から北西流がトリニダッドまで定常的に流れています。

ー>これまでの航海でデイラン(正午から正午までの航海距離)の最高が140海里(カナダーハワイ間で達成)と記憶している。現航路では連れ潮が期待できるので大幅に記録を更新できる可能性あり。今のところ3月13-14日の143海里が最高。

メルボルン大阪カップには日本から4艇が参加しますが、松永さんも“ココリン”で参加されます。

ー>やはり日本勢の活躍を期待したいですね。大分先になりますが、オーストラリアの寄港地はパース(フリーマントル)とシドニーを予定。メルボルンにも行きたくなりました。総てのヨットレースに共通することですが、取り分け長距離レースでは、艇、技術、体力そして的確な気象情報が不可欠です。馬場さんの出番ですね。船の性能を最大限に引き出すように、風とコースを合わせられるかですね。帰国したとき、お会いして結果をレビュウしたいので解説お願いします。

5-Oceansでは昨日白石君が2位でフィニッシュ。4位、5位艇はまだ赤道の南ですが、ちょうど貴艇の真南付近。いずれ前方を北上すると思います。ひょっとすると洋上でミーテイングできる可能性も。

日本時間3/15の位置
3位パケア/ウナイ・バスルコ/スペイン
  緯度:12°02.37 N 緯度:054°01.93 W
4位サザンマン-AGD/グラハム・ダルトン/ニュージーランド
  緯度:03°43.12 S 経度:038°31 56 W
5位サガ・インシュランス/ロビン・ノックス・ジョンストン/英
  緯度:04°49.56S 経度:034°40.44 W

ー>白石さんの2位は立派ですね。未だ若いので、優勝するまで何度でもチャレンジして欲しいところです。サーロビン・ノックスジョンソンが「スハイリ号」で史上初めて、単独世界無寄港を達成したのは、自分がヨットを始めて間もなく20歳前でした。彼の記録を貪るように読んだのを覚えています。最近の記録はピーターブレークと組み、スーパーカラマラン「ENZA」でジュールベルヌトロフィーに挑戦。世界一周新記録(74日22時間17分22秒)を達成しています。スケールの大きなブルーウォーターセーラーとして、現在も尚、過酷なヨットレースにチャレンジしているのには脱帽。感服します。

今日は以上です。

JST3月17日0400 GMT 3月16日 1900 船内時 1600
05−56N/39−40W NE 10m/s COG270T SOG 6kts 晴れ 33℃ 1012hPa

2007/3/17/07:20JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
予想される海況に変更はありません。3/24のランドフォールを期待しています。
天気図の件スミマセン。

JST3月18日0400 GMT3月17日1900 船内時1600
05−50N/041−55W ENE7m/s COG270T SOG5.5kts 快晴 31℃ 1012hPa

海況穏やか。海流はー0.2〜+0.5。 艇速思うように伸びず。残り1200海里。艇速5ノットで入港まで10日、5.5ノットで9日間。

焦らず、安全な航海を続けます。

2007/3/18/09:08JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
海況に大きな変化はありません。風はやや弱めですが、高気圧が周期的に息をしているためで、今後やや衰弱期に入り、雲もやや多めとなる見込みです。残すところ10日あまりの航海。ご安航をお祈りします。
こちらは久々の快晴。まだ少し寒いですが、今日は海に出かけます。

JST3月19日0400 GMT3月18日 1900 船内時 1600
05−49N/044−12W NE 8m/s COG 270T SOG 5.5kts 晴れ 31℃ 1013hPa

久々のセーリング如何でしたか?忙中閑(寒)あり、といったところでしょうか。
早期入港を目指し、順調に航海を続けています。

入港まで残り、1020海里。進路を西に向け、追っ手で帆走できるようになった3月14日から、フルメインとしている。ジブは風向、風速にあわせ、潰れない程度に調整。風が想定より強くなると船が風上に向かい、航路を大きく外れるので、夜間はジブを小さめにしている。3月14日以降のデイランは14日(143海里)、15(136)、16(131)、17(136)、18(135)。

