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2006年12月

いよいよ念願のケープホーン通過へ向けてラストスパート
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軌跡
DHARMA単独世界一周航海日誌   2006年12月             戻る

2006/12/1/08:45JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
今後一週間の気圧配置に大きな変更はありません。引き続き北高南低が続きます。
今現在の南よりは、高気圧の東の縁に本船が位置しているためで、東進とともに南西〜西の風に変わってきます。ただし、12/2以降航路上では南北の気圧差が大きくなるため(南の谷の影響)、風速は10m/を超えるようになり、12/3以降は10-15m/sの風が続くでしょう。波高は平均4m前後。昨日お伝えした通り、40S付近は42.5Sより幾分穏やか。風向はかわりません。
高気圧の勢力が強いため、南米沖まで北から低気圧が南下することはなさそうです。気圧配置から見た南下のタイミングは、高気圧の後、谷の前面の北よりの風10m/s前後、波高3m前後が狙い目で、今後はこの予想に集中することにしましょう。

2006/12/01/09:38JST
<馬場社長から目黒さんの近況報告>
本日はメール通信が不調なため、09:25JSTに電話連絡を行いました。
現在位置と気象:42.2S-130.5W。SSW/20kt。快晴。
艇長、船体共に異常ありません。昨日壊れた風力発電機は、風が安定しているので、ベーンをロープで縛ってペラを風に向け発電中。

2006/12/02/07:25JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
気圧配置の予想に変更はありません。明日12/03から12/04は南西より、12/05以降は西よりの風。風速は12/07まで10-15m/s。この中でも12/03と12/06頃がもっとも強いでしょう。
ただし、平均で15m/sを超えるようなことはない見込みです。
気圧配置に大きな変化がないことと、通信が安定しないので画像は添付しません。

2006/12/03/07:46JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
北高南低の気圧配置は今後も安定して続きます。
今現在、高気圧の中心軸は40Sからやや北よりにあります。
航路上の風は12/05まで南西から南10m/s以下。
12/06以降航路の北で再び高気圧が優勢となり、西よりの風10m/s前後が続きます。

tennkizu

JST12月3日 0600 GMT 2100 船内時 12月2日1200
現在地41−17S 126−31W SW8m/s COG90T SOG 4.5kts 晴 21℃ 1030hPa 波高2.5m

風速の割りに艇速が伸びないのは、真追っ手に近くジブが張れないこと、及び逆潮の為。2種類の速度計があり一つは対水速度(センサーのついた小型の水車)、他方は対地速度(GPS)。常この2つが勝ったり負けたりしている。
このところ其の差が1ノット程度に広がり、たまに1.5ノットの差が出る事もある。
昨夜10時思ったよりも早く、高気圧の中心付近が通り過ぎ、気圧・風速供に徐々に上昇(3m/s−>5m/s)。その後3時間程風が60度の角度で触れ回り、その間オートパイロットに切り替え。風向風速供に安定した、再びウインドベーンに切り替える。
気象情報ではこの海況は一週間以上続く見込み。時化の情報が入った場合、事前に北上し、時化の影響を回避できる位置をキープしながら東進中。

2006/12/04/09:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
予想気圧配置に変更はありません。12/05までは南よりの風が多いでしょう。12/06以降、ほとんど西より。さすがにここまでくると、北の高気圧と南の谷あるいは低気圧との凌ぎ合いの海域で、風速は平均10-13m/s。
今日の予報文は簡単なものですみません。逆に特に解説するものがない方が海況は安定している証拠です。

JST12月4日0600 GMT12月3日2100 船内時1200
41−04S 123−57W SSW10m/s COG90T SOG5.5kts 曇り 20℃ 1026hPa

馬場様
九日の予報次第ですが、それまで可能な範囲でこのまま東進を続けます。
これ以上海況が悪化するようなら随時北上する態勢にしています。以下現況です。

昨日夕刻1700、風が南西から西に振れ、風速8m/sから10m/sに上昇。日暮れ前1900、メインセールを2ポイントにリーフ。 風は西、大きなウネリが南から入っている。前後・左右・上下に船が揺さぶられ「ロデオ」状態。
夜半風が南に回り、ジブを小さく強めに展開し船の動きが大分安定した。

早めに寝たが寝付かれず、かといって本を読んだり、音楽を聴く気にもなれず。取り

2006/12/05/09:00JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
気圧配置の予想に変更はありません。現在の南風は、本船が高気圧の軸付近にあるためですが、明日以降高気圧は再び航路の北側に位置するはずで、西よりの風に変わり、風速も10m/s前後まで吹き始めるでしょう。
12/8以降はもう少し吹き10-15m/sとなります。
久々に気象図(2006/12/06予想図)を添付します。
貴艇の南東海上の48S-111W付近を鹿島郁夫さんのコラーサ77がホーン岬へ向け航行中です。海況は20m/sの西風、波高5-6m。時折大波を受けて横倒し状態になるようです。艇速は5kt前後。
貴艇のコース上の海況はこれに比較すると甘いと思われるかもしれませんが、小生も同乗させてもらっての航海です。
安全と快適さが長期航海の最も重要な要素と考えています。
現在のところ、この先100W付近が南下のポイントではないかと思います。南を通過する谷との間合いを計りながらホーン岬へ向けてください。
メールの件早速調査します。

JST12月6日0600 GMT12月5日2100 船内時1300
40−43S/119−41W W8m/s COG80T SOG5.5kts 晴 20℃ 1027hPa

本日0830時、西経120度を通過。船内時計を一時間すすめる
早朝まで風弱く、メインセールをバタンバタンさせながら2ノットで東進。その後風速次第に強まり、船首をやや北東に向けジブの2枚張り。今のところ波が比較的穏やかで快適なセーリングを続けている。
出航前卵を4ダース買ったが、今日で総て使い尽くした。腐敗して捨てたのが2個。これまで生卵は2週間が限度と思っていたが、どうやら一ヶ月は持つようだ。やはり出航前、パック入りの豆腐を見つけた。これは半年ぐらいもちそう。これに併せてマーボー豆腐のレトルトや鰹節等も購入。明日から蛋白源は卵から豆腐になる。
サプリメントを適度に服用しているので食事に関しては特に問題なく体調も健康そのもの。ただし運動量が減少するので筋肉が少しづつ衰えつつあるような気がする。思い返すとこれまであったセーラー達で男女を問わず、肥満体の人はいなかった。
少ないカロリーで暮らせるように体が変化していくようだ。

