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2007年2月

2月3日フォークランドのポートスタンレーを出航、
大西洋の南米大陸東岸を北上しトリニダード・トバゴへ向かう
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軌跡
DHARMA単独世界一周航海日誌   2007年2月             戻る

2007/2/1/09:10JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
気象予想から見た出港予定に変更はありません。現地時間で2/3、低気圧の通過後です。ただし、2/7-8GMTにかけてフォークランドの南を通過する低気圧の北側で高波高域が予想されています。明日以降の予想の推移を見ながら予想されるこの域を避けつつ40Sに早めに北上出来るルートを捜そうと思っています。

JST2月1日2230 GMT1330 現地時間1030
今朝から雨交じりの強い西風が吹いている。港内でも時折15m/sを越える。後2日吹き荒れた後、出航を予定。
引続き良く食べ、良く寝る生活を続けている。健康状態は良好。そろそろ海上生活が恋しくなってきた。

2007/2/2/08:55JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
最新の気象データを添付します。
予想天気図から見て、現地時間の2/3朝の出港に支障はありません。現在の風はそれまでには落ち着くでしょう。
ただし、翌2/4フォークランド付近に小低気圧の発生を予想、一時北西の風が強まることも考えられます。出港後45Sまでは念のため十分な荒天対策をお願いします。
フォークランドの北方で高気圧の影響で沿岸ほど北よりの風が多く吹くことが予想されます。コースは40S-40W向け北東へ進まれることをお勧めします。

2007/2/3/07:50JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
フォークランドの南は引き続き短周期で低気圧が通過します。
現地時間2/3朝の出航後も、翌2/4朝を中心に西より、2/5夜にも一時的に北よりが15m/sオーバーまで強まります。ただし波は4m前後まで。その後は航路の西側に高気圧が停滞し、10m/s程度の安定した西から南西よりの風が続く見込み。

2007/2/4/08:05JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信しました。
本船は谷の前面で北よりの風が強まっていますが、この後次第に風は西よりに変わり、低気圧が南を通過する2/4/12GMT頃に一時南西風20m/s程度まで上がる見込みです。この強風は長続きせず、6時間程度。
その後2/6/12GMT頃、今ひとつの低気圧が接近し、北よりの風15m/sが吹く見込みです。

その後は西から南西10−13m/sが続くでしょう。

2007/2/5/09:07JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
当面現地時間を使います。日付の後にLTとつけます。
2/4/21LT現在低気圧は既に本船のはるか東海上へと去っています。
一旦風が弱まった後、2/509LTころから風は北に回り始め、2/6/09LTまで再び風は15m/s前後となります。この24時間は北上は無理と思われますので東よりに帆走せざるを得ないでしょう。
2/6/12LT以降はおおむね西よりの風が続きます。40Sに北上されるまでは、南を低気圧が通過する度に風速が強まります。大きな時化にはなりませんが、40Sに達するまでは引き続き荒天対応で慎重に航行してください。

2007/2/6/08:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
2/6/21LTまでは北寄り。その後西から南西10-13m/sが続きます。
2/9-10LT頃、南を低気圧が通過、高波高域が北へ広がる可能性もあるため、40Sまではできるだけ北上され、その後東へ。
本日は午後から出社です。

JST2月7日0600 GMT2月6日2100 船内時1800
48-35S/500-56W WSW4m/s COG00T SOG5kts 1ノットの反流あり 曇り 15℃ 992hPa
本日1230 風が北から西に振れる。一時的に風が落ち、波が悪いので2時間機帆走。その後10m/sの西が吹き、1.5ノットの潮流に乗り船足6〜7ノット。ヤレヤレ一安心と思っていたら、先程風がWSWに振れ風速も落ちる。
反流があり船足3ノット。風が出るまで暫く機帆走を続ける。帯状か塊状か解らぬが、潮流が時々向きを変える。
フォークランドの北にいるのでその影響の可能性あり。