2007/3/19/09:11JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
順調な航海を続けておられる御様子。大航海時代から貿易風帯を走る醍醐味は、現代でも変わらないですね。当時は天気図もなかったのに、地球上の季節毎の風域を経験だけで発見した訳で、ただただ感心するばかりです。

本船入港まで気圧配置に大きな変化はありませんが、今後南米沿岸部近づくのに伴って、雲はやや多めとなります。

日本上空の寒気がなかなか過ぎず、土日も寒く風の強い天気でした。
桜の開花も足踏み状態です。

JST3月20日0400 GMT 3月19日 1900 船内時 1600
05−50N/046−39W NE 13m/s COG 270T SOG 6kts+ 波高3.5m 晴れ(薄曇り) 30℃ 1012hPa

昨日のメールで「残り1020海里」と書いたが「1120海里」の間違いでした。今現在残り「975海里」です。正午までのデイラン「145海里」。これは今までに最高。ここ数日前方に雲が広がっていても、後ろから晴れ空が追いかけて来たが、次第に雲の量と突風の頻度が増えてきました。

昨夜から風速増し、10−13m/s。本日1100 波が高くなり度々ブローチングするようになたので、メインセールを2ポイントにリーフ。

デッキが波に洗われない程度の状態で帆走。それでも結構豪快な走りを続けている。

3月始めにボヘミアンの一等航海士寺島さんが船長の渡邊さんとカリブを訪問するとの連絡を受けた。その後スケジュールなどつき、何度かやり取りを重ねる。今のところ両氏のトリニダッド到着が3月28日。渡邊さん、寺島さんは、練習航海で沖縄に行っていた時も、激励に来てくださった。ご承知の方も多いと思うが、渡邊さんはヨットボヘミアンで既に世界一周を経験している。ダーマがハワイに着いた時も「懐かしいから」と称してきてくださり、今度はカリブへ。センチメンタルジャーニーのお手伝い・手助けになっていればいいのですが。何れにせよ、トリニダッドへ向かう楽しみが増え、一日も早く到着したいのが本音だが、入港間際でトラブルことの無いように慎重に航海を続けている。

2007/3/20/09:04JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
気圧配置に変化はありませんが、雲は次第に多くなります。また、高気圧も数日周期で息をしており、このあと一旦弱まり、3/24頃から膨らみ始める見込みです。本船前方の渦にも変化はありません。50Wまで進まれた後に目的地へ進路を変更されると、最速で2-3ktの北西流があるはずです。
雲による風速の変化大きいものの、海流条件は良いと思われますので、ここは小さめのセールで海流に乗られて進まれることをお勧めします。ただし、北西への流れに対して、横から(北東)の風となるので、波は複雑になりそうです。風速の変化とあわせ気をつけて航海されることをお願いします。

JST3月21日0400 GMT 3月 20日1900 船内時1600
06−04N/048−56W NE7m/s COG270T SOG5.5kts 晴れ 32℃ 1013hPa
残り840海里。

風が弱くなったのでメインを2ポイントから1ポイントにあげる。今のところ顕著な北西流なし。
明日以降に期待している。
海況極めて穏やか。北と北西(風向と同じ)の2方向からのウネリ有り。風向・風速・海流の変化などがあると波が暴れだすが、風速が14m/sを超えない限り問題なし。

2007/3/21/07:30JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
気圧配置に変化ありません。風は2-3日周期で強弱を繰り返す見込みです。明日以降雲が広がり、時折驟雨も。北西への海流は50W付近からと予想されます。

今日は春分の日。昨日東京は桜の開花宣言。ただし、見ごろはまだ一週間程度先になるようです。居座っていた寒気もようやく移動、いよいよ春本番も近いようです。
ご安航をお祈りします。

2007/3/22/08:55JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
本日メール未着です。
航路上では雲域がやや拡大しているので、その影響かと思われます。
気圧配置、海況には変化ありません。風はやや弱めですが、本船の北上に伴い10m/s前後まで吹く見込みです。