2006/12/06/08:55JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
気圧配置に大きな変化はありませんが、12/10以降南を深い谷が通過していく見込みで、西よりの風10-15m/sとなる可能性があります。この谷の通過後(多分本船は100W付近)に徐々に南下をはじめ、ホーン岬へ向けるよう準備をお願いします。
130W付近にも今ひとつの谷が予想されますが、多分この谷がホーン岬通過時のポイントになると思います。出来ればこれをやり過ごしてから通過するのが良いと思います。
参考として、12/12/12Zの予想天気図をお送りします

tennkizu

JST12月7日0600 GMT11月6日2100 船内1300
40−50S/117−21W SW5m/s COG125T SOG4kts 晴/雲 22℃ 1027hPa

馬場様
WDMで見ると航路北側の高気圧の収縮/膨張、時には分散等の動きが良く解ります。複雑な要素が絡み合っているのでしょうが、この様な現象が起きる原因について、教えてください。
又鹿島さんの動向など(船のタイプ、予定など)わかる範囲で教えてください。
昨日オケラネット傍受しましたが全く聞こえませんでした。

昨夜は、1ポイントリーフしたメイン一枚で東に向かって一直線。西の風風速6〜10m/s。南西からくる大きなウネリに揉まれ、速度はあまり伸びず、平均4ノット程度。黒雲の集団が来る度に、風向風速共に変わる。
今朝から風が6m/s以下に落ち、ジブの2枚張りで南東に向かっている。南米沖の高気圧に出会う(西経100度?)までの間、南緯41度線を中心に風が強くなれば北東、弱くなれば南東に向かい、東への距離を稼ぐ予定。

2006/12/07/09:03JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
航路上の海況予想に変更はありません。本船が100W付近に到達する頃、南を発達した低気圧が通過します。南下のタイミングはこの低気圧が通過した後が良いかと思います。

大気の動きは、アンバランスな熱の分布を均質にしようとするためです。
高気圧と低気圧は常にペアで、大気の下降と上昇を受け持っていると考えればよいかと思います。ある程度熱のバランスが保たれればその動き、勢力は弱まり、アンバランスになればまた活発化します。
といってしまえばとても単純なことのように思えますが、そこに自然の壮大かつ神秘的なものを感じざるを得ません。

JST12月7日1207PM
早速の回答ー明快且つ深遠なる洞察ー有難うございます。
本日午後からは快晴、西南西5m/s。メインセール一枚、3.5ノットでゆっくり東に向かっています。100Wに達するのに後10日程度要するかと思います。当初クリスマス前の入港を考えていましたが、現在では早くて年末。与えられた時間を有効に使うようにしています。
目黒拝

JST12月8日0600 GMT12月7日2100 船内時1300
40−51S/115−15W W5m/s COG90T SOG4kts 曇り/晴 21℃ 1029hPa

昨日以来4〜6m/sの西風。艇速2.5〜4.5ノット。黒雲の集団が頭上を通り過ぎる時10m/sのブローがあるが精々30分で元の風域に戻る。風に併せてジャブを繰り返しながら南緯41度線上を東進。南から大きなウネリがあるが海況は穏やか。風が5m/s以下になると、ウネリのためセールがバタつく。その度にリギン(マストを支えるワイヤー)、マスト、ついで船体がビリビリと振動する。
時によってはかなりの衝撃となり、寝ていても瞬時に目が覚め、尾てい骨を強打されたような嫌な感覚を覚える。風が無い時はセールを降ろして機走するが。さもなければ、少し上り気味に走り、バタつきを極力押さえている。1分間に10回のバタつきがあり、これが一日続くと、1200回になる。強風以上にセールを傷める原因となる。

適度な強風(15m/s以内?)であれば、風の強さに併せてリーフ(縮帆)するので、リーフのタイミングとハンドリングを間違えなければそれ程セールを傷める原因とはならない。風が20m/s以上になればセールを降ろしてベアポールで風下に流される。15m/s〜20m/sの間では海況に併せ適宜判断する。ダーマの場合、メインを4ポイント、ジブをウェザーヘルムを押さえる最小限に張り十分船をコントロールできるがアビーム以上の上りはキツイ。
問題はこの状況が何日も続く場合、短期間(12時間から最大48時間)であれば時化が収まるまで走りきる。さもなければ風下に流されながら時化が収まるのを待つ。幸い出航以来それ程の強風には遭遇していない。

今日は燃料を50リットル補給。出航以来140リットル消費。残り200リットル。2日前にはプロパンのボンベが空になったのでこれを交換。プロパンは2kg入りボンベを4本積んだ。1カ月でボンベ1本の割合。これは日本を出てカナダに行った時と同じ割合。

2006/12/08/09:10JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
気圧配置の予想に大きな変化はありませんが、今日以降本船航路上は南を通過する気圧の谷の領域に入ります。高気圧の中心は本船の北西方。風向は西より、風速10m/s前後。西から周期的に進む谷の合間を見計らって、どの時点で南下を開始するかに焦点を絞って検討中ですが、今のところ、前回の予想どおり100W付近からが良いようです。

鹿島さんの船は、42フィートのパイロットハウス型。自作艇です。
12/7現在衛星電話を使って交信はしている模様ですが、12/4以降位置情報なし。海域は連日20m/sを超える風と6m前後の高波高。

JST12月9日0600 GMT12月8日2100 船内時1300
40−54S/112−56W W9m/s COG90T SOG5kts 曇り/晴れ 22℃ 1026hPa

引続き南から入る大きなウネリあり。海況は比較的穏やか。時折10〜12m/sの突風あり。フルメイン一枚で帆走。
いつもの事だが、追っ手で帆走している時、大きなウネリが来ると、突然左右に身をくねらせるように蛇行する。
この状態でブロー(突風)が来るとローリングが激しくなりブローチング気味になる。この現象が頻繁に起きる前に、とりわけ夜間は、リーフするようにしている。

2006/12/09/08:50JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
航路上は引き続き北高南低の気圧配置が続きます。100Wからは急速な南下ではなく、西からの谷の具合を見ながら徐々に南下されることをお勧めします。

JST12月10日0600 GMT12月9日2100 船内時1300
41−00S/110−06W WNW11m/s COG90T SOG6kts 波高2m 曇り 23℃ 1019hPa