2007/2/7/08:55JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信しました。
予想天気図を添付します。日本時間の月曜日と木曜日に同様の天気図を添付します。
本船付近の気圧配置は南に低気圧、北に高気圧が持続。
航路はこの両者に挟まれているため、西から南西風強く10-15m/s。北東方へ航行される場合この域を出るのに時間がかかりそうなので、
可能であれば40S付近まで真っ直ぐ北上され、その後南大西洋高気圧の動向を見ながら東よりに進まれては如何でしょう。
航路上に南下する海流もありません。

JST2月8日 0600 GMT 2月7日2100 船内時1800
46−46/49−26 W15m/s COG30T SOG5.5kts 晴れ(スコール多し)15℃ 1000hPc

順調に走っていますが、先ほどドジャーカバー(プラスチックのソフト部分)の縫い目が切れ、そこから水飛沫が船内に飛び込み 、パソコンが作動しなくなりました。現在バックアップ用のPCを使っています。

受け取りましたらWDMマップを送ってください。こちらで読み取れるかどうかテストします。
以上取り急ぎ42S通過後、低気圧の動向が確認できるまで、40Wより東へは行かぬようにします。WDMソフトが機能することを確認しました。

強風域を最短時間で切り抜けるべく北へ向かうが、スコール雲が頻繁に航路上を通過し、其のたびに風向、風速が大きく変化。極力北へ出る努力をしたが、結局進行方向は角度は30T〜40T。

現地時間1800、何時ものようにチャートテーブルに向かい、メールを打とうとした瞬間、頭上から水飛沫を浴びる。原因はドジャー側面のカバーの縫い目が大きく解れそこから波が打ち込んだことによる。たいした水の量ではなかったが、使用中のパソコンが機能不全。現在バックアップ用のパソコンを使用。

ドジャーの綻びはガムテープで応急修理。万が一にも水飛沫を浴びぬよう、現在透明の差し板をした上で其の上から透明のプラスチックのカバーをかけている。出入りに不自由だが、ドジャーの本格的な補修が済むまでは仕方がない。
長く航海を続けていると色々なことが起きる。

2007/2/8/09:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
本日のメール受信しました。wdmを添付します。
42S付近までは南を通過する低気圧の影響で西よりの風が15m/s前後と強い予想です。40Sまでは引き続き西〜南西。その後の風は高気圧の出方如何ですが、東よりの可能性もあります。
期間末ごろ、航路の北方から低気圧が南下する可能性があるため、40S以北で北東へ進路を変更される場合でも、当面40Wより東へは行かないようにして、低気圧の様子を見た方がよいでしょう。仮に予想通りであればこの低気圧の西側の南よりの風を利用するのも良いかと思います。

JST2月9日 GMT2月8日2100 船内時1800
45−00S/47−32W NW15m/s COG45T SOG5kts 快晴 17℃ 1008hPa

昨晩風速が12−14m/sと安定したときを見計らい、帆走角度をスリーコーターからアビームに変更。ジブをリーフし、速度を犠牲にして極力北に向かう。進行方向は0〜30T。

0800:日が昇るにつれ、昨日と同様、積乱雲が発達し、航路上を通過。風速15+−3m/sで変化。COG45T。
1200:積乱雲が消え快晴。WNW15m/sで安定。COG30T SOG6kts
1700:風がNWにシフト。ジブをリーフしアビームでCOG45T、SOG5kts

今のところ42S線上でW45(200nm)〜42(300nm)の間には、到達できる見通し。今後48時間以内の風の振れ次第。艇を酷使しない程度だが、多少は無理をさせている。時折コクピットに崩れた波が打ち込む。横波でブローリング気味になることも多いが、波の傾斜がゆるいので、失速する前にウィンドベーンが自然に艇を立ち直らせてくれる。スコールの通過時、ブローが入るときは事前に風下に落とし、ブローチングを防いでいる。
ドレイク海峡の波から比べるとたいしたことはないが、それでも油断は出来ない。

2007/2/9/09:12JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
現在のやや強めの西よりの風は2/10LT前半までには10m/s程度に落ち着き、風向は本船の北上に伴って南西〜南南西へと変わる見込み。
一方、40Sを越えるあたりから 高気圧の北側に出るため東よりの風となるでしょう。低気圧は現在40W付近を南下するように予想されていますが、顕著な発達はしないようです。ただし、低気圧の南を北東へ進むには、風が真向かいとなるため、この低気圧の西側を北上するのが良いでしょう。
2007/2/15/00Z(2/14/21LT)の予想天気図を添付します。