2007/3/22/09:05JST
<馬場社長から目黒さんの情報>
昨日よりメール不調(多分地域的な問題)。先ほど09:05にダーマから電話がありましたのでお知らせします。
位置:北緯7度-西経51度30分
気象:北東9-10m/s
海流:0.6-1kt
艇速:6.5kt
コース300度でギアナ沖を順調に北上中。
現地着は3/26-27JST頃の見込み。初めてのところなので慎重にアプローチします。

JST3月23日 0400 GMT 3月22日1900 船内時 1600
08−08N/053−21W NE 9m/s COG290T SOG6.5kts(海流1〜1.2kts)波高2.5m  晴れ 30℃ 1011hPa

残り530海里。正午までのデイラン160海里(これまでの最高記録)

昨日は春分の日、ドレーク海峡(ケープホーン)のアプローチを開始した頃は、夏至の直後で殆ど白夜の状態だった。そのせいか、睡眠が短くてもあまり気にならなかった。その後北上するにつれ日が短くなり、赤道を通過してからは夜の時間が長くなった。人間も季節によって変わる。冬眠とまでは言わないが、ここのところ身体の動きが緩慢で、睡眠時間も長くなった。暇があればいくらでも眠ることができる。日が長くなるにつれ身体のほうも少しずつ活発になるのだろうう。

先日のメールで、トリニダット・トバゴのトバゴ(TOBAGO)はタバコの意味らしいと書いたが、別な本でタバコを吸うためのパイプの事との説明があった。一方トリニダッドはスペイン語(TORINIDAD)で3つを表す:三位一体(英語ではTORINITY)の意。コロンブスが2度目の航海で、トリニダッドの東方沖合い40海里からランドフォールしたときに見えた、顕著な3つの峰から命名したとされている。

2007/3/23/09:15JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信しました。
気象・海況ともに変化はありません。当初予想されていた雲域の北上はない様子で、目的地まで晴天が続くでしょう。風は次第に東よりに振れ、風速10m/s前後。数日後のレゲーのリズムを楽しみにされ、安全航行でお願いします。
今週末の日本は深い谷が通過するため、荒れ模様の天気。お花見は来週が本番。

JST3月24日0400 GMT3月23日1900 船内時1600
08−55N/055−48W NE 10m/s COG290T SOG6kts 海流(0.5kts) 晴れ・曇り 31℃ 1011hPa

残り380海里、 正午までのデイラン153海里

フレンチ・ポリネシアとカリブ海は、ブルーセーラーの人気スポットとして知られている。そのカリブ海の最南端にある島国、トリニダッド・トバゴに3月26日正午には入港できる見通しとなってきた。

コロンブス以降、当地を制圧した欧州人達から、カリブに住んでいた原住民族は、カリビアンと呼ばれている。その意味は「人肉を食う人々」。甚だオドロオドロシイ呼称である。直接読んではいないが、コロンブスの航海日誌に原住民との戦闘の場面があるらしい。乗組員に腹を剣で切り裂かれた原住民が、はみ出してきた臓物を自分の手で元の腹に収め、其れを押さえながらも戦い続けたそうだ。後に原住民の住居に侵入した際、多くの食べ残した人骨を見つけている。又お祭り用に飼われている少年達と助け出しているという。ロビンソン・クルーソーの著者デュフォーは、執筆に当たり、コロンブスの航海日誌をつぶさに調べ上げことであろう。

コロンブスのスポンサーだったスペイン王国はじめ、後に侵入してきたオランダ、フランス、イギリス、何れも原住民の奴隷化に失敗し、カリブの植民地経営に必要な労働力はアフリカから仕入れている。勝ったほうが喰い、負けたほうが喰われてしまう文化の中に生きている原住民の辞書には「降伏」と言う言葉は無かったのだろう(これは自分の解釈)。奴隷制度が廃止されてからは、労働力をアジア系の移民に切り替えてきた。