明け方まで2ポイントリーフのメインで帆走。今朝から風が西から西北西に振れたのでジブを張れるようになり艇速アップ。午後になり風速が11m/sを連続して越えるようになり、バロメーターも下降傾向にあるので3ポイントにリーフ。
ここ数日今までに無く、帆走に適した風に恵まれ船足を延ばしている。
出航以来37日目。イースター島の南800海里を東進中。ワンガレイから3500海里。ケープホーンまで余すところ2000海里。因みに出航地の銚子からは8000海里。

2006/12/10/08:25JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
気圧配置の予想に変更はありません。風向は西よりが主ですが、時々南よりに振る日もあります。風速は10m/s前後。
12/17頃の予想では、62S-95W付近を低気圧が通過。北西側には45S付近まで高波高域を伴う見込みで、この後ろ側を徐々に南下する航路を検討していきましょう。

JST12月11日0600 GMT12月10日2100 船内時1300
40−41S/107−27W S9m/s 波高3m COG70T SOG5.5kts 快晴18℃ 1019hPa

本日(12/11)電話連絡後にメールも復旧しました。一時期電波状態が悪く、繋がらない事があるようです。

昨晩は、10m/s前後の西風を背に、用心のため3ポイントのメインで帆走。艇速5ノットで東進。朝5時突然風が南に振れ、風速も15m/sまで上がる。午前中は進路を若干北側に向け小さなジブを強めに張り6ノット前後で快走。
朝1014hPaだった気圧が現在1019hPa迄上昇。晴れ間も出てきた。未だ波の状態が悪、ロデオ状態が続いている。風が南に変わると気温が下がるので出航以来始めてブーツとカッパのズボンを着用。予想では数日中に風が西、北と振れる。
三日後には西経100度近辺に達するので、以後ケープホーンに向け徐々に南下する予定。

2006/12/11/09:01JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
昨日は位置情報を受け取れませんでした。順調に航行されていると拝察します。
12/14を中心に低気圧が南方を通過する見込みです。この低気圧と北側の高気圧との間で気圧傾度が急となるため、航路上でも24時間程度20m/s前後の西〜南西風が吹き、波高も6m前後になる可能性があります。
12/13の風の弱いうちに荒天準備をお願いします。本船の南下はこの低気圧の影響が過ぎてからとなります。

JST12月12日0600 GMT2100 船内時12月11日1300
40−52S/105−22W WSW6m/s COG110T SOG4.5kts 曇り 19℃ 1023hPa

一昨日から2日間メールが不通。一時電話も不通。昨日夕刻(日本時間午前10時)気象海洋社と電話が繋がり、馬場社長と今後の航路について打ち合わせ。13日後半から14日後半まで、航路の南側を発達した低気圧が通過する。この低気圧をやり過ごしてから南下することにした。

電話をかける直前、何気なくデッキから「北太平洋と比べ南太平洋は、水は格段に綺麗だが、生物が少ないな」と思いながら海を眺めていると、舷側を体調1m程の魚が通り越して行くのが見えた。其のうち手前でジャンプ。一匹が二匹となり、二匹が4匹となる。総勢五匹。大きいのは体長3m位。船首付近を横切り、5m、10m先で反転し、又横切る。この動作を何度も繰り返している。
電話を終えて戻るとあきもせず未だ同じ事を繰り返している。これまで見たイルカの背中は灰色だったが、このイルカは背黒。黒と白のコントラストが鮮やかで、動きもシャープ。鯨をも襲うと言う「シャチ」に似ている。動きが早いのと波が荒いので上手く写真が取れない。
夕暮れが迫ってくると今度は少しはなれたところで空中高くジャンプを始めた。競うように2m、3mと飛び上がる。中には体を回転させながらウルトラC級のジャンプを演ずるのがいる。素晴らしい光景だ。2時間はいたろうか、これを最後にいつの間にか消えていった。

今日は昨日とは打って変わって、穏やかな海。時化と南下に備る。ウインドベーンの擦り切れそうなロープを取り替えたり、水タンクを清浄して船尾の物入れにあるポリタンクの水を移し換えたり、水漏れがないか艇内のチェック等等。

2006/12/12/08:50JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
低気圧は12/13/12Z頃本船の南(50S以南)を通過。12/14/00Z頃から南西風が強まる見込みです。
この低気圧はその後北東方へ向かい、航路の東を北上した後徐々に衰弱すると予想されています。風のピーク時は20-30m/s。波高も6-8mに達する可能性があります。風が10m/s前後にまで収まるのは12/16/00Z。
この高波高域を避けるためには、現在位置付近で12/15/00Z頃までヒーブツーしてやり過ごすのが唯一の方法です。それでも12-24時間は荒れ模様の海況が続くでしょう。ここで無理をされて先へいかれても時化の中では東進することもままならないので、この案ご検討ください。
本日急遽台湾へ出張します。出先からも気象状況をワッチし、メールをお送りしますので御安心ください。また、会社への連絡はイリジウムへお願いします。昨日は電源が落ちていました。

JST12月13日0600 GMT12月12日2100 船内時計1400
41−21S/104−45W S5m/s 曇り/晴れ 23℃ 1022hPa

昨日19時西経105度を越えたので船内時計を一時間進める

4〜5日前まで発達した低気圧が航路の西から東に向け、南緯50度付近を通過するので、これをやり過ごしてから南下する予定であった。ところが3日ほど前の予想では南を通過してからから90度変針し、航路の前方を横切るように北へ進む事が明らかになってきた。
馬場さんの話では西経110から100度の間は、高気圧と気圧の谷(低気圧)とのせめぎ合いとなるので何が起こるかわからない、長期予報を立てるのが極めて困難との事であったが、実際其の通りとなった。
低気圧が航路の南海上を通り抜ける際、強い南風(20〜30m/s)が吹く事も予想されている。従って東へ進めば進むほど、低気圧の影響を受け、強い南風で北に押し戻される事も予想される。これを避ける為、現在のポジションに留まるのが最善との結論に達し、昨日夕方西経105度を越えた時点で船足を留める(ヒーブ・ツウ:heave to)ことにした。
昨夜は西風が吹いていたので、1ノットで南に流され、今日午後からは南風に変わったので北東に0.5〜1.0ノットで流されている。現在メインを4ポイント、インナージブ20%、舵をウインドベーンから外し、ポートサイドに固定。スタボードの状態にしている。この状態で2日間ヒーブツーを続けるが、南、或いは西風が予想より強ければジャイブしてポートタックとし、例え針路から大きく外れても、より早く強風圏から逃れる事を優先する。
さて二日間何をして過ごそうかと今考えているところ。