JST2月10日0600 GMT2月9日2100 船内時1800
43−13S/45−44W W15m/s COG20T SOG5kts 晴れ、16℃ 1012hPa

現況以下の通りです。低気圧の西へ出るための航路、タイミング等、情報明らかになり次第アドバイスお願いします。当面45Wを北上しますが、途中高気圧の中(無風/微風)地帯へ入る可能性があります。低気圧の西へ出るための位置、タイミングが解れば必要に応じ(一日以内?)であれば機走することも考えます。

定点42S−45W迄70海里。定点到達後45Wラインに沿って北上予定。
昨夜は珍しく雷が連続して閃いた。一瞬闇夜を昼間のように照らし出す。日本のような稲妻はないな、と思った瞬間閃光が夜空を貫き、一瞬首をすくめる。特に理由はないが昨夜は寝付かれず、明け方までウオッチ。

アビームで帆走しているので、時々崩れ波が艇を横倒しにしようとするが、その波も大分収まってきた。どうやら無事40Sを超える目処が立ってきた。これから高気圧と低気圧を乗り換えながら目的地への長い航海が続く。

2007/2/10/08:30JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
高気圧が西から張り出してきます。風は次第に南西に変わり、風速も10m/sから2/9/21LTには5m/sまで弱まります。この弱風は2/13/09LT頃まで続く見込みで、この頃には風向も南東に変わるでしょう。
北方から南下する低気圧との接近は2/14/09LT頃。
低気圧はまっすぐ南下するかあるいはやや西に振る可能性もありますが、顕著に発達することはないと予想され、MAXで15m/s。
低気圧の動向にはまだ日替わりが見られるため、後一両日様子を見るようにしましょう。

2007/2/11/08:45JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
現地時間で2/14朝頃本船の東を低気圧が北東から南西へ40W付近を通過すると予想されます。この時の風向は南より、風速10〜15m/s。波高3〜4m。この低気圧が本船の真横に位置するまではそのまま45W付近を北上してください。できればもう少し西よりを北上された方が良いのですが、そうなると南下するブラジル海流域に入る可能性もあるため、46〜45W間が良いと思います。
低気圧をかわした後、風向を見ながら進路を北東から東へとることになりますが、まずはこの低気圧の動向に注目しましょう。
明日朝には予想天気図を添付します。

JST2月12日0600 GMT 2月11日2100 船内時1800
39−20/45−05 SW8m/s COG355T SOG65.5kts 晴れ 23℃ 1021hPa

追い潮に乗り順調に北上中。当面定点を32S/46Wに設定。現在地から定点まで440海里。高気圧の影響下に入り、気温が急激に上昇してきた。昨日の同時間と比べ6℃上がっており。現在半袖シャツを着ている。

気象条件が良いので、今日は以下の様な様々な作業をした。
*引き続き浸水箇所のチェックと排水。目の届かないところ、例えば燃料タンクの下等は、隔壁にドリルで3m/mの穴を開け浸水の度合いをチェック出来るようにしている。結構水が溜まっており、穴が小さくて目詰まりをおこすので、効率良く排水できるように5m/mの穴を開け、3時間掛け排水完了。
*波で解れたドジャーの修繕。前よりも丈夫になった。それにしてもポートウイリアムスまで持ちこたえてくれたのはラッキー。
*磨り減った、ロープやショックコードの交換。(ウインドベーン、ランニングバックステー等)
*オートパイロットの防水カバーの補強。
明日は引き続き浸水箇所と食料品のチェックを予定。気温が上がってきたので、傷みやすい食料品を早く食べなくてはならない。