征服されずに逃げ延びた原住民、アフリカからつれて来れてきた奴隷、その後入植したアジア系の労働者達、彼ら、彼女らの混血児達が、多くのカリブ諸国の大部分の人たちのルーツとなっている。不思議なことにカリブ諸国同士の交流はあまりなく、お互いに独特の言語(支配者の母国語)、習慣、文化を色濃く残しているという。自分が心から尊敬し、敬意を表する米国の前国務長官コリン・パウエル将軍の父親は、記憶するところによると、プエルトルコからの移民。新天地で新聞配達をしながら子供達を育てている。機会さえあれば、いくらでも飛躍できる優秀な人々なのであろう。

偶々最近得た情報(ボヘミアン経由)では、トリニダッドでクリケットの世界選手権が開催され、当該期間、ビザ無しでカリブ諸国に入国できるとの事。数年前サッカーの世界選手権の予選で、トリニダッド・トバゴの選手が日本(九州)で長期合宿をするなど、日本での知名度も上がりつつある。

カリブ海といえば、常夏の海、陽気で気さくな人々を思い起こす。辛い歴史を背負いながら、精一杯明るく生きている人々に接したとき、自分は何を感じ取ることが出来るのだろうか。

2007/3/24/07:24JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
風が東よりに振れてくる以外、海況に大きな変化はありません。
海流もやや弱いながら引き続き北西流。
毎日の位置をプロットするたびにダーマが目的地へ近づく様子が見えてきます。北太平洋の横断と縦断、南太平洋の往復、南大西洋の縦断。トリニダッドまであとわずかですが、どうぞ気をつけてお願いします。

JST3月25日0400 GMT3月23日1900 船内時1600
09−44N/058−03W E10m/s COG290T SOG6.0kts 海流1.5kts 晴れ(薄曇) 30℃ 1012hPa

今日はメルボルンー大阪ダブルハンドレースのスタートですね。参加者の皆さんのご健闘と安全をお祈り致します。現地到着後に経過をフォローするのを楽しみにしています。

1500 入港に備えての時間調整のため、メインセールを2ポイントから3ポイントに下げ、若干減速中。入港まで残り230海里。正午までのデイラン139海里。

3月26日午前中のポートオブスペイン付近の潮汐は干潮0308(0.7m)、満潮0950(1.0m)。ガイドブックによると干満潮時の前後2時間のみ海流速度は落ちるが、それ以外は常に西への速い流れがある。ポートオブスペインは商業港でプレジャーボートの検疫は西側8海里にあるチャガラマス港で実施される。

入港までの予定航路:トリニダッド島とトバゴ島の間の海峡を通る(残り50海里、到着予定0200)。その後トリニダッド島の北西端のエストラド岬とその西側にあるモノス島との間の狭い水路を通り抜ける(残り18海里(到着予定0700)。入港1000〜1100。

入港手続完了後、近くの適当なマリーナに回航。まずシャワーとビール。どちらが先か大いに迷っている。

2007/3/25/09:20JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
航路上は東よりの風10m/s前後。やや雲が多くなっています。
気圧配置、海況ともに変化はありません。

関東は気圧の谷の影響で雨と強風で大荒れ。

本船からの無事入港の吉報をお待ちします。

2007/3/26/0855JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
本日はメール未着です。
海況に変化はありません。ご安着の御一報をお待ちします。

2007/3/26/1204JST
<馬場社長から目黒さんの情報>
目黒さんから電話連絡がありました。
現地時間3/26/10:00(3/26/23:00JST)に無事トリニダッドトバコのCrews Inn Marinaに入港されました。
取り急ぎお知らせします。

現地時間4月1日午後15時。日本時間4月2日深夜4時
馬場社長経由でお伝えしましたように、3月26日トリニダッドの首都ポートオブスペインの近く(西へ15キロ)にあるチャガラマス港に到着しました。以来あっという間に4月に入ってしまいました。海外での航海に経験の深いボヘミアンの渡邊さんが友人の寺島さんと3月28日に現地入りし、毎日のお世話になっています。渡邊さんが小まめに写真をアルバトロスに送って下さるのにかまけて、ついつい、連絡が遅れてしまいました。到着以降の経緯を以下簡単にお伝えします。