2006/12/13/09:30JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
西側に高波高域を伴う低気圧は、12/14を中心に本船の東95-90W付近を北上します。この頃、風も南西が一時15m/s前後まで上がるでしょう。翌12/15には10m/s前後まで弱まるので、これを待って帆走を開始されることをお勧めします。
45S以南には南を東進する低気圧の影響で東西に4m前後の高波高域が残っていますので、当面は45Sを南限として東南東進してください。

JST12月14日0600 GMT12月13日2100 船内時1400
40−58S/104−38W SWS 12m/s 波高4m COG 20T SOG 1.5−2.0kts 曇り 18℃ 1021hPa

本日午後に入って恒常的に10m/sを越える風。4ポイントメインと5%程度のステイスル、ポートタックでヒーブツー。風が強くなり風圧で風下に船体が傾くのでむしろ安定してきた。
暴風域に入る前に、これを避けるためのなので余裕のヒーブツーと言ったところ。船は風軸に対し60度の角度で風上に船首を向け、風下にゆっくりと流されている。後24時間長くとも36時間過ぎれば帆走できるようになるだろう。

2006/12/14/10:15JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
低気圧に伴う高波高域は12/14/12-18Zの間に本船の東海上を北東へ抜ける見込みです。

12/15から風波ともに弱まりはじめますので、これを待って南下を開始されることをお勧めします。
今現在データのトラブルで風が表現できていません。復旧次第詳細を再度お送りします。

ご迷惑をおかけしてスミマセン。

JST12月14日0600 GMT12月13日2100 船内時1400
40−28S/103−57W S10m/s 波高3m COG90T SOG5kts 晴 17℃ 1020hPa

馬場様
今朝7時風が10m/s前後となり、気圧も1017hPaから1019hPaと上昇傾向になったため、予定を早め東進を開始しました。明日朝、風が南西に振れた時点で当面の定点45S/90W(670nm)に向かう方向で考えています。如何でしょうか?現状及び今回のヒーブツーに関する考察以下の通りです。

12月12日1900 南緯42度/西経105度の位置で船足を止めて以来38時間。今朝0700より再び帆走を開始。船足を留めてから最初の12時間は、その後南風が吹く事を考慮し、艇速2ノットで南に向かう。その後南風に変わってから本格的なヒーブツーに入った。ヒーブツーに入ってからは北東に2ノット前後で流される。ヒーブツーの間、ポートタックで船首を風上に向け、4ポイントのメインセールと反対側に展開したインナージブで風軸と約60度の角度を保ちながら漂流。この間テラーは風下側に固定。

ヒーブツーを経験するのは2度目。最初は日本一周で小笠原に行く途中で台風に遭遇した時。その時は状況を分析する余裕は全く無かった。暴風域から逃れるためにスタボード(南半球ではポートタック)にし、ハッチの隙間から流れ込む海水を汲出すのが唯一の対応策だった。今回は事前に暴風域を避けるためだったので、多少状況を観察できた。結論として、ヒーブツーの場合、どちらのタックにしようが、風下に一直線に流されることが解った。

又波が2方向、或いは3方向から入り、交差する波が合成され、時々ウネリとは別に独立して屹立する、盛り上がるような水塊が(規模の大きなのは稀に、小さいのはいたるところに)出現する事も観察された。これが「ロデオ」現象の原因となるのも解った。どちらのタックにするかは、「交差する波から受ける衝撃を最小限に出来るようなタック。そして風軸との最適な角度が決まる。これに併せてメイン、ジブのセール面積を決めるの最良。」というのが得られた結論。

今回は最大風速15m/s。最大波高さ6m程度なので不安は全く無かったが、20m、30mとなると話は別。船のデザイン、構造により異なるだろうがダーマに関していえば、風速が20m/s以上では、ヒーブツーよりは斜め後ろに風と波を受けながら、適度な速度(5ノット)で風下に向かうのが、船体やリグへの衝撃を軽減できるので、より安全であろう。逆風でたとえ距離を犠牲にしても。ただしこの場合、大きな急傾斜のウネリに乗り、サーフィングを始めた時、偶々この屹立した水塊に船首が突き刺さると、艇速が急に止まりピッチポール(でんぐり返し)を引き起こす原因となる。

もう一つの問題は大きなウネリが崩れた時、泡立つ波で浮力を失い海中に船尾から引きずり込まれる現象。船体の上部構造がしっかり出来ており、浸水がなければ、ヨットは浮かび上がるように設計されているが、ハッチなどから進水すると次第に浮力を失い悲惨な目にあう。自分なりの両方のケースを想定し、それなりの対応策は立てているが、一番の対策は暴風圏内に入らぬこと。長期航海では、いつでもアクセスできる、信頼できる気象情報源を持つ事の重要性を改めて認識している。

2006/12/15/09:15JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
高波高域は本船の東海上を北東へ去りつつありますので、本船の航路上にこの域が残ることはありません。
ただし、北西から高気圧が張り出してくるため、時折10-15m/sの西から南西の風が吹くでしょう。45S以南の海況は、60S以南を通過する低気圧の影響で、15m/s前後の西よりの風と4-5mの波高が予想されています。ドレーク通過はこの高波高域が東へ抜けた後を予測していますが、12/19以降一時的にせよこの中に入ることは避けられないので、十分な準備をお願いします。

JST12月16日0600 GMT12月15日2100 船内時1400
41−26S/101−41W WSW12m/s(最大15m/s) 波高3m COG110T SOG5.5knt 曇り18℃ 1015hPa

今日は今朝から曇天、視界1km。ワンガレイを出航してから最初の2日間に3隻の貨物船に出会った。その時は「思ったより海上の交通量は多いな。」と感じたが以後一度も船には出会っていない。SEA−MEE(レーダー検知器)も一切反応なし。
灰色の閉ざされた世界で束の間の「唯我独尊」を味わっている。

無理をして艇を傷めぬよう、慎重に走っています。ワンガレイでドジャーの後半部と左右の開口部を透明のプラスチックでカバーしました。このため、出航以来一度も水飛沫を浴びていません。船内も乾燥しています。先日の時化の後、通風孔を完全に塞いでからは今のところ、船内に一滴の水も入らなくなりました。
一度波の高いとき、シンクの排水口から噴水のように海水が噴出した事があります。以後波が高くなると、総てのシーコックを閉じるようにしています。今後気温が下がり、湿度が上がると多少の結露が出る可能性があるので、主要な電子機器は湿らぬよう常時電源を入れています。