今日のところは以上だが、忘れないうちに極地へ向かうヨットの印象を伝えておきたい。 チャーター艇は総て、それ以外のヨットの殆どがスチール又アルミ製。氷山に当たればタイタニックでもイチコロだが、凍結して身動きできなくなった時や流氷に出会った場合を想定している。又浸水、漏水の予防として、艤装品を取り付けるベースは総て溶接。船体、デッキへの貫通穴はない。キャビンへの出入り口も極めて小さく、更に頑丈なドジャーで覆われている。デッキ上に係留ロープをリールしたローラーを設置している艇が多い。これは極地というよりもパタゴニアの狭い入り江で投錨する場合、錨を打つだけではなく、近くの立ち木へ効率よく舫いをとる為。中には前後に2個ずつ、合計4個のローラーを設置している艇もある。

「理想的なクルージングヨットとは何か?」を自分なりに探るのも、今回の航海の目的の一つではある。極地へ向かう多くのヨットを見て「理想的なクルーザーとは、どの様な目的で、どの様な気候の下で航海するか。」によって決まるとの思いを強くした。

その中で、フォークランドで出会ったフランスのチャーター艇コテックス(スチール、50ft)のオーナーアランは同艇で奥さんと2人で30年間チャーター業を続けているベテラン中のベテラン。略2年周期で7-8月は北極海、1-2月は南極と移動しながらゲスト(クルー)と巡航している。彼の船は当然スチールで、極地向けヨットの条件を満たしているが、際立った特徴はセンターボーダーで、ボードの重さ4トン。ボードを下げた時、上げた時の喫水は夫々3m、1mであった。今のところこの辺に理想的なクルージングボードの落としどころがありそうだ。

天気図

2007/2/12/08:25JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
天気図を添付します。
低気圧は予想通り本船の北東方から南下中。35S付近で本船の真東40W付近を通過する見込みです。風は南より10m/s程度。
このあたりを変更点のポイントとして北東〜東北東に進路をとられることをお勧めします。
今現在でどこまでとははっきり特定できませんが、東よりの風に遭遇したところで、北にコースを変えて偏東風域を北上するストーリーを考えています。

JST2月13日0600 GMT2月12日2100 船内時1800
37-04S/45-12W SWS4m/s COG00T COG3.5kts 晴れ(曇り) 19℃ 1022hPa

風が落ち、これまで北へ向かっていた1〜1.5ノットの潮流も消えてしまった。1700頃SWS〜SESへ風がシフトしジャブしたが又元のSWSに振れ戻った。風が安定しないのでウィンドベーンからオートパイロットに切り替え、風が東に振れるのを待ちながら、真北に向かっている。

以下断片的回想。昨日は極地へ向かうヨットについてだったが、今回は極地へ向かう人々。
フレンチポリネシアからニュージランドにかけて、長期航海をしている大多数のヨットは米国籍だった。にもかかわらずポートウイリアムスで米国籍のヨットは皆無だった。思い出すままに国籍を並べてみると、フランスが最も多くついでスエーデン、ニュージランド、オーストラリア、ドイツ、イタリア、フィンランド、ノルウエー、デンマーク、ポーランド & ジャパン。英国籍のヨットにも出会わなかったが、フォークランドで会った英国人ロジャーはポートウイリアムスへ向かう途中、現在クルーの到着待ち。

2007/2/13/09:23JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
北方から南下する低気圧は、2/15/09LT頃の位置が35S-35Wで、当初の予想より東よりを南下すると予想されます。
現在本船は東へ移動する高気圧の中にあると推定され、今後48時間ほどは高気圧の後面の北よりの風域に入る見込みです。このままでは北上は無理と思われますので、経度40W線まで北東よりにコースを変更されても良いかと思います。いずれ低気圧の影響で風は東〜南よりに変わるはずで、その時点で再び30S付近まで北上してください。低気圧西側の風は10m/s程度です。
安定した東よりの風は25S以北、20W以東にありますので、当面このポイントを目指してください。そこからはアビームの順風で次の目的地まで航行可能です。

2007/2/14/09:20JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。天気図を添付します。 本船付近は南北に伸びる気圧の峰のやや東側にあり、このまま北東方へ進まれれば北よりの風は現れず、東側の低気圧の南下に伴って南東から南よりの風に変わる見込みです。
低気圧の南下後は南大西洋の高気圧が大きく膨らみ、航路上は北東よりの風となり、2/19頃から北よりに変わり、更に高気圧の後退に伴って30S付近では北西風へと変わると予想されます。
風速はおおむね10m/s以下。今後一週間低気圧の発生は予測されていません。
本船を北東方へすんなり導く風は当面期待できませんので、風の状況をみながら20S-20Wを目指してください。