3月26日
港に近づくと対岸の島から50ftほどのカタマランが近寄ってくる。何処から来た?と気軽に声をかけてくる。50日振りの生の会話が出来るのが嬉しい。先方にカスタムポンツーンの方向を確認し、後で会おうと声をかける。前日電話で入国管理事務所とコーストガードに電話で入港時間を伝えていたためか、港に近づくとコーストガードの警備艇が近寄り、ダーマの艇速にあわせ、ゆっくりと税関のポンツーンに先導。所狭しと投錨している様々なヨットやモーターボートの間をかいくぐる様にポンツーンに向かう。既にポンツーンには2列に大型のヨットが並び出入国手続きの最中。一隻が離れるの待ち、大型のカタマランに舫いを取る。入国と税関の手続きが終わったのが午後2時。同じコンパウンド内にあるマリーナ、クルーズインにチェックインし、バースの準備をしている間に洒落たレストランで地ビールSTAGをたちまち3本飲み干す。その日はマリーナに船を移し、汚れ物の洗濯をし、レストランで夕食をとり爆睡。

3月27日
早朝気がついたら、ブラジル籍の鉄鋼船(ヨット)が隣のバースに舫いをとっていた。反対側に舫いを取っているのは年配のアメリカ人(70歳位か)、トリニダッドに入って7年目との事。船やロープの潮抜き、洗濯の続きをしながら、合間にはビール。近くの数隻から現地情報を収集。当方の意図は上架と修理の適切な場所を探すこと。夕方最初に会ったカタマランの男ビンセント(カルフォルニア出身、41歳)が尋ねてきた。彼がカンバスの修理を頼んでいる業者が一緒だったので、渡りに船とドジャーの補強を依頼する。ボヘミアン一行が翌朝早い時間に到着するので、車とモーニングコールをマリーナのフロントに頼み就寝。

3月28日
5時半に船をノックする音で目覚める。頼んでいたモーニングコールだ。空港に行く途中、ラッシュと重なり思ったより時間がかかる。飛行場に着いた時は、既に手続きを完了。愛煙家の渡邊さんは、ハワイに着いた時と同じように、出口のところでタバコをくゆらしている。長旅にも関わらず寺島さんも元気そう。早速市内のクラウンプラザホテルへ。その日はダウンタウンを散歩しながら極めて庶民的な中華食堂でブランチ。自分は船に戻る。

3月29日
早朝、近くに4箇所あるボートヤードのうち、サービスが最も行き届いており、作業の質も高いと評判のピークス(PEAKES)を訪ねる。翌金曜日は祝日で休み。上架できるのは4日後になるという。今すぐなら上架できるとの事なので、9時に回航、直ちに上架。鯨に衝突した時のダメッジが気になったが問題なさそう。塗装の打ち合わせを済ませ、クラウンプラザでボヘミアンと合流。夕食は現地の高級レストラン「メレンゲ」。チ入港直後はやはりステーキが上手い。

tt-meguro tt-meguro
元気な目黒さん                     レストラン Melange にて

3月30日
デッキ後半部の水漏れが、ハルとデッキのつなぎ目を特定し、これを修理するため、トウレールを取り外すことにした。合わせて船内の清掃をするため、ピークスのヤード内にある宿泊施設を契約。荷物の移動を始める。何時ものことながら、呆れるほどに荷物が多い。加えて物入れの一つにしまい忘れていた卵一ダースが完全に腐り、ウジが湧いているのを発見。チーズを腐らせたようなとてつもない悪臭が広がり気が遠くなりそうなのを我慢して取り出す。未だ臭いの残る船内でメールを打っている。続きは明日。


tt-meguro tt-meguro
金毘羅さんのお札                    上架ダーマ

トリニダード・トバゴでの目黒さんの元気な姿が入りました(写真提供:ボヘミアンの渡邉氏)



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