2006/12/16/09:15JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
今後も短周期で低気圧が南を通過します。低気圧は北西側に4-6mの高波高域を伴っており、本船も一時的にこの域に入る可能性はあります。 風はおおむねSW-W10-15m/s。
90Wを通過した時点で、低気圧の位置と海況をみながら50S以南に南下するかあるいはプロパーのコースを進むかを選択することになりますが、予想が安定するまで今しばらく様子を見ましょう。
いずれにしてもしばらくは海況の悪い海域を通過しますので、安全に十分に留意されて航行してください。
小生も今日日本へ戻ります。明日は久々に自宅からの送信となります。
Bon Voyage

JST12月17日0600 GMT12月16日2100 船内時 1400
42−00S/98−58W SW12m/s波高4m COG115T SOG5.5kts曇り16℃ 1013hPa

昨夜より気圧が上がり(1009−>1013hPa)日中短時間ながら時折日が差すようになった。日が差すと風速が10m/s前後になるが、黒雲に覆われると12〜14m/sとなる。昨日夕方より風が15m/sに上がり、波も高くなった。限定的な高波水域に入った模様。夜間メインを3Pから4Pに落とし、5ノット前後で東に向かう。

夜が明けてからは、メイン4Pのままジブ小さく張り、当面の定点45S/90Wへ向かう。風が15m/sに達するとマストが若干震えるので、バックステイを締め、ついでにウィンドベーンのコントロールロープのブロックの位置とシーブ角度の調整をする。今のところ艇体、装備に問題は無いが、僅か40日間の使用でウィンドベーンの丈夫なコントロールロープがシーブ(滑車)のところでボロボロに擦り切れていたのには驚いた。
利用者の話では1〜2年は問題ないとの事だったが。シーブの角度に問題があったのなら良いのだが。

2006/12/17/09:02JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
低気圧が南を通過する際には北西側に寒冷前線を伴っています。寒冷前線の南側には極からの寒気が南へ流れ込みますが、この寒気の強さが、そのまま海況の状態を左右することになります。
12/19までは今現在の海況が続きます。
12/20を中心に再びやや強めの寒気がm並みへ流出します。一時的(24時間)ですが、風速は15m/sを超える可能性があります。この海況は避けられないので対応をよろしくお願いします。
12/21以降はこの寒気も過ぎていき、海況落ち着くでしょう。ただし、低気圧の南側になり、風向は東よりになる可能性がありますので、その場合は、南下するようにしてください。

JST12月18日0600 GMT12月17日 2100 船内時1400
42−55S/96−37W SW10m/s 波高3m COG145T SOG5。5kts 曇り/晴れ 17℃ 1015hPa

午前中波穏やかで船足も伸びた。午後に入り一時晴れ間が広がったがその直後より、波が幾分険しくなる。
局地的な現象かも知れぬが、2時間の間に気圧が1017から1015hPaと下がり始めている。
目的地まで余すところ1500海里。終盤の大事な局面に入ってきた。

2006/12/18/10:40JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
データの件
気象予報は毎日2回更新されますが、グリニッチ時間の04Zを境に、それ以前であれば192時間先まで、以後であれば84時間先までの予報となります。
192時間のWDMを添付します。

気象情報
低気圧が南を通過する事により、5-6mの高波高域の出現が12/19/12Z-12/20/18Z間(風は西〜南西)と12/23/12Z-12/24/18Z間に予想されます。
また、この二つの高波高域の間では、一時的に高気圧が南に形成され、10m以下の東よりの風となります。
いずれの航路を選択するにしても、上記気象条件を大きく軽減できる可能性は少ないと思われますので、ここは、目黒さんのプランどおり、あるいは荒天時に走りやすいコースで航行してください。
現在予想される50S以南の低気圧は一過性のもので、2日以上強風が持続する事はありませんので、この点に留意され、無理をされないようお願いします。

JST12月19日0800 GMT12月18日2300 船内時1600
43−55S/93−59W SW11m/s 波高4m COG125T SOG5.5kts 晴・曇り 15℃ 1020hPa

午前中まで南が吹き、東進。午後南西に振れ、目的地方向に針路を取る。風の振れと共に波が高くなり、高波水域の北西端にたどり着いた模様。今後風が西に廻り、明日から明後日の朝まで時化の海域が続く。予想では平均風速15〜17m/s。瞬間風速は20m/sを越えるとの予想。
日暮れ前には、4ポイントまで落とすか或いはメインを降ろしジブのみで走る事にする。

2006/12/19/09:50JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
現在本船の南西方に高波高域を伴う低気圧がありますが、この影響は軽微。 次の低気圧は、明日12/20/00Zに53S-90Wへ進んできます。この低気圧の北側の高波高域が12/20/12Zを中心に本船の南を通過します。 その後一旦海況やや落ち着きますが、12/24頃と12/26頃を中心に再び低気圧が本船の南を通過する見込みです。

本船が南東に航行した場合の海況を添付します。東あるいは真っ直ぐ南への航路も検討しましたが、予想される高波高はいずれのコースでも影響は避けられないので、予想が大きく変わらない限りは当初のコースを進のがベストでしょう。 ドレーク通過までは断続的な時化が予想されますので、艇はもとより心身も健康を保たれるよう十二分の準備をお願いします。航行に際しては、海況如何ではヒーブツーも考慮してください。

JST12月20日0600 GMT12月19日2100 船内時 1400
45−07S/92−34W W16m/s 波高5m COG125T SOG5kts 曇り・雨 11℃ 1011hPa

昨夜から4Pで時化に備えていたが、実際に吹き出したのは、0600。 1000頃風速18m/sに達し、高波でヒールした時ブローチングを起こすのでメインを降ろしラッシング。ブームを中央で固定し、2本のランニングバックスティを締め込む。キャビン入口の差し板をいれ、万が一にも海水がキャビン内に流れ込まないようにする。
始め用心してジブを5%程度に張っていたが。波が船尾に当たり横倒しになった後立ち直るのに時間がかかるのに気がつき、現在は15%程度の張り出しで安定した。西が吹いているので今のところ進行方向を向いて帆走中。今後風が南に廻れば多少東に流される可能性があるが短時間(6〜12時間)と予想。今のところ記録した最大風速は21m/s。
不安材料は特にない。