JST2月15日0600 GMT2月14日2100 船内時1800
33−55S/43−34W SE9m/s COG45T SOG5.5kts 晴れ 25℃ 1017hPa

フォークランドから続いた高波域を超え、やれやれと思ったら、今度は進行方向からの向かい風。2日間ドタン、バタンとピッチング、パンチングの連続だったが明日から2日間はどうやら解放される見通し。
その後再び風が進行方向に廻る気配。この状態は少なくとも後10日は続きそう。 出航以来、寝て、食べて、走るだけの生活を繰り返しているが体調良好、気力充実。

2007/2/15/09:14JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
現在の南東の風は2/15/09LT頃まで。その後風弱まりながら東から北東へ。2/17/09LT頃から徐々に風が吹き出し、2/18/09LT頃には北7-10m/s。
翌2/19/09LT頃から5m/s前後の来たよりがしばらく続く見込み。
東が吹けば北上、北が吹けば東進で南大西洋の高圧帯の中を通過することになりますが、25Sへ北上するまでガマンの帆走。宜しくお願いします。
現在鹿島さんのコラーサ77はマダガスカルの南42S付近を走られています。南半球高緯度は温暖化のためか水温が異常に高く、低気圧がやたら発達しながら通過するため時化多く、また、西風も少ないため東航にご苦労されているようです。

JST2月15日0953
25S/20Wまで後1200海里、ダーマも多少弱ってきているので慎重に行きます。
鹿島さん大変そうですね。出航以来何日経過されたのでしょう。コラーサ77の無事なる航海と無寄航達成を祈念します。Fair Wind!

2007/2/16/08:55JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
航路の北から南東へは気圧の谷が横たわっています。明日にはこの谷は解消し、高気圧が膨らんでくる見込み。風は一旦北東へ振れた後、2/18LTには北に変わると予想されます。出来れば北東へ向け、北と東の距離を稼ぎたい所ですが、難しいですね。しばらくはジグザグの航海。
天気図添付しました。

JST2月17日0600 GMT2月16日2100 船内時1800
31−34S/42−01W NNE3〜4m/s COG70T SOG 3.5kts 快晴28℃ 1014hPa

今日一日距離は伸びませんでしたが、久々に平穏な航海を満喫しています。

フォークランドを出航して13日目、出航以来時化が続き、ドタバタしていたが、どうやら生活のペースが出来つつある。ここまで来ると完全に真夏日。船内が蒸し暑くなってきたので、ニュージランド出航前にシールした通風穴の充填物を取り払い、通気を良くした。
北よりの微風が340度から75度まで振れまわる。実に気まぐれな風だ。どちらにしろ風弱く距離は出ないので風向を気にせず、ウィンドベーンをクローズドリーチに設定し、方向は風任せ。なんとなく東に向けて走っている。その間にエンジンの手入れ、擦り切れたロープの交換、プロパンボンベの交換、艇内の整理等実施。未だ先が長いので住み心地が良いように工夫している。
夜はワインを飲みながら、映画でも見ようかと考えている。

JST2月18日0600 GMT2月17日2100 船内時1800
31-40S/4023W NE9m/s COG105T SOG4kts 晴れ 28℃ 1014hPa

明日風が北へ触れる事を想定し、東へ進む事を優先。2時間前から風速が5m/sから9m/sに上昇。パンチングで失速しないよう多少落とし気味に帆走。北へ振れる予兆であれば申し分ないのだが。

昨夜は海が静かだったので、航海中始めてニュージランドで買ったDVD「Once Upon A Time In Mexico」を見たが、集中できず途中で打ち切り。続きは貿易風帯に出てからとする。順調に行けば後10日。

今朝900何気なくコクピットに出たら、右舷500mに古い500トン位の漁船がいた。無線で話しかけると先方はコモロ島に籍をおく延縄(Long Line Fishing)漁の漁船だという。更に、現在エンジンを止め、ラインを流しているという。良く見ると船尾から数百メートル毎に浮きが東西方向に延々と続いている。当方より航路上に障害物がないかどうか確認したが「無い。」との返答。ロープに絡むといやなので、2時間ほど機走で北東に向かう。先方はレーダーも停止していたようで、レーダー探知機では検知できなかった。「延縄漁船との衝突は、鯨と衝突するようなものだ。」と思いつつ現場を離れた。

2007/2/18/08:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
現在の北東よりの風は遅くとも明日には北よりに変わる見込みです。一方、1/20LT後半からは高気圧の軸がやや南下し、東よりとなるでしょう。ただし風は全般に弱めで、5m/s前後。25Sまでがんばってください。

JST2月19日0600 GMT2月18日2100 船内時1800
31−36S/38−02W N10m/s COG75T SOG5.5kts 晴れ・曇り 27℃ 1013hPa

引き続き東へ出ることを優先して帆走。船も身体も問題なし。あまり無理しない程度に分奮闘中。
断続的に0.5ノットの追い潮に出会い6ノットを超えることがあるが、波も悪くなるので適宜速度を抑えながら帆走。

2007/2/19/09:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
まだ数日は北よりの風が続きます。今日の予想では2/23頃本船の南を高気圧が通過する見込みで、風も2/23LT頃から南成分が入ってきそうです。
ただし、この高気圧も移動性のため、次第に東へ去っていきますので、その間にどこまで北上できるかです。
予想天気図を添付します。

JST2月20日0600 GMT 2月19日2100 船内時 1800
30−53S/35−49W NNE 8m/s COG 60T SOG 5kts 快晴 28℃ 1017hPa

早朝から正午まで北の風10m/s COG 45T SOG 6kts で帆走。その後風速を弱めながら次第に東にシフト。
艇速を維持しながら、北へ出ることを優先して帆走中

2007/2/20/08:58JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
現地時間1/21前半までは北〜北東。2/21後半から2/23まで、高気圧が南を通過するため東よりに変わる見込みで北上のチャンスです。ただし、2/24には再び高気圧後面で北よりの弱風域に入るでしょう。
高気圧の勢力化にあるのは25S付近まで。これを越えれば次第に東風の順風域に入ることが出来そうです。

JST2月21日0300 GMT2月20日1800 船内時1500
30−41S/33−56W NNE 7m/s COG 75T SOG 5.5kts 晴れ・曇り 32℃ 1020hPa

北が吹いている時、波が無ければ、COG50〜60Tで北東へ進むことが可能です。昨日は10m/sの風で北上しましたが、深夜0200、2ノットの逆潮に会い、風も落ちて立ち往生してしまいました。機走で朝まで東に向かい、逆潮が消えた時点で再帆走しています。先日の電話で北へ向かうのは30S/30Wを過ぎてから、と言われたのを思い出し現在30S/30Wに向かって帆走中です。偶々31S/34W付近を北西から南東へ横切る海底山脈があり、逆潮にあった場所は最も浅い部分に相当しています。海底地形が潮の流れに影響を与えているのでしょうか。

JST2月21日0600 GMT 2月20日2100 船内時 1800
30−36S/33−37W NNE 6m/s COG 65T SOG 4.5kts 曇り 29℃ 1019hPa

風が落ちてきたので艇速4〜4.5ノットに落ちてきました。気になるのはボートスピードとSOGとの差です。例えば、今日午後に入ってCOG65〜75Tをキープしていますがボートスピード5.5ktsに対してSOG4.2ノット程度となります。北上する場合風が弱ければ機走する事になりますが海流の動きと速度が気になります。海流に関する情報あわせてご検討お願いします。実際のヘッディングよりも若干上っているような気もします。この海域では、風向同様、海流も変化し、北西方向への海流があるのでしょうか?