2006/12/20/09:10JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
これから風は一旦10m/s前後まで弱まりますが、明日12/21/12Zを中心に再び15m/s前後まで強まります。
高波高のピークは風より6時間ほど遅れてやってきますので、風が弱まってもしばらくは要注意です。
12/22は低気圧の間で10m/s前後の南より。12/23後半から12/24前半まで西よりが15m/s前後まで上がり、一呼吸置いて、12/25から12/27まで南を通過する低気圧の影響で平均18m/s前後の北西風、波高も6m前後になる可能性があります。この低気圧が当面ドレークまでの最後の低気圧となると予想していますが、かなりの荒天となる可能性があるのでご留意ください。
本日も時系列図を添付します。これから一週間がもっとも厳しい海況となりますが、貴艇がこの海況を乗り越えられ、無事ドレークを通過される事を心よりお祈りしております。

tennkizu

JST12月21日 0600 GMT12月20日 2100 船内時1500
45−54S/89−52W SW11m/s COG130T SOG5.5kts 曇り/晴れ/曇り 14℃ 1008hPa

本日西経90度を越えたので船内時が一時間進む。

昨日は思っていたよりも大変だった。強風(確認した最大風速は23m/sで前の時化ほどではなかったが)が予想されたのでメインセールを下ろし、ジブのみので帆走。前回の時化の時には何の問題も無かったが今回は波との角度にもよるのだろうが、風速が上がる度にブローチングし、ジブをシバーさせ風上を向いたまま元のコースに戻らない。ジブの面積を大きく取るとブローチンがしやすくなるし、少なくすると艇速が落ち、コースを維持するのが難しく、やはりブローチングする。
ヒールした状態で前後・左右と波に叩かれる。風速20m/sとなると波の衝撃は大きく、時々ドジャーが剥ぎ取られたのではないかとハットする。夜になると波が見えなくなり風速も上がる。あらゆる工夫をしたが上手くいかず、ブローチングと艇の立直しを繰り返しながら夜を明かした。

明るくなってから、ウインドベーンのヘルムを調整する固定事を思いついた。以後セールのトリムの微調整をすると、殆どブローチングをしなくなりヤレヤレ。昨夜徹夜した割には元気、食欲も旺盛。
さていよいよドレークへのアプローチが迫ってきた。少なくとも後2回は時化に見舞われそう。特に25日の時化は風速、波高、継続時間とのに今回よりも激しいので、多少なりとも影響を軽減できないかどうか現在検討中。良い案が無ければ予定通りプロパーコースを進む事になる。

JST12月22日0600 GMT12月21日 2100 船内時1500
47−38S/88−49W 南10m/s 曇り/雨 13℃ 985hPa

馬場様
JST0800現在南風12〜13m/sの中、6ノットで東進。風が西に振れるのを待ち、12月25日0600までに55S/83Wに到達すべく帆走中です。当方JST1000にメールを開きます。お手数ですがWDMマップ(192時間)を添付して下さい。電話で連絡すべき事ありましたら、その旨メイルに書き込んで下さい。

衣類を新しいものに取替え、気持ちを新たにドレーク海峡に向け帆走中。

2006/12/22/09:49JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
192時間のWDMを添付します。
全般的な海況の推移は、前回予想よりやや好転。
現在の南よりの風は12/22/18Zには西へ変わります。
明日12/23前半、ドレークへと進む低気圧が本船の南を通過、西よりの風が一時的に15m/s前後まで上がります。
その後一旦10m/s前後まで風落ち着きますが、12/25-26にかけて再び本船の南を低気圧が通過します。
前回もお伝えしましたが、低気圧の北側で高波高域が東西に広範囲に分布しますので、今回の南下は低気圧に近い55S付近の方が海況はマシとの判断です。それでも12/26/12Zを中心に西より15m/s以上、波高6mの域が航路をかすめる可能性がありますので、55Sを南限とされず、12/25-26前半に到達可能であれば、56S付近まで南下されても良いでしょう。このあたりは艇長と艇のコンデイション次第です。
この低気圧の通過後の12/27-12/30まで、西よりの風が弱まり、10m/s以下となることも。12/31以降は予想がありませんのでなんともいえませんが、西から次の低気圧に伴う荒天域が100W付近に顔をだします。速度は経度で10度/日。65Wへの到達は3.5日として1/3/00Zを予想しています。ただし、ドレーク沿岸部では陸地の影響で外洋ほどの時化にはならないでしょう。

12/24のイブ(ダーマは仏教なので関係ありませんか?)は洋上で迎えられることになりますが、これが本当の「船上のクリスマス」?
目黒さんとダーマが、宇宙全ての神仏のご加護によってドレーク通過を成就されることをお祈りします。

2006/12/22/08:10JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
低気圧は12/25に航路の南を通過する見込み。同日後半風は一時15m/sを超える可能性がありますが、波高は4m前後。
この低気圧はゆっくりとドレークに向かう見込みで、本船はこの低気圧の後を追う形となります。
この低気圧の後ろには新たな低気圧は予想されていません。
高波高域は55S以北。ドレーク通過まで、風速は平均10-15m/sと引き続き強めですが、波高は平均4m/sまで。

JST12月23日0600 GMT2100 船内時1500
49−11S/870−00W W10m/s 波高4m COG170T SOG5.5kts 晴 15℃ 1001hPa

馬場様
心温まるメッセージ有難うございます。気象情報を参考にし、無事入港できるように最善を尽くします。

ドレーク海峡の通過に当たり、悪天候の影響を緩和するため、南緯56度線まで南下することにした。このため昨夜は南風の中、少しでも南に進むため、出航以来始めての本格的な上りコースとなった。
明け方にはどうやら南に針路を取れるようになったので、一休みする前に船首と船尾にあるビルジポンプでビルジを汲出そうとしてビックリ。船首のキャビンが床上進水。原因は水飛沫がウィンドラスのチェーンの取り入れ口からチェーンロッカーに入り、ビルジダマリからのオーバーフロー。
出航以来、時化の後は必ずチェックし、何の問題も無かった。時化の時は何時も追ってで走っていたからであろう。ウィンドラスからの水の浸入は予想されており、そのため特別のカバーを作り、其の上にバケツをかぶせていたのだが。いずれにしても昨日の上りの時の水飛沫は中途半端じゃなかった。
以後上りで、大量の水飛沫を浴びた時は、数時間後とにビルジをチェックすることにする。

夕方になり安定した西風が吹き出し、南下中。今夜は多少荒れることが予想されているので、時化のピークが過ぎるまではウオッチする事にしている。
2006/12/24/08:40JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
おはようございます。
低気圧は明日12/25に本船の南を通過します。風は一時15m/s前後まであがります。
ただし波は4m程度です。小低気圧はこの後も本船の南を通過しますが、海況は安定、風は10m/s前後。

JST12月24日080
馬場さんから目黒さんの近況報告

メール通信が不調で昨日は電話連絡を受け取りました。
12/24/08JST現在の位置は下記の通りです。
51.6S-86.3W
風向270度
風速12m/s
コース150度
速力5.5kt
ドレークを目指して南下中。異常なし。

2006/12/25/09:05JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
本船のすぐ南を小低気圧が通過中。明日12/26から12/27前半は海況も好転し、10m/s前後の西〜北西風。
12/28後半本船の北西方から低気圧が接近し、一時北〜北東風に変わる可能性があります。風速は一時強まり10-15m/s。
12/29-30はこの低気圧の残骸が南に残り、西〜南西風やや強まり10-15m/s。
期間中の波高はおおむね4m以下。ただし、ドレークではやや高くなる可能性あり。
12/31の入港を想定しています。

電話連絡によるダーマの12/25/09JST現在の位置です。
53.8S-85.6W
北西の風15m/s
コース170度
速度5.5kt
漸くメール通信が復旧しました。水漏れは現在なく、注意しながら航行中です。

JST12月26日0600 GMT12月25日2100 船内時 1500
55−09S/83−49W W10m/s 波高4m COG135T SOG5.5kts 晴(スコール) 12℃ 977hPa

本日12時南緯55度線を越え、以後56度線に出るまで南東に向け帆走中。一時間毎にスコール(積乱雲)に出会いその度に風速が最大5m/s変化する。
ハワイを出てからフレンチポリネシアに着くまでの間、しばしばスコールに出会ったがこの時の風の変化量は最大8m/s。熱帯地方での海水と大気の温度差、エネルギーの差が大きいと言う事か?

ケープホーンまで後550海里。そこからポートウイリアムス入港まで丸一日の航程。ケープホーンの手前で更に南側にディエゴ・ラムレスと言う孤島がある。そこから更に南下すると次は南極大陸に行き着く。最短距離でここから800海里。

追記:12月23日にメールを発信して以来、2日間通信不能となり、その間電話で位置情報送り、気象情報を受け取っている。以下その間の出来事を要約(時間は総て現地時間)

12月23日 南緯56度線に向け南下中。
0000時:風速が15〜17m/sに上がる。波に叩かれ、大量の水飛沫がダーマを襲う。ヒールするとドッグハウスの窓枠が海水で覆われる。
0300ヒールした時に、キャビンの入口の床下にかなりの水が入り込んでいることに気づく。ここはたまにコップ数杯の水が溜る事があり、スポンジで吸い取っている。スポンジで排水するがバケツ数杯の水を汲み取っても直に満杯になる。水が船体後部のエンジンの方から入っている。この時点で船体後部のビルジ溜りがオーバーフローしているのに気づく。時化ていたが、直にビルジポンプで水をかい出す。偶然だが船首ビルジのオーバーフローの時と同じく、ポンプの排水ストローク数は約100 回。原因がハッキリしたのでひとまずホッとする。
其の後、総ての主要な浸水箇所を調べ総て排水。その間一時間毎に船首と船尾のビルジポンプの排水量をチェック。大量の水飛沫を浴びている時で、一時間に20ストローク。5時間でオーバーフローする事になる。念のため2時間ごとにポンプで排水。
0600排水作業をしている間に今度はウインドベーンのコントロールロープが擦り切れそうになっているのに気がつく。数日前に交換したばかりなのに。風が落ちたら交換することにする。
1000ロープが持たないと判断し、時化の中ロープ交換完了。
1400排水作業完了。エンジンチェック完了。ここまでウインドベーンに頼り切りで来たが、壊れた場合のことを考慮し、強風下でのオートパイロットをテスト。結果良好。3時間後にウインドベーンに戻す。
2000長い慌しい一日がくれかけようとする時、突然険しかった波が収まり、風速も10m/sと適度。、自分が何もしなくても勝手に船が目的地に自分を連れて行ってくれるような心地よい、不思議な感覚を覚えた。食事をしその夜は安眠、爆睡。

12月24日
0300起床。直ちにビルジのチェック。艇体上部からの浸水なので、大量の水飛沫を浴び無ければ全く問題ない。主な浸水箇所はコクピットの左右のハッチ。ここからの浸水は予想しており。ライアテア(フレンチポリネシア)でハッチの蓋の内側に丈夫なカバーをし、ニュージランドではハッチそのものにも内側からラバーシールを施している。第3の防水策としてコーミングとつけることも考えていたが、結局実行しなかった。今後の検討課題。
0700まで風弱くフルメインで走っていたが、その後徐々に風速が上がり。
1030平均風速15m/sを越え、4ポイントを僅かに展開した2枚のジブで帆走。波が悪く(クロスウエーブあり)セールとウィンドベーンのヘルムの組み合わせを幾度も変えるが、直にバランスを崩してブローチングする。メインを下ろしジブだけで走ったが適当なバランスを見出せず。数時間のトライアンドエラーの結果、4ポイントメインとインナージブで走り、メインとジブの僅かの面積を反対側に張り出してバランスを取る事ができた。この組み合わせで、瞬間風速20m/sで安定して帆走。それ以上に風速が上がった場合は未知数。
1500現況 南緯55度37分/東経85度42分。北西の風平均風速15m/s。
進行方向170(真方位)。速度5.5ノット。曇り。9℃。928hPa. 1800 風速以前15m/sだが、波が穏やかになり、その後風も10m/sに落ち、順調な航海に戻る。

2006/12/26/09:10JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
週間予報を添付します。
西からの低気圧が本船を追い越すことはありません。ドレークの手前で南下あるいは弱まります。当面56S付近を東航してください。
ただし、12/27/12Zを中心に西からの低気圧の影響で一時北よりの風15m/s程度まであがります。
また、ドレーク付近は12/29-30にかけて北高南低の気圧配置で西よりの風15m/s前後が予想され、波高も4mをやや超える可能性があります。ホーン岬付近は水深200m前後の浅瀬が広がっており、波が悪い可能性がありますので、出来れば沖を通過される方が良いでしょう。ただし、57.5S以南は氷山がある可能性もありますので、安全をみて南下は57Sまで。
12/31は風波ともに収まります。

JST12月27日0600 GMT12月26日2100 船内時1500
55−22S/80−10W W10m/s 波高4m COG110 SOG5.5kts 晴 12℃ 982hPa