2007/2/21/09:27JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
本船は引き続き高気圧の西縁付近にあります。現地時間で2/22後半から新たな高気圧が本船の南を通過する見込みで、風は南東〜東よりに変わってくるでしょう。この高気圧が東に去る2/24LT後半からは、西から谷が近づき、再び北よりあるいは北西風が吹く見込みです。風速は引き続き弱め。風向、風速共に安定し始めるのは25S以北。完全に安定するのは20Sからです。
海流の件ですが、海水は空気に比べて摩擦が大きいため、直線的に流れる海流はなく、海上には大小無数の渦が存在します。右回りの渦と左回りの渦は常に対になり、これらが全体の大きな流れの中で移動します。
一方、海流の測定は海面高度や水温分布から推定したもので、実測値がないのが現状です。
現在、本船付近には右回りの渦の存在が示唆されています。海面高度から推定した海流画像を添付します。
ただし、図中の数字は高度で、流速は推定出来ませんので間違いのないようお願いします。

海流図

JST2月22日0600 GMT2月21日2100 船内時1800
29−51S/31−59W NNW4m/s COG 30T SOG 3kts 晴れ・曇り 28℃ 1022hPa

1900 NNW 2m/s。 機帆走開始。COG15T SOG 5kts 暫定的に定点を25S/30Wに定める。今後の風次第。

偏西風帯と貿易風の間にある中緯度高圧帯は、帆船時代にホース・ラチチュードと言われ、その呼称は今でも続いている。乗り組み員の飲み水を確保するため、積んでいた馬を海に捨てた事に由来している。
貿易風に出会うまで今日から3日間機走する事になろう。風があれば勿論短時間といえども帆走する。

2007/2/22/09:05JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
本船の南35-40S間を高気圧が通過中ですが、30S付近にも高圧帯が東西に伸びているため、海域は全般に気圧傾度が緩い状態となっています。
この後も30-25S間で高圧帯が持続するためこの海域の風は不安定。
現在弱風の中を機帆走されていますが、海流を有効に使うため、当面27S-29Wへ向けられると北東に向かう流れに乗ることが出来そうです。

JST2月23日0600 GMT2月22日2100 船内時 1800
28−22S/30−36W SW2m/s 機走 COG37T SOG5.5kts 晴れ 31℃ 1024hPa

1900 NNW 2m/s。 機帆走開始。COG15T SOG 5kts 暫定的に定点を25S/30Wに定める。今後の風次第。

昨夜機走を開始して以来、丸一日経過。昨晩2度、風速が上がったので帆走に移ったが、直ぐにとまりる。以後セールを降ろし、機走。
波の状態によりボートスピードが若干変化するが、5.8ノットで安定している。これに対しSOGは当初5ノットを若干下回っていたが、本日午後から、常時5ノットを上回るようになり、現在5.5ノットプラスで走行中。少しずつ海流に乗ってきているのが体感できる。

南緯40度を越えてから、雲ひとつ無い晴天が続いた。これまで風向・風速の変化は、大きくは気圧傾度、至近距離では雲の動きにリンクしていると思っていた。この海域では、雲が無いのに風向が、30分、1時間単位で変化する。時によっては40度、50度と変化する。不思議に思っていたが、昨日送られてきた海流図を見て、その理由が少しわかってきた。海流の動きは今までに自分の想像をこえていた。
まるで唐草模様か或いは複雑な迷路パズルのように左右対になり、渦巻いて流れている。空気の流れ、対流が温度差により生ずるとすれば、海流の渦巻きにより生ずる海面近くの温度の変化が風の流れに影響を与えている事は十分に考えられる。精緻な水温計があればもう少し掘り下げた解釈が出来そうだ。或いは推論が間違っていることを教えられるかもしれない。

ウインドベーンで走っていると、風向の変化が良くわかる。一方機走で一定速度で進んでいると、海流の流れ、方向、水面を撫でる漣の変化、風があるのに鏡のように波一つ無い海面等を観察出来る。出来ればもう少し法則性を見出したいものだ。微風で早いヨットレーサーは、単に雲と風の動きに敏感なだけでなく、海流と風の関係についても熟知しているように思われる。少しでも近づきたいものだ。

2007/2/23/09:15JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
週間予想図を添付します。
気圧配置に大きな変化はありませんが、本船の北上にともなって徐々に風の状態も良くなる見通しです(希望も込めて)。
天気図で見ると手の届く海域でいい東風が吹いているんですがね。後数日のガマンですので宜しく。