南緯55度を越えてから、夏とはいえ流石に寒さが厳しくなってきた。明け方は零℃。日中は晴れていると夏空が広がる。今日もスコール雲(積乱雲)が多い。大きいのは高層で頂部が平らになる金床雲。
今朝8時この雲が航路を横切る時には風速が11m/sから19m/sまで上昇した。辺り一万暗くなり雹が降ってきた。ドジャーの中にいると温室のように暖かく、晴れ間をみて濡れた衣類を乾かしたりしている。
忙中閑ありといったところ。

2006/12/27/09:05JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
西から低気圧が接近するため、12/27/18Zを中心に一時北よりの風が15m/s以上に強まります。低気圧は本船も南を通過し、翌12/28は西よりに変わり10m/s程度まで弱まります。
12/29から12/30にかけて北から高気圧が南下し、それまで55S以北にあった高波高域も同時に南下してドレーク海峡付近を東へ通過する可能性があります。
波高のピークは12/29/18Z頃で風速20m/s、波高6m。12/3012Zまでには風速15m/s以下、波高4m以下に収まります。
この荒天は一過性のもので長続きはしませんが、一時的にせよ西よりの風が強まりますので、十分な荒天準備をお願いします。
この荒天を抜ければ海況も安定します。
本日は時系列図を添付します。

tennkizu

JST12月28日0900 GMT0000 船内時12月27日1800
56−41S/77−31W WNW12〜17m/s COG90T SOG5.5kts 雨・曇り 8℃ 972hPa

明け方6時より、北風強まり(15〜20m/s(最大24m/s))南に針路をとる。
1400までに風が西に回り、現在東進中。
入港まで後三日の予定。日中殆どコクピットにいたので多少疲れはあるが元気。
今夜はゆっくり休み、明日以降の最後の詰めに備える。

2006/12/28/09:06JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
現在本船の南に低気圧があります。この低気圧はこれから停滞し、次第に弱まるものと予想されますが、それと同時に北側の高気圧が勢力を増すため、12/30/00Z頃までは15m/s前後の西よりの風、4m前後の波高が続く見込みです。
その後風速は急速に弱まりますが、ポートウイリアムスへアプローチする頃の12/31/12Zに一時北よりの風が強まるかもしれません。ただし、波高は2m前後。
後3日ほどで長年の夢であったホーン岬をランドフォール!!
過去幾多の帆船がその通過に困難を極めた海峡です。最後まで気を抜かれずにご安着され、目黒さんの快挙をお祝いする美酒の御相伴にあずかれますように。

JST12月29日0600 GMT2100 船内時12月28日1600
56−56S/74−30W W12m/s COG90T SOG5.5 晴

今後正確な針路が必要となるため、昨日夕方よりウインドベーンに換えオートパイロットを使用。結果良好。過去一週間ウインドベーンは問題続きだった。
追っ手で波が高い時に問題が顕著になる。色々な要因があるが、一番の原因は波の谷間に入ったとき海面近くの風が乱され、ウインドベーンが正常に機能できなくなること。
今まで考え続けてやっと到達した結論。

メールを打っている間に、急激に波が高くなった。明日この時間までに海況は良くなるとの見通し。

2006/12/29/09:15JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
航路付近は北高南低の気圧配置が続き、12/29/18Z頃風速、波高のピークを向かえる見込み。ピーク時の風向はWSW、風速15-17m/s、波高4-5m。明日12/30/00Zには高気圧が更に南下、気圧傾度緩み、風も10m/s以下、波高2m前後まで弱まる見込みです。
この頃、本船の北西方から低気圧がドレークへ向けて南下してくると予想されます。この影響で12/31は北東風に変わり、一時15m/s前後まで上がる可能性があります。この低気圧はそのまま南極半島へと下るので、12/31後半からは徐々に風弱まります。

JST12月30日0900現在
56.9S-70.2W。WSW30KTの海況の中を現在機帆走にて東進中。

艇長、船体に異常なし。
積乱雲多く、この中に入ると風が7,8m/s上がる。平均風は12m/s前後だと思う。
ウインドベーン利かないため、現在エンジンとオートパイロットを利用して安定して東進中。

2006/12/30/07:45JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
高波高域のピークは東方へ去りつつあります。
この後1/2まで、風速10m/s以下、波高2m程度の安定した海況が続きます。ただし、風向は12/31-1/1の間、南下する小低気圧の影響で一時東よりとなる可能性がありますので、24時間程度の機走も考慮願います。
1/3後半には西から低気圧がドレークに接近、通過し、海況も次第に悪化する見込みです。
可能であれば本日電話連絡(携帯へ)願います。

JST12月30日1300 GMT0400 船内時12月29日2300
56−50S/69−27W WSW15m/s COG80T SOG5.5kts(機走) 晴・霙 8℃ 1001hPa

今日も長い一日が暮れた。緯度が高いので午後11時まで薄明るい。朝1時半にはうっすらと明るくなる。未だ時化の余韻が残っているが何とか乗り越えた。期待していたオートパイロットがパワー不足で船をコントロールできなかった。
波のため風下側にヒールするとブローチング、風上側にヒールするとワイルドジャイブ。やむなく時化のピークをはさんで8時間自分で舵を握る事になった。

現在ディエゴ・ラムレス島西30海里を東に向け機走中。機走するのは実に30日ぶり。ラムレス島の南を通過した後、北東に向けると70海里先にケープホーンがある。ホーン岬(実際は島)の南を通過するのは明日の夕方。ホーン岬からビーグル水道の東側入口まで50海里。そこから入港予定のポートウイリアムスまで30海里。
入港は現地時間で12月31日の昼頃を予定している。

2006/12/30/07:45JST
<馬場社長から目黒さんの情報>
予想されてはいたものの、時化の中をがんばって乗り切られました。
明後日、つまり日本時間の元旦にプエルトウイリアムスへ入港予定です。
あと少しです。

2006/12/31:08:20JST
<馬場社長から目黒さんへの気象情報>
小低気圧が本船の西北西方54S-78W付近から南東進中です。この低の影響で沖合いは北東よりの風、今後低の接近で10m/sを超える見込みですが、沿岸よりは10m/s以下。明日1/1も風は北東で弱い見込みです。ただし地形等により一部で局地的にやや強く吹く海域もあるのでご注意ください。
天候の崩れは小さく、おおむね晴れ。気温は概して暖か(比較の問題ですが)。沿岸部では北よりの風で視界が悪くなるやも知れませんのでこれにも注意してください。
さあ!!ラスト1日で目黒さんもケープホナー。
明日はご本人はもちろんのこと、小生にもおいしいお酒を飲ましてくださいね。
ご安着をお祈りします。



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