2007/2/23/16:35JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
風の変動についての解析、そのとおりです。
空気にしても海水にしても同じ流体ですから、温度や摩擦に敏感に反応して、常に渦を形成しています。更にこの渦を運ぶ中程度の、更にそれを動かす大きな渦が存在します。渦の流れと移動方向が一致した場合、流れは速まり、その反対では弱まります。北半球で台風の進行方向に向かって右側が危険半円、左側が可航半円といわれるのも同じ現象です。
風向の変化もこの渦の挙動で説明できます。気圧傾度が弱い時は、こんな大小さまざまな渦が極めて身近に感じられます。 偏東風域に入れば、小規模の渦は目立たなくなってしまいます。

2007/2/24/08:15JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
膨張する高気圧の中心軸の北に出るためにはあと2日程度の日数を要すると思われます。あと2日程度なのでどうぞがんばってください。
私用で誠に申し訳ありませんが、昨日小生の母が他界しました。小生を見守ってもらい60年。ちょっぴり寂しい。また明日からがんばりますので今日は短い本文でごめんなさい。

JST2月25日0600 GMT2月24日2100 船内時0600
25−25S/28−32W NE3m/s 機走 COG65T SOG4.5kts 快晴 28℃ 1020hPa

朝6時風が弱くなったので機走開始。1100と1500に風が4m/sを超えたので帆走に移る。東に向かうが、一時間以内に風が落ちる。北西に向かう0.5ノット前後の海流がある模様。気象予報図を参考に2日後に東の風を拾える、最も近いポジション24S/25W(210nm)に向けて機走中。

2007/2/25/07:30JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
本船の位置は高圧部西側。明日まで北東風となりますが、北上に伴い風向は次第に東へ、また風速も徐々に上がってくるはずです。
30Wより東側であれば現在の経度でも十分かと思われますので、機走であれば北への距離を稼ぐようにされたほう早く東風を捕まえられると思います。
航路付近の海流は、やや複雑で変わりやすい状況ですが、北上に伴い、赤道の手前まで北西から後に北へ向かう流れに乗れるはずです。また、赤道では西向きの流れの場となります。

今日、明日と私用でばたばたしますので、本日予想天気図を添付します。ご迷惑をおかけしますが今しばらく宜しくお願いします。
メールは常にチェックしておりますので、定時連絡他なにかありましたら何時でもご連絡ください。

2007/2/26/07:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール順調です。
高気圧の中心軸は25−26S付近にあり、本船はすでにこの高気圧の北側に出ています。ここまで不安定な風の中での航海お疲れ様でした。これから風は東に回り、明日には7-10m/s程度の順風に合えると思います。
また、さらに北上されると10m/s前後の安定した東〜東南東の風となるでしょう。

2007/02/27/10:15JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
メール受信順調です。
本日朝サーバートラブルで更新に手間取り、気象情報の送信が遅れてしまいました。申し訳ありません。
本船の北上に伴い、明日頃から風に南分が入るようになります。また、風速もやや上がり、10m/sをオーバーするかもしれませんが、安定した海況が続きます。波高2-2.5m。

JST2月28日 0600 GMT 2月27日 2100 船内時 1800
20−00S/27−28W N9m/s COG 10T SOG 5kts 晴れ 30℃ 1019hPa

順調に北上中。風がもう少し南に振れれば、快適な帆走が出来そう。昨夜30cm程のトビウオが飛び込んできた。早速干物にしてご馳走になる。一日数回スコールに会うが、未だ本格的ではない。霧雨程度。この海域は、積乱雲が独立しておらず、かなり広いエリアを雲が覆っているので、通過に時間がかかる。長いときは2時間ほど。
スコールが来ると風が北に40度近く振れるので、その分を見込んで10度東へ向けている。

2007/2/28/08:50JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
気圧配置、風ともに安定しています。風は東〜東南東10m/s前後。今現在の予想では赤道域もそこそこの風が吹く見込み。
海流は13Sまでは南東から北西への流れ。その後北流域がしばらく続くと思われます。

日報中の積乱雲は背が低いため、衛星では不明瞭。高気圧縁辺のものと推定され、東から西方へと流れているようです。



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